表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告白作戦っ!  作者: YUI
19/41

第19話 大好きな彼の腕にしがみつけ!

 私は顔を真っ赤にして逃げるに逃げられない列に並び続けている。

「あのお姉ちゃん、さっきこのお兄ちゃんに告白したんだよ」

「えー、こんな場所で告白なんて私にはムリ!」

はっきり言ってこんな時ほど時間の流れが遅い。1分が10年以上に感じるレベルだ。


 やっとの事でジェットコースターに乗る順番が回ってきた。この時をどれほど待ちわびていたか。

「いい? 最初の上り坂から抱きついちゃダメ。自然に抱きつきなさい」

沙耶ちゃんがそっとアドバイスをくれる。


 そうだよね。不自然に抱きついちゃダメだよね。怖いと思ったところでなきゃ。そうだ最初の落ちるところで抱きつこうっと。それなら自然だよきっと。


 そして、私はうまく草壁君の横に座ることができた。と言っても紗椰ちゃんが上手にそう仕向けてくれたんだけど。因みに琉生の横は野乃葉ちゃんが座ったようだが、今の私にはそんな情報は関係ない。今は草壁君のがっしりとした腕しか見えない。


『ピー』

ジェットコースターが動き出す。私はしっかりと目の前の棒を握り、歯を食いしばる。どんなに怖いジェットコースターでも草壁君が隣にいるから大丈夫だもん。


 やがてジェットコースターはかなりの角度で上り始めた。何もこんな角度で上がる必要ないじゃん。しかもこのゆっくりなスピードは何なの? 緊張がどんどんと高まる一方だし。やがて私の歯はガチガチと鳴り始める。

「百瀬さん、大丈夫?」

草壁君の優しい一言も今の私には聞こえない。いったいこの坂いつまで続くの? 緊張感のあまり上り坂が永遠に続くような気がしてくる。


やがて頂上に来ると今までのゆっくりしたスピードとは全く違うスピードで下り始める。

「キャー!!!」

最初の落ちるところだ! よし計画通り草壁君に。


 と思った矢先に突然の急カーブ!

「ギャー!」

ぼ、棒から手が離せない!


 これが最後の記憶だった。

「柚衣、大丈夫?」

沙耶ちゃんが私を揺する。

「ダメだ。完全に固まってるよ」

草壁君が冷静に言う。


「いい加減に目を覚ましなさい!」

沙耶ちゃんは私の頬を思いっきり叩いた。

「キャッ」

目を覚ました私は慌てて抱きつく。

「私に抱きついてどうすんだよ!」

「どうやら無事なようだね」

草壁君がホッとした様子で私を見つめた。


 ああ、やってしまった。せっかくの大チャンスだったのに。草壁君にかっこ悪いところを見られちゃった。しかも「キャー」ならまだ可愛いかったのに「ギャー」と叫んでしまったし。もうダメだわ・・・・。


「あのう、そろそろ腕に抱きつくのやめてくれませんか?」

琉生が珍しく丁寧な言葉を使っている。見ると野乃葉ちゃんが琉生の腕にしがみついたままだ。

「だって〜、ジェットコースターが怖すぎて〜」

「あんたジェットコースター好きなんじゃないの?」

紗椰ちゃんが何気ない疑問を口にした。確かにそう言ってたよね。


「ジェットコースター好きだよ〜。でも〜今日のは怖すぎて〜」

「分かったから離れろよ。春野」

「まだ怖いの〜。もうちょっとだけ〜」

?????


「野乃葉、もしかして中園君が好きなの?」

「そんな訳あるかよ!」

「好きだよ〜」

「「「え!?」」」

私たちは一斉に声を上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ