表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告白作戦っ!  作者: YUI
17/41

第17話 いざ出陣!

「おはよう。あれ? 草壁まだ来てねえの?」

琉生がやって来ての第一声がこれだ。あんたも遅いのよ!

「まだだよ〜」

野乃葉ちゃんが誰よりも早く答える。


 今日の野乃葉ちゃん乗ってるなあ。楽しみだったのかなあ?

「やっぱりか。生徒会の仕事をやってから来るって言ってたもんな」

「ええ〜! 草壁君そんなに忙しいの?」

「もうすぐ年末が来るからって」

「私たちが誘っちゃって良かったのかな?」

「じゃあ、キャンセルするか?」

「それは駄目!」

「相変わらずわがままなやつだな」

「何よそれ?」


「二人とも〜、仲いいね〜」

野乃葉ちゃんが私たちに話しかける。今の会話でどうしてそういう発想が出てくるの?

「この会話のどこが仲いいのよ?」

「いいと思うよ~」

野乃葉ちゃんがニコニコしながら言った。


「あれ? この大きな荷物は何だ?」

ようやく野乃葉ちゃんが作ってきた弁当に琉生が気付いたようだ。これだけ大きいんだから来てすぐ気付きなさいよね。

「お弁当よ」

私はわざと呆れかえったような声で言ってみた。


「誰が作ったんだ?」

来たわね。

「わ、私に決まってるじゃない」

声はやや小さくなる。野乃葉ちゃん、ごめん。

「それはあり得ねえな」

ギクリ!

「どういう意味よ!」

動揺した私は大きめの声で言った。ここは勢いで乗り切るしかない。

「どうせ春野にでも作ってもらったんだろ?」

図星!!


「ち、違うよ」

「中園君、これは~柚衣ちゃんが作ったんだよ〜」

「本当かよ! 信じられねえ」

野乃葉ちゃんの言葉で半信半疑ながら琉生は納得したようだ。


「ごめん! 遅れた!」

突然の声に振り返ると、草壁君がこちらに走ってくるのが見えた。

「待たせてごめん。生徒会の仕事をしてから来たんだ」

「大丈夫だよ、私たちが早く来すぎただけだから」

沙耶ちゃんがさりげなくフォローを入れる。ああ、この役私がしたかったよ〜。でも咄嗟に思いつかなかったし。


「あ、あの。忙しいのに誘ったりしてごめんなさい」

私は草壁君に申し訳なさそうに謝った。勿論本当にそう思ってるけど、好印象を与える目的も兼ねてるんだよね。私って意外とずる賢いのかな? でもこのチャンスを生かすためだからいいよね?

「いいよ。僕も羽を伸ばしたいなって思っていたところだったから」

優しい!! この優しさがたまらないんだよ。琉生とは大違いだ。


 全員そろった私たちは遊園地行きのバスに乗り込んだ。あいにく車内は家族連れが多く超満員。椅子に座ることもできず立ったまま行くことになってしまった。ついてないよね。

「20分くらいで着くそうだよ」

と草壁君が爽やかな笑顔で言ってくれた。

『あなたと一緒なら何時間でも大丈夫です』

当然こんな台詞言えるわけもなく、私はそっと頷いた。


 それにしても、お弁当を入れたバッグが重い。床に置くのも嫌だし、どうしよう? 私はふと琉生に目をやる。そして、そっと近付き小さな声で囁いてみる。

「ねえ、もし可愛い女の子が重い荷物持って苦しんでたらどうする?」

「持ってやるに決まってるだろ」

「はい」

私はバッグを琉生に差し出した。


「これがどうしたんだ?」

「さっき『持ってやるに決まってるだろう』って言ってたじゃん」

「それは可愛い女の子の話だろ?」

「何ですと?」

私は琉生の足を蹴る。

「痛っ!! 何すんだよ!!!」


「・・・・とにかく持ってよ」

私は無理矢理琉生にバッグを渡す。

「いったい何人分作ったんだ?」

「え〜と、5人分?」

私は曖昧な返事をするとともに一抹の不安が頭をよぎる。確かに弁当にしては多すぎるような? 野々葉ちゃん、このお弁当大丈夫だよね?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ