表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告白作戦っ!  作者: YUI
16/41

第16話 デート開始

 その後、私は土曜日の夜まで熱は下がらなかったが、日曜日の朝には見事36度5分の平熱になっていた。


 根性だわ。これぞ根性と言えるわ。

「凄い執念だね」

沙耶ちゃんがぼそりと言う。

「天気もいいし~。最高だね〜」

野乃葉ちゃんは大きく息を吸いながら空を見た。ここは待ち合わせ場所のバス停。いよいよ草壁君とのデート開始だ。余分なのいっぱいいるけど。


「でも、今日の行き先がどうして遊園地なの?」

私は企画担当者である沙耶ちゃんに聞いた。

「それには深い理由があるんだよ」

「どんな理由があるの?」

「人間は同じ恐怖の空間で一緒にいると仲良くなるらしいの」

「何それ?」

「つまり、ジェットコースターに一緒に乗ったり、お化け屋敷に一緒に入ったりすると親近感が増すってこと」

「本当に?」

「私に任せて」

沙耶ちゃんは自信たっぷりに胸を叩く。


 ああ、持つべき者は友達だよ。今日の沙耶ちゃんはとても頼もしい。

「ところで、野乃葉ちゃん。大きな荷物を持ってるけど何それ?」

「お弁当だよ〜。みんなで食べようと思って〜、朝から作ってきたの〜」

さすが野乃葉ちゃん、女子力高いわ。


「やっぱり〜、男性の気を引くには~手作り弁当だよ〜」

「ごもっともです」

私はせっかくのチャンスを逃した自分を恨むのであった。でも、朝早く起きて弁当なんて私には無理だし・・・・。


「この弁当を〜、柚衣ちゃんが~作ったことにすればいいよ〜」

「え?」

天使のささやきが聞こえたような。

「野乃葉ちゃん、何て言ったの?」

「この弁当を〜、柚衣ちゃんが~作ったことにすればいいって言ったよ〜」

「ダメだよ。そんな!」

「いいよ〜」

「でも、朝早く起きて作ったのは野乃葉ちゃんだし・・・・」

「じゃあ、草壁君が~私のこと好きになってもいいの〜?」

「それは絶対ダメ!」

「じゃあ、柚衣ちゃんが作ったことにしよ〜」

「ありがとうございます。このご恩は一生忘れません。これからは野乃葉様の下部として生きてゆきます」

私は野乃葉ちゃんから大きな包みを受け取る。少し罪悪感を感じるけど、今回は甘えていいよね?


「それにしても遅いなあ」

紗椰ちゃんが呟いた。待ち合わせの時間なのに二人が来ない。どうしたんだろう?

「柚衣ったら、中園君の隣なんだから誘ってきたら良かったのに」

「嫌だ」

「何で?」

「・・・・何でだろう?」

別に嫌いってわけじゃないんだけど。昨日の琉生の鞄に付いていた私の写真が脳裏に浮かぶ。こんな特ダネを紗椰ちゃんに知られたら大変だ。今度は琉生に告白しろと言われかねない。


「柚衣。何か隠してない?」

紗椰ちゃんの疑いの目が私に向けられる。

「な、な、何のこと?」

平静さを強調しようとして露骨に動揺してしまった。

「やっぱり何か隠してるでしょう?」

「何言ってるのよ? 紗椰ちゃんたらおかしいなぁ」

私の言葉が何気にぎこちない。

「そうか?」

これはやばい雰囲気だ。どうしよう。


 私が沙耶ちゃんと奇妙な話をしていると琉生がやってきた。

「中園君。おはよう〜」

野乃葉ちゃんが大きく手を振る。

「おはよう」

紗椰ちゃんも琉生に向かって手を振った。これって私はピンチを逃れたのか? 胸を撫で下ろしながら私も琉生に、

「おはよう」

と言った。琉生もたま~には役に立つんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ