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☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道のカゲノウ君 】
9/36

⭕ あしあと 1


 はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…………。

 ふぅふぅはぁはぁ…………。

 ひぃ……ふぅ…………。

 げほげほっ…………。


 「 ふぅ……はぁ……はぁ…………。

   なんなんだよ、あの足跡はぁ!?

   なんで俺を追い掛けてるんだよぉ~~?! 」


 月明かりの下、1人の男が息を切らせながら走っている。

 まるで “ なにか ” から逃げているかのように全力疾走をしている。

 とき(どき)背後に首を動かしながら、男は走った。


 「 あっ──!? 」


 男は短く声を上げた。

 水溜まりに足を滑らせバランスを崩したのだ。

 男はバランスを崩したまま、転げ落ちる。

 上から下へ転げ落ちる。

 でこぼこしている階段に全身を打ち付けながら、長い階段を転げ落ちた。











 「 ──こりゃひでぇな…。

   全身打撲じゃないか? 」


 「 顔が潰れてやがる……。

   ひでぇ事をしやがる奴がるもんだな 」


 「 被害者を取り囲むように周りに付いてる赤い足跡はなんですかね?? 」


 「 う~~ん、血かな?

   ペンキかな?? 」


 「 鑑識に調べてもらえば分かるだろ。

   しかし…………死ぬ前に逮捕してやりたかったな… 」


 「 でもコイツ、噂の連続とおり魔殺人の犯人ッスよね?

   コイツになんにんもの学生達が襲われて殺害されたんスよね?

   自業自得じゃないッスか、先輩? 」


 「 馬鹿言うな!

   例え殺害犯であっても死んでい奴なんかいやしない。

   してや犯したツミも償わないで死ぬなんて── 」


 「 …………………………そッスね~~ 」











「 ──という事が先日に起こりましてね、しゅんれいさんに是非とも捜査に協力してほしくて~~ 」


「 お前、刑事になったのかよ…。

  似合わないねぇ 」


「 シュンシュン……。

  でも、元気で安心したよ。

  消臭剤を買いに行ったきり音沙汰が無かったからさ、どっかでんでるんじゃないか──って心配してたんだ 」


「 のたれには酷いッスよ、マオさん… 」


「 今更なんだよ。

  あのときの1千万が用意出来たのか? 」


一寸ちょっとぉ~~、口座にと振り込んだじゃないッスかぁ~~! 」


なんで覚えてるんだよ。

  忘れてろよ 」


「 忘れませんよぉ!!

  1千万を用意するの大変だったんスからね!! 」


「 でもさ、なんで10年も経ってから連絡してたんだよ? 」


「 ですから、さっきも話しましたけどね── 」


「 お前は前置きが長いんだよ、たいぁ! 」


「 すいません……。

  被害者の周りに付いていた赤い足跡なんスけど──、鑑識の調べでは血液だって事が分かったんスよ。

  その血液が被害者の血と一致したんです!! 」


「 ふぅん?

  それがなんだよ? 」


「 その足跡は──、被害者を取り囲むように道に付いていたんですけど、階段にも上の道にも付いてるんスよ!

  一体から足跡が出てるのか調べてみたら、信号を渡ってからみたいッスね。

  足跡から逃げるように被害者は公園にはいったみたいッスね。

  走ってる最中に足を滑らせて階段から落ち──、全身打撲で死んだ。

  被害者の顔がグシャグシャに潰されていたッスから、誰の仕業かはだ分かってないッス 」


「 血の足跡って──、“ かげのう君 ” の裸足の足跡に似てるんじゃないか? 」


「 マオさん、鋭いッスね!

  そうなんスよ!

  連続とおり魔殺人の被害者──殺害された学生はるッス。

  殺害された被害者達の怨念が加害者であるとおり魔を襲い、転倒事故としてしまつしたんじゃないか──って話しも出てるんスけど、刑事が非科学的な事を理由に事件を解決させる訳にはいかないんスよ!

  奴に恨みをいだいてるのは、身勝手な理由で息子やむすめいのちを奪われた遺族達ッス。

  遺族達の中に今回の殺人犯がるんじゃないか──って事で警察は捜査してるッス 」


「 顔をグシャグシャに潰されていたんだっけ?

  だから、恨みをいだいてる被害者遺族の誰かの中に犯人が──。

  足跡の事はんだ? 」


「 それは……犯人が都市伝説の “ かげのう君 ” の事を利用して、被害者の血を使って裸足の足跡を付けて──みたいな感じにするとかなんとか…… 」


「 ふぅん……。

  無理だろうな。

  この動画を見る限り、かなり長い距離に足跡が残っているだろう。

  これだけの足跡を現場に残すには大量の血液が必要になる。

  殺された被害者の血液はカラカラに抜き取られていたのか? 」


「 い、いえ……。

  抜き取られたような痕跡は無かったそうです…… 」


「 人間が人為的に足跡を残すには、被害者の肉体から大量の血液を抜き取るか、他者の血液を使うか、動物の血を使うか、赤いペンキを使うか──まぁ、いろ(いろ)と準備が必要だろうな。

  信号を渡り終わった場所から公園に向けて足跡は続いているし、公園の中、階段にも足跡がしっかりと残っている。

  しかもだ、どの足跡からも検出されるのは死んだ被害者の血液ばかり──。

  他者の血液でもなく、動物の血でもなく、ペンキですらない。

  赤い足跡は雨が降っても落ちずに道や階段に付いてる──か 」


「 そうなんスよ!

  これって、もう、人為的に付けられた足跡じゃ無いッスよ?

  しょうれいさんならなんとかしてくれるじゃないか──って…… 」


「 シュンシュン、どうなんだ?

  今度こそ、帰り道に出るって噂されてる “ かげのう君 ” の仕業なのかな? 」


なにが “ かげのう君 ” だよ。

  馬鹿も休み休み言え。

  足跡はだ消えずに残ってるんだったな 」


「 は、はい!

  擦っても磨いても焼き付けられたみたいに付いてるらしくて消せないみたいッス 」


し、現場に行くか。

  怪異のたぐいの仕業ならぐ分かる 」


「 シュンシュン、今回は珍しく前向きだな! 」


「 依頼相手が警察だからな。

  警察も世間には公表出来ない裏金を隠し持ってるからねぇ~~。

  僕は椅子に座って返ってやがる無能な税金泥棒のブタヌキどもが知られたら困る弱味を握ってるんだぞぉ~~。

  おおいに利用させてもらおうじゃないかぁ~~ 」


「 警察の偉い人達を “ 無能な税金泥棒 ” 呼ばわりするのはまずいんじゃないのか? 」


なんでだよ? 」


「 目の前に刑事がるじゃん 」


「 はぁ?

  なに言ってんだよ。

  たいごときが僕を逮捕出来るわけないだろ。

  僕を敵に回してみろよ。

  日本全国の警察職員とその家族を一夜のあいだに呪詛死させる事も出来るんだぞ。

  日本全土から警察官が死滅しても構わないってなら、逮捕すればいさ。

  僕が呪術を使った証拠は残らないから、僕を犯人にする事は出来ないし、刑務所へれる事も出来ないぞ 」


「 あはは~~。

  シュンシュンは敵対するやからには容赦しないもんな~~ 」


「 素直にくちめ料として、僕に大金を献上すればいんだ!

  日本中の裏金は全部、僕のカネになる為に存在してるんだからねぇ!

  あっはっはっはっはっ!! 」


「 シュンシュン、人が見てるから高笑いはめような?

  ファミレスを出禁にされたら困るだろ 」


「 分かった分かった。

  マオはいち(いち)煩いな。

  たい、現場に案内しろ 」


「 お任せください! 」


ついでにの支払いもしとけよ 」


「 えぇ~~~~ 」


たい、御馳走様~~ 」


 マオとしゅんれいは、支払いをたいに押し付けるとファミレスを先に出た。

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