表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道のカゲノウ君 】
8/36

✒ 赤い靴 2


まったく、とんでもない糞女ただったな!

  なん糞のかたまりみたいな女とんだ?

  僕には理解出来ないねぇ 」


「 …………昔は優しい子だったんです…… 」


「 昔ってはなしだよ…。

  さっさとみかって縁を切れ。

  じゃないと、も怪奇にわれる事になるぞ 」


「 シュンシュン、あの子が怪奇にわれるってなんでだ? 」


「 眼鏡を掛けて見てみろ。

  面白いもんが見えるぞ 」


「 遠慮しとくぅ~~。

  えぇと──、この道を歩いていたら赤い靴がそらから落ちてたんだよな? 」


「 は、はい。

  学校からの帰り道です。

  この道をとおらないと最寄り駅に行けません 」


「 シュンシュン、なにか分かるか? 」


「 4日も前だろ。

  まぁ、辿ってはみるが……。

  赤い靴が無いからな、期待はするな 」


 しゅんれいは御札を出すと短く呪文を唱える。


「 呪術には呪術だ。

  さぁ、赤い靴がからたのか僕に教えろ! 」


 御札は宙に浮くとクルクルと飛び回る。


なにしてるんだ?

  なんでクルクル回ってるんだよ? 」


「 痕跡をさぐってるんだ 」


「 痕跡かぁ…。

  残ってるといな 」


「 ……………… 」


「 どうしたんだ、ぉ。

  顔色が悪いぞぉ?

  なにか言いたい事でも有るのかなぁ? 」


「 シュンシュン、急にどうしたんだよ?

  声が怖いんだけど? 」


「 ………………ご……御免なさい…………。

  …………赤い靴は…………私が……私が…………用意しました…… 」


「 うん?

  さんが “ 用意した ” って、どゆこと? 」


「 日頃の仕返しに “ 帰り道のカゲノウ君 ” を利用していやがらせをしたんだな? 」


「 ………………はい…………御免なさい…… 」


「 えぇ~~。

  さんの悪戯だったのかよ 」


「 …………耐えられなくて…………。

  教室で話してる内容が聞こえてたから……私………… 」


「 ふぅん。

  仕返しする元気はだ残ってた訳か。

  の気持ちが分からない訳じゃない。

  あの糞馬鹿女は僕も気にわないからねぇ。

  のろって困らせてやりたくなる気持ちは否定しない 」


「 シュンシュ~~ン 」


「 だからって、素人が怪奇に手を出し、仕返しに利用するのは感心しない。

  やり方はほかにも有る筈だ。

  呪術のプロ──、僕に依頼するとかな! 」


「 え……? 」


「 僕なら悪戯をほんとうに出来るぞ。

  赤い靴が届いた奴は誕生日──産まれた時間に死ぬんだろ?

  現実にしてやろう──って言ってるんだ 」


「 ちょっ、シュンシュン!

  なに言い出すんだよ!

  噂をほんにするって正気かよ? 」


「 呪術はじかに手をくださない。

  ゆえに “ 完全犯罪 ” になる。

  なにもしなくていい。

  誕生日を迎えた日に糞馬鹿女が死んでも、どおり生活していれば、誰からも疑われない。

  どうだい、僕に依頼するか? 」


「 シュンシュン!

  冗談もほど(ほど)にしとけよ! 」


「 ……………… 」


「 マオは黙ってろ。

  僕はとビジネスのはなしをしてるだ。

  どうだい、ぉ。

  悪いはなしじゃないだろぉ? 」


「 ………………いいえ…………めときます……。

  私が間違っていました……。

  私……両親に話します……。

  転校させてもらえるように…………これ以上…と関わらなくていように……。

  あの…………ほんとうに御免なさい…… 」


「 そうか。

  折角、復讐が出来るチャンスをみずから捨てるか。

  まぁ、いさ。

  きみだ未成年だからねぇ。

  ほら──、僕の名刺だ。

  困った事が起きたら僕を頼れ。

  呪術で解決させてやるよ。

  間違っても “ 自分の手でケリを付けよう ” なんて馬鹿な事をするんじゃいぞ。

  一般人の素人に “ 完全犯罪 ” なんて出来やしないんだからな 」


「 シュンシュ~~ン、言い方が悪いぞぉ 」


がとう……(////)

  今日きょうほんとうに御免なさい…… 」


「 日が暮れる前に帰れ。

  寄り道するなよ? 」


「 はい(////)」


 しゅんれいから名刺を受け取ると帰って行った。


「 シュンシュン…… 」


「 そんな顔するなよ。

  顧客候補をゲット出来たろ 」


「 今回は仕返しする為の悪戯だったから、怪奇事件は起きないって事だな? 」


「 いんや、起こるさ。

  わざ(わざ)僕が起こす必要も無いねぇ 」


「 どゆことだよ? 」


「 眼鏡を掛けて糞馬鹿女を見たら分かる。

  あの糞馬鹿女は棺桶に片足を突っ込んでる状態なのさ 」


「 えぇっ?!

  なにそれ、どゆことだよ 」


「 あの糞馬鹿女を恨んでる奴はほかにもるって事さ。

  あの馬鹿女は呪詛を身に付けてやがるんだ。

  その呪詛がよどみを引き寄せている。

  怪異のたぐいはよどみに集まる。

  ちか(ぢか)糞馬鹿女の身の回りで怪奇現象が頻発するようになる。

  1ヵ月もしない内に糞馬鹿女は怪奇にわれて死ぬ 」


「 ………………呪詛を身に付けてるってなんだよ?

  なに呪詛が掛けられてるんだ? 」


「 ヘアピンだよ。

  前髪に付けてただろ?

  あのヘアピンがよどみを引き寄せてるんだ。

  よどみが全身に付いてる奴にはそう(そう)お目に掛かれないからな。

  見物だぞぉ 」


「 やっぱり見ないでおく…… 」


「 折角、片足を棺桶に入れてるんだから、もう片方も棺桶に入れてやろうと思うんだ 」


「 えっ?

  なにする気だよ? 」


「 燃やして灰になった筈の赤い靴が部屋にあったら、どう思う? 」


「 えぇ~~ 」


「 3日前,2日前,前日,当日──って感じに赤い靴が目の前に落ちてたら、どうだ?

  面白くないか? 」


「 シュンシュン…… 」


一寸ちょっとばかり懲らしめてやるだけさ。

  恐怖をあおってやるだけだ。

  放っといても勝手に死ぬんだ。

  一寸ちょっとぐらい精神的に追い詰めてやっても構わないだろ? 」


「 最低だな、シュンシュン…… 」


「 フン!

  “ 褒め言葉だ ” って言ったろ。

  それともマオは、あの糞馬鹿女にイラっとしなかったのか? 」


「 そりゃムカついたけど…… 」


「 なら、決まりだ! 」


「 勝手に決めるなよ~~ 」


 マオとしゅんれいは現場をあとにして最寄り駅へ向かって歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ