表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道のカゲノウ君 】
5/36

⭕ 人形がいる 2


「 へぇ──、が現場かぁ。

  会社からの帰り道──、この道に人形が落ちてるのか? 」


「 マオさん、落ちてるんじゃなくて、落ちてるらしいッスよ。

  そらからボトッと──。

  地面に落ちると人形が鳴るみたいで…… 」


「 人形が鳴る?? 」


「 はい……。

  “ キュピッ ” とか “ ピキュ ” とか──。

  人形に不釣り合いな可愛いおとらしいッスよ 」


「 人形に不釣り合い?

  シュンシュン、人形ってさわっていのかな?

  ほんに鳴るか押してみたいよな! 」


「 勝手にしろよ。

  人形はに置いてあるんだ?

  案内しろ 」


「 は、はい!

  此方こっちに纏めて置いてあるそうッスよ 」


「 随分と年季のはいったぎたない物置だな…。

  ほん中に人形をれてるのかよ 」


「 マオ、眼鏡を掛けてみろよ。

  面白いもんが見れるぞ 」


だよ。

  霊視眼鏡を掛けたら人形をさわれなくなるだろぉ~~ 」


「 ハッ、変わり者だな。

  好きなだけさわってろ。

  さわれるならな! 」


「 どういう意味だよ? 」


たい、物置けろ 」


「 は、はい!

  鍵を借りてるッス! 」






「 御待たせしました!

  鍵を借りてました、しゅんれいさん! 」


「 よし、開けろ。

  結界を張ってやったから物置からは出てれない。

  10万追加な 」


「 シュンシュン、結界張ったぐらいで10万はボリ過ぎだぞ 」


「 僕の張る結界は高いんだよ!

  結界に使う御札がいくらするか知ってるのか? 」


「 自分で作ってるじゃん。

  材料だってセロが出してるし、もとはタダだろ~~ 」


「 僕の作る御札は、10枚り300万で完売するんだぞ!!

  1枚30万はする高価な御札だぞ! 」


「 だったら御札を使わないで結界を張ればいだろ? 」


「 御札を使わないで張ると疲れるんだよ! 」


「 あのぉ……鍵をけたんですけどぉ…… 」


「 サンキュー、たい

  どんな人形が押し込まれてるんだろうな?

  ワクワクするな、シュンシュン! 」


「 勝手にワクワクしてろ… 」


 物置の引きが、ギギギィーーーーっとにぶおとを立ててひらく。


「 ──ウゲェ~~~~!!

  くっさ!!

  めっちゃ?!

  なんだよ、この鼻が曲がる臭さはぁ!! 」


「 ははは~~。

  においは僕にも消せないな~~。

  おい、ファブるもんを持ってい! 」


「 ファブるって──、フ◯ブリーズでも買ってるッスか? 」


「 シュッシュッしないとはいれないだろが。

  無香性の消臭剤を大量に買ってい!

  間違っても微香性なんか買ってるなよ! 」


「 はっはい~~!

  あの、代金は? 」


「 はぁ?

  (たい)()のポケットマネーに決まってるだろが!

  つべこべ言わずに早く行け! 」


「 はっはい~~!! 」


「 シュンシュン…… 」


なんだよ?

  文句は受け付けないぞ! 」


なんで小屋にちかくんだよ?

  においは平気なのか? 」


「 結界だ。

  (たい)()は邪魔だからな、避難させたんだ。

  消臭剤は必要になるから丁度かったな。

  ──マオ、お前が見たがってた人形だぞ 」


「 どんなにんぎょ──ひぇっ!!

  シュンシュン!

  なんだよ、この人形はぁ──!! 」


「 こんな人形が毎回そらから落ちてるんだろ。

  不気味な人形には変わりないな 」


「 きぃもぉ~~~~!

  なんで針が刺されてるんだよ?

  さわるのもいやなんだけど…… 」


なになよっちい事を言ってんだよ。

  ほら、鳴るか試してみろよ 」


「 ………………遠慮しとくぅ~~ 」


「 とんだチキン(腰抜け)野郎に成り下がったもんだな、マオ! 」


 そう言いながらしゅんれいは、人形に刺さっている針を1本1本抜き始める。

 針の先には赤い液体が付いており、ポタポタ……と地面に赤い液体が落ちる。


「 シュンシュン……その赤い液体って…… 」


「 ん?

  あぁ、血だな。

  ほらよ──、針を抜いてやったぞ。

  これでさわれるだろ?

  僕は助手に優しいんだ 」


「 “ さわりたくない ” って言ってるだろ~~! 」


まったく──、お前の情けない姿をセロフィートに見せてやりたいよ。

  動画っていか? 」


めろよぉ!

  写メも動画も禁止だからな!! 」


「 分かった分かった 」


 しゅんれいは面白そうに、ニヤニヤ笑いながら左手に持っている人形を地面に落とすと、左足で踏み付けた。

 踏み付けた人形から大量の血液が飛び散った。


「 ひぇっ!!

  な…なんで人形から大量の血が出てるんだよぉ~~?!

  人形の中、どうなってんだよ!? 」


「 僕が知るか。

  しかし、奇妙な人形だな。

  これだけの血液を人形の中身に染み込ませるとなると──。

  面白い人形だ 」


に面白い要素があるんだよ!

  セロみたいな事、言うなよ! 」


「 マオ、1番ヤバそうな人形をセロフィートの土産みやげに選んでやるよ 」


ずぇっっったいめろぉ!!

  セロが面白がって大量生産したらどうすんだ! 」


「 はぁ?

  いじゃないか。

  陰陽師アイドル完全監修で売り出せば、僕のふところもパンパン潤う事、間違いなしだからなぁ! 」


「 ゲスい…。

  最低だぞ、シュンシュン! 」


「 フン!

  最低で結構だ!

  僕には褒め言葉だぞ、マオ 」


 しゅんれいは足を退けると潰れた人形を持ち上げる。

 人形からはポタポタ……と赤い液体が垂れている。


「 ふぅん?

  綿の中に毛髪がはいってるねぇ 」


「 はぁ?

  髪の毛ぇ!?

  なんで人形の中に髪の毛がはいってるんだよ?

  針だってそうだし……。

  誰が不気味きわまりない人形を作ったんだろうな? 」


「 さぁな。

  マオ、にある人形の針を全部抜くぞ 」


「 え゛っ?!

  は…針を抜くぅ!?

  なん面倒な事をしないといけないんだよぉ!! 」


「 つべこべ言うな!

  針の1本1本には呪詛が込められている。

  この針を回収するんだ 」


でかよ? 」


「 当たり前だろ。

  で抜いても問題ない。

  いまぐ始めろ! 」


「 えぇっ──、オレ1人で抜くのか?

  シュンシュンはなにするんだよ? 」


「 僕か?

  僕は人形がから落ちてたのかさぐるんだよ 」


なんか、ずっこいな~~。

  オレにはくさい人形の針を抜かせといて、シュンシュンは── 」


「 マオには人形の追跡なんて出来ないだろ。

  自分に出来る事を精一杯やれ! 」


「 言い返せないのが悔しいぃ~~!! 」


 マオはしぶ(しぶ)に人形を手に取ると1本1本、慎重に丁寧に針を抜き始めた。


「 フン!

  さてと──、お前はからたんだ?

  お前を作ったあるじをの僕に教えろ! 」


 しゅんれいは御札を1枚サッと取り出す。

 短い呪文を唱えると人形の中へ御札をれる。

 ほそい糸を出して人形をグルグル巻きにすると、宙へポイッと投げた。


 ポイッと宙に投げられた人形は、ギュンッ──とかへ向かって飛んで行った。


「 そうそう、僕の式神をしっかり案内してくれよ。

  居場所が特定出来たら、僕がじき(じき)に遊びに行ってやる。

  楽しみに待ってろ 」


 しゅんれいは人形が飛んで行った方向を見詰めながら、ニヤッと笑う。


「 シュンシュン──、用が済んだなら針抜くの手伝えよ! 」


「 あぁ?

  するわけないだろ、そんなチマチマした事なんか!

  僕は疲れたからアイスでも買ってる。

  僕が戻ってる迄に終わらせとけよ 」


「 はぁ?!

  なに言って── 」


 文句を言うマオに対して、しゅんれいは右手をヒラヒラさせながら物置から離れて行った。

◎ 変更しました。

  シュシュ ─→ シュッシュッ

  髪の毛 ─→ 毛髪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ