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☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道の鳥居 】
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✒ 白い鳥居 10


 シュンシュンの事務所── 名義はセロ ──の屋上に式神が着陸する。

 飛行機じゃないから “ 着陸 “ は変かな?

 とりがたの式神の背中から降りると、シュンシュンは式神を消す。


 屋上のドアをけて階段を駆け下りたら、シュンシュンのしきれいになったかずが待つ事務所のドアをけた。


「 ただいま~~!

  かず、1年間も留守番させちゃって悪かったな! 」


 オレはドアをけて、元気な声で事務所にはいる。

 事務所の中には座敷わらしの格好をしたかずる。


「 あ~~、お帰りなさい!

  随分と遅かったね 」


「 5人を見付けるのに時間が掛かっちゃってな~~。

  無事に戻ってれてかったよ 」


「 僕、50年も1人で留守番してて退屈だったんだよ~~ 」


「 は?

  50年??

  なに言ってるんだよ。

  オレ達が出掛けて1年くらいだろ~~ 」


「 1年?

  ううん、しゅんれい様とマオ様は、はくだいさんの依頼を受けてから50年も音沙汰が無かったんだよ 」


「 マジで? 」


「 マジだよ~~。

  ちなみに今の事務所はげん様とづる様が使ってるよ~~ 」


「 へ?

  げんさんとづるさんが使ってる?

  どゆこと?? 」


 依頼人──はくだいさんから依頼を受けた日から50年が経ってるとか──、シュンシュンの事務所をげんさんとづるさんが使ってるとか──、マジでぉ~~??


「 ──なんだって?!

  1年どころか50年も経ってるだと?!

  どういう事だ!! 」


 かずと話していたらシュンシュンが事務所にはいってた。

 シュンシュンも時間の流れの違いに驚いてるみたいだ。

 どうやらシュンシュンに想定がいだったらしい。


「 シュンシュン……どうしよう…… 」


「 僕に聞くなよ。

  まぁいい──、ほんくないがな。

  かずいまはくだいに連絡しろ。

  友人を連れ帰ってたってな! 」


「 は~~い 」


 かずは慣れた手付きで依頼人へ電話を掛ける。


「 まぁ、50年も経ってようが、僕は人間みたいにとしを取らないからな。

  長い旅行をしたと思えばいさ 」


「 そ、そうかな~~。

  そんな簡単に割り切れるもんかな…… 」


「 割り切れ!

  起こってしまった事を言うのは無しだ!

  今の僕には事があるだろう。

  先ずは受けていた依頼を終わらせる事に集中するんだ 」


「 そ、そだな……。

  はくだいさんに渡す報告書を作らないとだ! 」


 という訳で、シュンシュンとオレは依頼人がる迄に報告書の作成に取り掛かる。

 とは言っても報告書の作成作業に奮闘したり、清書するのは、読み書きや算術の出来るしきれいなんだけどな~~。


 シュンシュンは自分専用のソファーに腰掛けて、かずが出した和茶をすすりながらくつろいでるだけた。

 く言うオレもセロに話す言い訳──理由を考えるのに忙しくて正直言って報告書の作成どころじゃない。


 50年もセロと会ってないって事かよ……。

 どうしよう……どうしたら、セロの怒りを買わずに済むんだろう??

 正直に話して許してもらえるのかな……。











 元の世界に戻ってれた日から2日が経った。

 事務所のソファーには依頼人──はくだいさんが座っている。


 今年の誕生日には67年目を迎えるらしい。

 67歳か……。

 依頼を受けたときは17歳だったんだよな~~。

 時間の流れは残酷だと思えてまない。


 依頼人のはくだいは年齢を重ねてとしを取り、すっかり年配の高齢者だ。

 対してシュンシュンとオレと言えば、当時と変わらない15歳(シュンシュン)16歳(マオ)の若い容姿のままだ。

 報告書を片手にシュンシュンの説明を受けているはくだいさんは、複雑そうな表情を浮かべてはなしを聞いている。


 どうやって白い千本鳥居を出現させたのか──から始まり、彼方あっちの世界は異界ではなくて、此方こちらく似た別世界だった事──。

 5人の捜索状況,見付けた当時の5人の様子,生身で戻ってれたのは彼方あっちやくちゅうになり、現在もラリってる1人だけ──って事と3人は彼方あっちで無くなっていて遺骨を骨壺にれて持ち帰った事──。

 5人目は彼方あっちで家庭を築いていて戻らないと言われて、両親に宛てた手紙と友人のはくだいさんに対して宛てた手紙を預かってた事──。


 あまりにも刺激が強い部分は可能な限りしながらじつたくみな話術を駆使してでシュンシュンが説明してくれた。

 シュンシュン、立派な詐欺師になれるな★


 オレ達が彼方あっちで過ごした期間は約1年間だったけど、探しびとだった5人は彼方あっちた日から10年もの年数を生きていた事もシュンシュンが説明してくれた。

 しきれいはくだいさんにも分かり易いように報告書に絵まで描いている。


 彼方あっちでは約1年を過ごしていたのに、なん此方こっちに戻ってたら50年も経っているのか謎だけど、そんな事は横に置いといてだ──、警察に4人の捜索願いを出していたはくだいさんが、捜索願いの打ち切りをする為に警察へ連絡をしてくれた。

 じつ、警察署へ行って打ち切りの手続きを済まる事になったみたいだ。


 忘れたらいけないのが、4人の家族に連絡をれる事だ。

 これも連絡先を知っているはくだいさんがしてくれた。

 50年も経ってるから既に両親達は亡くなってしまっている。

 4人に兄姉弟妹きょうだいてくれたのはさいわいだと思う。


 やくちゅうでラリってる奴は、薬物依存を治す施設にでもれらそうだけどな~~。

 こんな状態で戻ってたら身内からは迷惑がられそうで少し不憫に思う。


 なにはともあれ、4人の家族が事務所に集まる事になった。

 はくだいさんに説明した事を4人の身内にも説明しないといけない事になる。

 へんたくみな話術で話してくれるシュンシュンに任せたらいと思う。











 オレはシュンシュンの許可を貰って一足先に裏野ハイツへ帰る事になった。

 シュンシュンが転移陣を使って送ってくれる。

 オレにとっては1年りだけど、セロ,セノコン,マオキノにとっては50年りになるんだよな……。

 心臓はセロに無いんだけど、ドキドキと高鳴っている。

 どんな顔をして会ったらいんだろう……。


「 マオ、忘れ物は無いか? 」


「 うん、大丈夫だ 」


くれ(ぐれ)もセロフィートの機嫌をくしとけよ!

  僕に火の粉が飛んでないようしっかり、御機嫌取りしとけよな! 」


「 シュンシュン……。

  出来る限りの最善は尽くしとくよ 」


 シュンシュンから念押しされたオレは、シュンシュンの転移陣で裏野ハイツへ帰された。

◎ テーマである「 帰り道 」に便乗して投稿した作品を無事に完結させる事が出来ました!

  “ なんちゃってホラーもどき ” な作品でしたが、読んでくださったホラー好きの読者の皆さん,ホラーとか関係無く読んでくださった読者の皆さん、有り難う御座いました。


◎ 少しでも【 夏の企画 】の盛り上げに貢献させて頂けたのかは分かりませんけど、皆さんの暇潰しになりましたでしょうか?

  未完のまま放置している作品が多いですが、他にも “ 黒歴史の産物 ” が有りますので、暇潰しに読んでいただけると嬉しいです。

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