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☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道の鳥居 】
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✒ 白い鳥居 8


 すっかりはだざむさを感じなくなったトンネルを歩き続ける。

 シュンシュンいわく、はだだむさを感じなくなったのは、“ れいどうから出たから ” らしい。


 シュンシュンにはれいどうの中にる沢山の霊的存在や怪異の存在が見えていたみたいだけど、オレは見る事を拒んだ。

 怖くて前に進めなくなったらいやだからだ。

 迄の強靭な鋼の心と度胸はオレには無い。


 長いトンネルを抜けると、沢山の鳥居が彼方あちら此方こちらに建っていた。

 れも千本鳥居だ。

 鳥居の色は意外にもカラフルで、ポップな感じがしない事もない。


なんだよ、は……。

  鳥居ばっかりじゃんか!

  こんな場所、ときには無かったよな? 」


「 マオ、白い千本鳥居を探すんだ。

  僕の式神が目印だぞ 」


「 分かったよ 」


「 これを首に掛けてろ。

  僕と御揃いのリングだ。

  リング同士が引き合うようになっているすぐれものだ。

  離れても御互いの場所が分かる 」


がとな、シュンシュン 」


なにが起きたり、出てるか分からない。

  油断はするなよ 」


「 あぁ!

  気を引き締めて探すよ 」


 オレはシュンシュンと分かれると手分けをして白い千本鳥居を探し始める。

 カラフルな鳥居が多くて白い鳥居なんてなか(なか)見当たらない。

 だけど、この空間で白い千本鳥居を見付けないと、オレ達は元の世界へは戻れないと思う。

 多分だけどな……。


「 ──セロ………………会いたいな……。

  もう1年も会ってないなんて嘘みたいだ……。

  早く帰ってセロに抱き付きたい…… 」


 セロが迎えにてくれたら嬉しいんだけど、そんな事は多分きっと無い。

 ()しい事を考えてないで白い千本鳥居を探すのに集中しないとだ。











なんだろう?

  おとがする??

  小石のおとかな?

  それになにかが流れてるおとがする?? 」


 オレはおとが気になって走る。

 カラフルな鳥居をいくつもとおり過ぎると河原が見えた。

 なんで河原が??


「 うわっ──、なんだよ、この河原……。

  石が積んである。

  それも沢山だ。

  誰かるのかな? 」


 積み上げられている石を壊さないように慎重に歩いていると、黒服を着ている人が大きな石の上に腰掛けていた。

 人だ!

 シュンシュンとオレ以外にも人がたんだ!

 オレは黒服を着ている人の元へ向かって歩いた。


「 ──こんにちは!

  河原でなにをしてるんですか? 」


「 うん?

  ………………あぁ、ひとがたの異形か。

  待ち合わせをしてるんだ 」


「 待ち合わせ? 」


さいの河原だ。

  此方こっちさんの川な。

  お前さんはなにしにたんだ。

  迷子か? 」


「 迷子ではないかな。

  白い千本鳥居を探してるんだ。

  白い千本鳥居をとおらないと元の世界へ帰れないから…… 」


「 はっはは!

  やっぱ迷子じゃないか。

  には白い千本鳥居は無いぞ 」


「 えっ、無いの?

  なんで?!

  無いと困るんだけど…… 」


「 白い千本鳥居なら、向こうにあるばしを渡って向こうぎしに行かないとな 」


ばし?? 」


「 あぁ。

  橋を渡るには通行料がるぞ。

  舟に乗って向こうぎしへ渡る手もあるが、ふなだいる 」


「 通行料とふなだい…… 」


カネは天下の回り者──。

  地獄の沙汰もカネ次第──。

  昔から言われているだろう 」


「 ………………マジかよ…。

  シュンシュンに伝えないとだ…。

  それより、さいの河原って言えば、親より先に死んだ子供が泣きながら石を積み上げてる所なんじゃ……。

  積み上げられた石を崩して壊す鬼もないし、肝心の子供達もないけど…… 」


「 うん?

  今は昼休みちゅうだからないぞ 」


「 昼休み?? 」


なんだ、なにも知らないのか?

  さいの河原で石積みはするが四六時中する訳じゃないぞ。

  衣食住が保証されているし、3食お駄賃付きだ 」


「 3食お駄賃??

  3食……お駄賃!?

  お金が貰えるって事?! 」


「 子供達は両親より先に亡くなった罪を償う為に河原で石を積み上げる。

  向こうぎしへ渡る為には通行料やふなだいが必要だからな。

  鬼から貰うお駄賃を貯めてるんだ 」


「 ………………じゃあ、お駄賃を貯めれた子供はさんの川を渡れるんだ?

  ずっと河原で石を積み上げてる訳じゃないんだ? 」


「 両親より早死にする子供はねん(ねん)増えてるからな。

  方針は時代に合わせて変わるものだ 」


「 そ、そうなんだ…。

  ちなみにさんの川を泳いで渡る──って事は出来ないのかな? 」


「 既に死んでいる訳だが、泳いで渡るのは自殺行為だな。

  流れが早いからな、流されて溺れる可能性が高い。

  1度流されると、数十年は救出されないで流され続ける羽目になるぞ 」


「 ………………泳ぐのは選択肢に入れないほうさそうだな…。

  橋を渡るか──、舟で渡るか──。

  持ち帰ってシュンシュンに相談だな。

  がとう、オジさん! 」


「 お……おじさん……。

  ──お兄さんだ。

  だ、“ おじさん ” 扱いされるとしじゃないからな… 」


「 あ……うん。

  白い千本鳥居の場所を教えてくれてがとう、お兄さん! 」


「 向こうぎしに渡ると環境が激変しているから注意しろよ。

  こんしょくと呼ばれるこんぱくらうあっが出没するから、じゅう(じゅう)注意しろよ 」


こんしょく── 」


 こんぱくらうあっ──か。

 シュンシュンもオレもこんぱくじゃないから襲われる事は無いかもだな。


「 それに関してもシュンシュンと相談するよ。

  がとう! 」


 オレは黒服の人に御礼を言って、その場を離れる事にした。

 黒服の人に手を振りながらさいの河原を離れようとしたら、大勢の子供達がこわもての鬼達に誘導されながらさいの河原に現れた。


「 ──配置に付け!

  今から “ いしみの刑 ” を再開する!

  一定の高さまで石を積み上げれた者はぐに手をげるように! 」 


「「「 は~~い! 」」」


「 多くの積み石を崩された者のお駄賃はUPアップするからな!

  少しでも多くのお駄賃が欲しい奴は気合いれていしみしろよ! 」


「「「 は~~~~い!! 」」」


 えぇ~~~~。

 なんか、想像してたイメージとだいぶん違う……。

 お駄賃欲しさに子供達は河原の石を使いながら、一斉に石を積む作業を始めた。

 子供達は真剣な顔で懸命に石を積んでいる。

 石をく積めない子供に対しては、鬼が丁寧にいしみのコツを教えている。


 やっぱりイメージと違う…………。

 さいの河原にる鬼って子供に親切なんだ……。

 子供と鬼が並んで石を積んでる光景を見て微笑ましく見えるぅ~~~~。


 シュンシュンを探す為にさいの河原から離れる。

 オレはシュンシュンを探す為に首に掛けてるリングを出した。

 リングはピクピクと動くと、宙に浮いてオレを引っってくれる。


 便利なリングだなぁ~~。

 勝手にシュンシュンの元に案内してくれるリングか~~。

 これ、売れたりしないかな?

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