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☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道のカゲノウ君 】
3/36

♥ かげのう君 3


「 ──が噂の現場かぁ。

  なんかさにでも在るような至って普通の道だよな。

  ひとどおりだって多いしさ、ほんに “ かげのう君 ” が出るのかな? 」


「 出るんだろ。

  やっこさんはぴるから出ないさ 」


ゆうどきの “ 帰り道 ” に出るって噂だもんな。

  シュンシュン、夕方までで時間を潰すんだ? 」


「 この先には学校や病院が在るらしいぞ。

  アウトレットモールも在るから夕方まで時間を潰せる。

  ひさりに羽を伸ばして遊ぼうじゃないか! 」


「 ふぅん。

  時間潰しには困らない訳か。

  勿論、シュンシュンのおごりだよな? 」


「 馬鹿うな!

  割り勘に決まってるだろ!

  僕の(魔法の)ブラックカードは1日の限度がくが決められてるんだぞ!

  1万円だぞ!

  くだらない事に使えるかよ!

  マオの(魔法の)ブラックカードを使って遊ぶに決まってるだろが! 」


「 助手にたかるなんて最低だな、シュンシュン… 」


いだろ、別に!

  ()(魔法の)ブラックカードには限度がくが無いんだろ。

  どうせ誰かのうらガネが使われるんだ、構わないだろう! 」


「 そりゃそうだけど… 」


「 よし、行くぞ!

  アウトレットモールへ! 」


「 おぅ!!

  ずははらごしらえ、したいよな! 」











「 ──どうだよ、マオ!

  僕のセーラー服姿すがたはさぁ!

  似合ってるだろう! 」


「 もしかして、セーラー服を着たくて性別反転して依頼人に会ったのか? 」


ほう

  そんな訳あるか!

  素人馬鹿には女の姿で会った方がいろ(いろ)と都合がいんだよ!

  女でると役得が有るんだよ 」


「 役得ねぇ? 」


「 それにしてもだ、マオは学ランもブレザーも似合わないな~~。

  合うサイズも無かったし 」


「 余計な御世話だ!

  セロがてくれたら魔法マジックたけを調整してもらえるんだけどな… 」


「 でもまぁ、これで誰が見ても学生に見えるだろ。

  ゆうどきに制服姿の学生が2人、仲良く歩いてたら “ 帰宅途中 ” って事ぐらい馬鹿でも分かる 」


「 そうだな。

  実際に帰宅ちゅうの学生もるし、大丈夫だと思う 」


「 もう少し日が暮れればひとどおりも減るだろう 」


「 学生がとおらないように通行禁止のコーンが立てられてるんだな。

  コレ、見付かったら補導されちゃわないかな? 」


「 心配無い。

  学校がわにも近所の交番にも許可は取ってある。

  僕達以外は誰も立ちれ無いようにしてもらってるんだ。

  被害者が出ると面倒だからな 」


「 へぇ、まえもっひとばらいしてるなんてさすだな!

  じゃあ、この通行禁止のコーンも── 」


「 それは違う。

  1ヵ月前の事件が遭っただろ。

  それで夕方前に設置されるようになったんだ 」


「 あっ……そっか。

  依頼人の幼馴染みの子だな 」


「 この道は近道なんだと。

  この道をとおれば時間を大幅に短縮カットが出来るから学生達が登下校に利用してるそうだ。

  正規のルートを使うと1時間も掛かるんだとよ 」


「 へぇ、この道って便利な道なんだな~~。

  どのくらい短縮カット出来るんだ? 」


「 約45分だと 」


「 はぁ~~!

  1時間が15分で済むなら誰でも使いたがるよな!

  オレでも毎日とおるよ 」


「 ──そろそろだな。

  マオ、行くぞ! 」


「 すっかり日が暮れちゃったな。

  かげのう君、出ててくれるかな? 」


「 どうだかな。

  期待してやろう 」


 セーラー服を着た陰陽師と学ランを着た助手は、通行禁止コーンの横をすり抜けると先へ進む。


なにも出ないな 」


「 霊視眼鏡を掛けて周囲を見てみろよ。

  面白いもんが見えるぞ 」


「 絶対に見たくない光景が広がってるんだろ? 」


「 当たり前だろ。

  眼鏡を掛けないと襲われても対処が出来ないぞ 」


「 掛けたくないな~~ 」


 助手はしぶ(しぶ)霊視眼鏡を掛けると、素早く霊視眼鏡をはずした。


「 シュンシュン!

  なんかヤバそうなのが見えるけど!! 」


「 な、面白いだろ。

  僕が恐くてちかけないのさ! 」


「 シュンシュ~~ン、襲ってないんだよな? 」


「 安心しろ、あやかしも馬鹿じゃない。

  “ 勝てない ” って分かってる相手に手を出しゃしない。

  余程の馬鹿じゃない限りな 」


「 そうなんだ…。

  じゃあ、眼鏡を掛けててもいかな… 」


「 持ってるんだから使え!

  ()はケータイを携帯しない馬鹿と同レベルなのか? 」


「 掛ければいんだろ!

  ──ところでさ、へんに “ かげのう君 ” がるんだ? 」


「 そうだな。

  かせてみるか。

  これだけるんだ、知ってるやからるだろう 」


「 シュンシュンはあやかしともはなしが出来るのかよ。

  凄いな~~ 」


「 法術を使えば可能なんだよ。

  僕は凄い陰陽師だからな! 」


 陰陽師は御札を2枚出すと短い呪文を唱える。

 蒼い炎に包まれた御札を左右の人差し指と中指で挟むと左右の耳の近くでクルクルと回す。

 御札が燃え尽きると陰陽師の耳にはあやかし達の言語が理解出来るようになっていた。


「 ──おい、お前!

  ぼうのお前だよ!

  この中に人間から “ かげのう君 ” って呼ばれてるあやかしはるか? 」











「 ──チッ!

  使えないザコばっかだったな。

  一掃して正解だった 」


「 シュンシュン、あやかし達になにしたんだよ? 」


「 あぁ、しきれいにしてやったんだ 」


しきれいって──、名前を奪わないと出来ないんじゃないのかよ? 」


「 はぁ?

  名前を奪わなくてもしきれいには出来るぞ。

  やり方は乱暴になるけどな 」


「 乱暴って? 」


「 瀕死状態にしてからことだまに縛るんだ。

  僕に絶対服従になるから、僕の命令に逆らうと消滅する 」


「 ………………消滅ぅ!? 」


ときやすに取りいてた奴もしきれいにしてやったんだ 」


「 えぇっ?!

  アレをしきれいにしたのかよ?

  全然、分からなかった… 」


「 マオが弱らしてくれたからな。

  簡単にことだまで縛ってしきれいに出来たよ 」


「 結局さ、“ かげのう君 ” らしいあやかしなかったんだよな? 」


「 そうだな。

  1ヵ月前にときやすゆうを襲い、ゆうらったあやかしはすでにはないらしいしな 」


なんだよぉ~~。

  着たくもない学ランを着て、現地までたってのに~~!!

  無駄足だった──って事かよ! 」


「 そう言うなよ。

  僕は使えそうなしきれいなんたいかゲット出来たからかったぞ 」


「 さっき迄 “ ザコ ” って言ってなかったか? 」


「 ザコはザコでも使えるザコに決まってるだろ。

  この道であやかしが悪さを出来ないように結界を張っといてやるか。

  から通行禁止のコーンを置く必要は無くなるぞ 」


「 シュンシュン、優しいな~~。

  結界を張ってあげるなんてさ! 」


「 フン!

  少しは僕をなおしたか? 」


「 うん、なおした!

  い所あるじゃん 」


「 もうには用はないな。

  帰ろう 」


「 お、おぅ。

  歩いてるけど、足音は聞こえないよな。

  真っ赤な裸足の足跡も見ないしさ…。

  ガッカリだよ 」


「 足跡の正体はザコどもの悪戯だ。

  “ かげのう君 ” のわざじゃない 」


「 えぇ~~マジかよ… 」


「 足音もザコどもの悪戯な。

  “ かげのう君 ” なんて初めから存在してなかったかも知れないぞ。

  人間が勝手に名前を付けて騒いでただけかもな 」


なんだよそれぇ~~。

  期待して損した! 」


「 あっはっはっはっはっ!

  まぁ、次の依頼に期待するんだな!

  次が “ 有れば ” だけどな! 」


「 次の依頼か~~ 」


 陰陽師と助手は噂の現場から離れて帰宅するのだった。

◎ 訂正しました。

  あやかし ─→ あやかし

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