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☀ 夏のホラー 2023 参加作品  作者: 雪*苺
【 帰り道のカゲノウ君 】
2/36

♥ かげのう君 2


「 ──です。

  この病室にます 」


「 関係者以外 “ 面会謝絶 ” ってふだが掛かってるけど?

  オレ達、ガッツリ余所者だけど面会してもいのか? 」


ときやすの家族には話してあります。

  病院からも許可はりてます。

  今の状態を “ なんとかしてもらえるなら ” って藁に思いで── 」


「 ふぅん?

  なら両親や病院からも頂けるって訳だな。

  いねぇ~~。

  はらがあるってもんだ 」


「 シュンシュン、手加減してやれよ。

  病院は兎も角、家族は一般人なんだしさ 」


あまっチョロい事、言ってんじゃない!

  除霊ってのはいのちけなんだよ!

  つねに死と隣り合わせの真剣勝負なんだ!

  はらい屋がはらうのとは訳が違うんだよ!

  彼奴アイツは “ はらう ” って言うより、取りく対象ぶつを別に用意して強制的に移すだけなんだ。

  目に見えない奴から見れば、“ はらわれた ” ように見えるけど、実際にははらっちゃいない。

  はらい屋よりも “ うつ ” って名乗るべきなのさ 」


「 へぇ、オカルト業界には、そんなヤツるんだな 」


かつあき、これも縁だ。

  お前も覚えとけ。

  オカルト業界には野郎やインチキ野郎が意外と多いんだ。

  カモられて骨まで尽くされるのがいやなら本物を知れ。

  本物を知っていれば、偽物に騙される事もなくなるってもんだ。

  だが──、1番いのは “ 関わらない ” って事だ。

  興味本意や面白半分で足を突っ込まないように注意しろ。

  好奇心も行き過ぎるといのちを落とす事になるからな 」


「 “ 好奇心は猫を殺す ” ってことわざだろ?

  シュンシュン、病室にはいろう── 」


「 待て待て、慌てるな。

  かつあき、お前は病室にはいるな。

  病室のそと──、廊下で大人しく待ってろ。

  いな 」


「 ……分かりました 」


「 マオ、お前には目の前の病室が見えてる? 」


「 どうって?

  なにも見えないけど? 」


けぇ!

  セロフィートが用意してくれた眼鏡を掛けてから見ろっての! 」


「 あっ、そう言えばたしかに持ってたっけ!

  テッテレ~~♪

  霊視眼鏡ぇ~~~~。

  これを掛けると見えない存在を見る事が出来ちゃう不思議な眼鏡なんだよな 」


いから、さっさっと見ろ! 」


かすなよ!

  ──う゛っ…… 」


「 ど、どうしたんですか?

  きゅうに眼鏡をはずしたりして── 」


「 シュンシュン…………この中……滅茶苦茶ヤバいんじゃないのか??

  マジではいるのかよ? 」


「 ちゃんと見えてるみたいだな。

  当たり前だろ。

  中にはいらないとはらえないからな 」


「 シュンシュ~~ン、オレもはいる意味あるのかな?

  はらうならシュンシュン1人で十分過ぎるだろ?

  式神を出して訳だしさ 」


「 あのなぁ、時間稼ぎをするおとりるだろが!

  僕は病人の安全を確保しながらヤツの相手をしないといけないんだぞ。

  おとり役は必須なんだよ!

  マオの役目はヤツの気を引いて時間稼ぎをする事だ 」


「 最低過ぎる… 」


とうで切れるからしっかり役目を果たせよ 」


「 オレって損な役回りばっかだな! 」


「 病室にはいったら結界を張る。

  そとに被害は出ないから、思いっきり暴れてくれよ 」


「 分かったよ… 」


「 よし、はいるぞ! 」











「 ──ときやす、お前は現場でなにを見たんだ?

  助けてやったんだから、包み隠さずうそいつわりなくしょうじきに話せ。

  嘘をいたら別の悪霊を取りかせるぞ 」


「 シュンシュン、おどすなよ!

  あくりょうよりタチ悪いって 」


「 “ おどし ” も立派な交渉手段なんだよ!

  僕は暇じゃないんだ。

  嘘の情報を提供されるなんて願いげなんだよ! 」


「 えぇと、ときやす君、怖がらなくていからな。

  シュンシュンは “ かげのう君 ” がらみの事件を解決する為にてるんだ。

  行方不明ちゅうゆうさんも見付けるよ 」


ときやす──、たい先輩に頼んで紹介してもらった凄腕の陰陽師なんだ。

  しゅんれいさんは本物だ。

  信用の出来る人だから、当時の事を話してくれないか? 」


「 あ……あぁ…………。

  …………………………ゆうは帰ってないよ…… 」


「 帰ってない??

  どういう事だよ、ときやす!!

  ゆうが帰ってないってのはぁ!! 」


「 おい、詳しく話せ 」


「 シュンシュン、言い方~~。

  上から目線で言うのめてやれよ…。

  ときやす君、シュンシュンの言動は無視スルーしていからな! 」


「 おい!

  無視スルーは言い過ぎだぞ 」


「 …………なんか……漫才を見てる感じがするんですけど… 」


「 あぁ゛?

  なんか言ったか、かつあきぃ~~ 」


「 シュンシュン!

  続きを話してくれよ、ときやす君── 」


「 ………………ゆうは…………かげのう君に…………殺された………… 」


「 殺されたぁ?

  どゆことだよ? 」


「 かげのう君に…………身体からだを……ぷたつに…………。

  ゆうは…………俺をかばって──。

  俺を突き飛ばした所為で──、上半身と下半身が…………うぅ……うぅぅ…………俺の所為で── 」


ときやすしっかりしろよ!

  お前の所為じゃない!

  かげのう君を『 たしかめに行こう 』って言い出したのはゆうの方だろ?

  だから…………だから………… 」


「 言い出しっぺが自滅したって訳か。

  誘った手前、誘った相手を置いては逃げれないよなぁ?

  しゅしょうこころけじゃないか。

  被害者のこころめんじて、その “ かげのう君 ” って奴は僕がはらってやる!

  おい、場所を教えろ 」


「 シュンシュン、上から目線でかくするのめような?

  仔犬みたいに震えてるからさ 」


「 フン!

  僕は偉大な陰陽師だからな!

  こうべれて膝まずけ! 」


「 シュンシュン……時代を考えて発言しような~~。

  ときやす君のいてくれた地図マップ手にれたし(ゲットしたし)、現場に行こう!」


「 待て待て、慌てるな。

  おい、ときやす──。

  上半身と下半身を引き裂かれたゆうなった? 」


「 あ……あ…あ……分かんねぇ……。

  見えない “ なにか ” に引きられて……消えちまった……。

  ちゅうに舞って……血が飛び散って──消えたんだ…… 」


われたか。

  なら、死体の回収は無理だな。

  かつあき──、お前の幼馴染みはわれて死んだ。

  捜索願いは取り消した方がいぞ 」


「 えっ──??

  ゆうは── 」


いくら待っても帰ってきやしないさ。

  ゆうって女はあやかしにわれたんだからな!

  った奴が “ かげのう君 ” ってやからなのかは現場へ行かないと分からない 」


なんな予感しかしないな~~。

  まぁ、これからも人間を襲うなら退治しとくに越した事はないよな 」


「 どんなあやかしをおがめるか楽しみだ。

  マオ、行くぞ! 」


「 はぁ……。

  気は進まないけど行くか。

  “ かげのう君 ” に会えるかな? 」


「 出てないなら、僕がじき(じき)に引きり出してやるさ! 」


 病室にときやすかつあきを残したまま、陰陽師と助手は精神病院をあとにした。

◎ 訂正しました。

  あやかし ─→ あやかし

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