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猫の下僕の生態

猫とこたつ

作者: 昼行灯

 こたつをだすのは一仕事だ。


 まず天板を外すためにテーブルの上を片付けなければならない。次に天板を一時置ける場所を安全に確保しなければならない。

 このたった二工程を行おうとするだけでも「掃除」という大変手間がかかる作業が附随してくる。そこからこたつ布団を掛けて、なんなら前段階でテーブル下の敷物も冬物に変えて、こたつ布団にこたつ布団カバーを掛けて天板を乗せる。

 ここまでしてようやくこたつをだすという作業の工程が終了になるのだ。


 こたつをだそうと思ってから暫くの間は重い腰が根を張って固定されるのも仕方がないことだろう。家庭によってはテーブルごと入れ替えるようだが、我が家では春夏秋冬土台のテーブルは同じだ。春夏秋は真っ裸で過ごしたテーブルが冬になるとモフモフなこたつ布団を被って電熱線を温めるためのコードを装着する。テーブルごと替える手間と比較したら楽だと思われるかもしれない。


 しかし、猫がいると話は変わってくる。


 まず天板を外すために動いた下僕に興味をもった猫を天板からどかす。次に天板を置く予定の空間を遊び場と思って移動した猫に声をかけて天板を持ち上げたまま他の場所に誘導する。さらにこたつ布団を広げた時にじゃれてくる猫をマントを翻すかの如くいなす。さらにさらにテーブルに掛けたこたつ布団の上に飛び乗った猫を抱っこしてあやす。こたつ布団とカバーの間に入った猫とかくれんぼをする。止めは持ち上げた天板を人力エレベーター遊びと勘違いして乗ってきた猫の体重に耐える。


 こたつの設置が終わる頃には下僕の息は絶え絶えになっているのが世の常だ。おまけにこれだけの労力を払ってもこたつのど真ん中は猫のものなのだから理不尽なものである。


 だが、こたつの暖かさで溶ける猫を見られるのは季節限定のご褒美だ。


 その蕩けるスイーツのような甘さを求めて今年もまた下僕はこたつをだすのである。腰を気にしながら。


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