少しずつ、変わっていく
今年は少ないと
言われている
蝉の鳴き声
まだまだ時雨とはいかなくとも
お寺の境内で耳にして
陽射しが戻った
河川敷では
ウグイスの鳴声
まだこの時期でも?
なんて姿を探した
緑の濃さを
通り過ぎるたびに感じさせる
大きなイチョウの木は
真っ直ぐに
ひたすら真っすぐに
青い空へと向かって
背を伸ばしている
一歩を踏み出すたびに
軋む足は
日頃と長年の運動不足を
突きつけてきて
やっぱり
一歩を踏み出すたびに
心が軋んで仕方なかった
あの頃を思い出させる
水音に気を引かれて
足を止めた先では
ため池の小魚たちが
見たことないくらいの数
一斉に
水面を跳ね回っていて
銀色の体を
陽光で輝かせて
今は
夕暮れの少し前
金色に染められた雲に
目を奪われて
窓辺に佇む
我に返ってから
改めて
平日
自分には空を見る余裕もないのだと
気付いて
心の中
不安と恐れと焦りとで
一杯にして
どこにも余裕を作れていないのだと知る
なにか一つで良い
気付けるようにならないかな
毎日同じでなく
少しずつ
変わっていく姿を見せてくれる
示してくれる
風景 自然 生きものたちに
気付けたから
なにかができる
なにかが変わる
そんなこと
あるはずもないのだけど
もう少し
もう少し
周りも見られるように
そうなれるように