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見つかったパイセン

仕事の関係で更新頻度落ちてます。かわりと言ってはなんですが短編公開してます。


『月見公園を奪還せよ!〜追い出されたホームレス達が公園を取り戻すために立ち上がった〜』

https://ncode.syosetu.com/n5478hg/

「ハジメ君、なんか元気ないね。悩み事?」


作戦会議を兼ねて九賀とファミレスで夕食をとっている時だ。正面からマジマジと顔を見られた後、そんなことを言われた。


「次のターゲットが決まらないのは悩みと言えば悩みだな」


「うーん、そーいう悩みではなくて、もっと重たいのがあるんじゃない?」


「……ないな」


「これは重症ね。お姉さんに話してみなさい」


そう言いながら九賀は立ち上がり、しれっと横に座ってきた。この女は隙あらば身体を触ろうとする。


「触るな」


「嫌よ。ハジメ君のツルツルの頬っぺたが好きなの」


「悩み相談はどこへいった?」


「触りながら聞いた方が捗るの」


「何が?」


「ショタが」


「開き直るな!」


腕を突っ張って抵抗するが、リーチが違うせいで逃げ切れない。


「ふふふ。観念しなさい。憑いてない時は私の方が強いわ」


ちっ。ここは"性悪の"を呼んで──。


「えっ、根岸パイセン?」

「おっ、ハジメ君じゃないか」

「あら、今晩は」


やばい。今、この状況を最も見られたくない奴等に出会してしまった。


「……人違いです」


「いやいや、パイセンっしょ! がっつり目が合ってますよ」


「……ねえ、知り合い?」


九賀が耳打ちする。もう逃げられないな。


「なんだ、鼓太郎とその両親じゃないか。誰かと思ったぞ」


不幸なことに和久津親子に見つかってしまった。九賀といるところを。


「ハジメ君もお父さんと同じでファミレスが好きなんだねー」


「うちの父親も?」


「そうだよ。若い頃はよくファミレスに呼び出されたものさ」


鼓太郎の父親がしみじみと語る。


「立ち話もなんですし、座って下さい。6人席を2人で使うの気が引けてたんですよ」


九賀が余計なことを言ったせいで、奇妙な会食が始まった。



#



「いやー、今でも鮮明に覚えているよ。ハジメ君のお父さんが私達の披露宴で神様を召喚した時のことを」


2杯目のビールを飲んだあたりから鼓太郎の父親は饒舌だ。


「母さんも覚えてるだろ?」


「……思い出したくもないわ」


一方の鼓太郎母は表情が暗い。余程辛い記憶なのだろう。


「一体何が起こったんです?」


九賀は完全に野次馬だ。


「全員、私になった」


「えっ? 何かの比喩ですか?」


「いや、老若男女、全員が和久津大輔になったんだ。ウチの母さんとハジメ君のお父さんを除いて」


なんだそれは。


「おい、"性悪の"」


"なんだ"


フッと肩に黒いネズミが現れた。


「なんでそんなことをしたんだ」


"五条へのプレゼントだ! 五条は和久津のことを愛していると言っていたからな。だから和久津を増やしてやった!"


「神様と話しているのかい?」


「ああ。五条? へのプレゼントだったと言っているぞ」


「とんだプレゼントだったよ。ハジメ君のお父さんは"和久津だらけの披露宴だ! "と言って大笑いしてたけどね」


「ウチの父親の言いそうなことだ」


「あっ、でも恨んでるわけではないよ? 母さんと知り合ったのはハジメ君のお父さんのお陰だし」


「そうなのか?」


「そうだよ。あの人は性格悪くてやりたい放題するけど、不思議な魅力があるんだよ。慕っている人もたくさんいる」


「分からないな」


「その内分かるようになるよ」


そう言って鼓太郎の父親は3杯目のビールを注文するのだった。

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