家族を殺され一人生き残った私、恋人にまで見捨てられ…生き残った私がその日見たものは?
目の前にあるのは私が愛した家族の死体。
ワインの栓が開けられておりそれを皆が口にしたせいだということがあとで調べた警吏の言葉でわかったのですが。
君は今日は家にいないほうがいい。
そう私に話したのは私の恋人であり、この惨劇の後姿を消したのだった。
「……ああ夢か」
何度夢に見たのだろう。両親と兄が口から血を吐き出し苦悶の表情で死んでいるのを見つけてからもう2年たつ。
私は大商人といわれた父の娘だった、父はあくどいことをたくさんしていたらしい。
それを知ったのは父の死後だった。
私は父の補佐をしていた青年のクリストフに今日は家に帰らないほうがいいといわれ…彼と一夜を過ごして…。
彼と私は恋人同士であり初めての一夜を過ごして、私はどうやって帰らなかったことを伝えようと思いながら屋敷に帰って…。
血の惨劇といわれる私の家族が皆殺しにされたところを見てしまったのだった。
「……どうして」
犯人はいまだわからず。ワインを差し入れたのもだれかわかってはいない。
私はあの後、親せきと名乗る人間たちにすべて財産を取られ放り出されたのだった。
あれから恋人だと思っていたクリストフも行方不明。
ああ見捨てられたのだなと思っていたのですが…。
私は今は下町の食堂でウエイトレスをしていました。
そして商人の娘として学んだことも生かせずただ生きてているだけだったのです。
だが…。
「ミランダ、王太子殿下がこのたびご婚約されてそのパレードが行われるよ! よければ見ておいで」
宿屋のおかみさんにすすめられ、休みを取って…自国の王太子が婚約したお祝いで王都をパレードをするというので私も見に行って…。
ええ驚きました。馬車の中から手を振るその顔、髪の色は違いましたが間違えようがありません。
私の恋人で会ったクリストフがそこにはいたのです。
私はクリストフと叫びながら馬車を追いかけ、衛兵に捕らえられ牢屋に入れられました。
私が叫んだとき確かに彼は私の顔を見た。
でも知らん顔をしていたのです。
冷たい牢屋に座り、私は一夜を過ごしました。
身元引きうけに宿屋のおかみさんが来てくれてやっと解放されましたが。
ええ、私は牢屋でずっと考えたのです。
でも答えはでないままでしたが、力が欲しいと考えました。
それには今のままだとだめだと気が付き、私は……復讐のために牙を研ぐことにしたのです。
そして……私は2年前に私からすべてを取り上げた親戚のもとに向ったのでした。
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