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ずっこけ3紳士! はじめての異世界生活~でもなんかループしてね?(ネタばれ)~  作者: 犬者ラッシィ
第八章 3紳士、都会で名を上げるⅢ 傷を舐め合う道化芝居編 【推奨レベル24~】
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306 ヤマダの最終回

 とぷん。

 

 ――は!?



 突然、執務室の床が液状にゆるんで、おれとユーシーさんを飲み込んだ。



 水の中を泳ぐように落下する。



 まるで幽霊にでもなったように全ての床をすり抜けて、やがて見覚えのある地下牢に降り立つ。





「ヤマダさん! やっと、やっと来てくれたんですね!!」


 ぼいん! と、おれに抱きついてきたのは、もじゃもじゃ頭の聖女マデリンちゃんだった。


 そして、背中にぴとっと来たのはネコ耳のシャオさん。

 


 ……てことは、これってシャオさんのスキル【亜空間歩行】の亜空間か。



「二人共、なんでまだ地下牢に居るんですか? もう釈放されたはずですよね?」


「ヤマダさんを待ってたに決まってるじゃないですか! だって、だってここは静かだし誰も来ないし、明日決闘に臨むヤマダさんの荒ぶる魂を慰める場所として最適だと思うんですよ~!! ほら、ほら~!!」

「……ほーら、ほーら」


 ……そ、そうなの? てか、待ってるなら待ってるって言ってくれないと判らないからね? そんなの童貞には判らないナゾナゾだからね?


 ともかく、嬉しそうにおっぱいを擦り付けてくるマデリンちゃんとシャオさんを悲しませることにならなくてよかった。

 他の誰に嫌われても、この二人には嫌われたくない。



「――ちょっと!」


 と、不満そうな声を上げるユーシーさん。


 ……おっと、ユーシーさんは……そうだな、そもそもおれのことを好きなのかはっきりしないし、例え嫌われても、おれの方がユーシーさんを好きなら別にどっちでもいいような……?



「――! そんな、私だって……」

「それで、なんでなんで大司教様まで居るんですか!!?」


 ユーシーさんの言葉を遮るように、マデリンちゃんが声を上げる。

 これはあれか、修羅場ってやつなのか……!? マンガとかで読んだ時には憧れたけど、我が事となるといたたまれないな……てか、逃げたい。



「わたくしはヤマダさんの婚約者ですから、決闘前夜に荒ぶる魂を慰めるのはわたくしの務めです!!」


「そんなのずるい!! 大司教様はずるいです!! 私の方が先にヤマダさんに出会って好きになったんだから!!」



「ずるくありませーん! 婚約したのはわたくしが先ですしー! それに、ヤマダさんは過去の記憶が無いので意味ないでーす!」


「う、ううっ……、ヤマダさん、私だって、私だってお嫁さんにしてくれますよね!? ね!?」



「……いいけど」


「やったーーー!!!!」

「ちょ、ちょっと……!!?」


 安請け合いしてしまったけど、大丈夫かなこれ……? まあ……異世界だし、おっぱいだし……深く考えるのはよそう。

 ――え!? シャオさんも?



「シャオさんは、養女にしますから! ねー?」

「……よろしくッス、パパ」


「ああ、うん」


 なんだか不安になってきた。

 でも、しばらくは共働きで頑張れば、細々とやっていけるかな? 聖女の収入ってどんなもんなんだろ……?



「うっふっふっ……、私に嫌われてもいいというのはこういうことですか。ヤマダさんのくせに生意気な……!」


 ……おおう。ユーシーさんがお怒りだ。

 ついさっきまで夜空のデートとかエロゲのキスとかして、あんなにいい感じだったのにな。

 ……したかったな、セックス。



「……そ、そう簡単に、わたくしが身を引くとでも? なめないでください!? いいでしょう、ヤマダさんには三人まとめて面倒見てもらうことにしましょう!! ……ただし、正妻はわたくしです!! だって、最初に婚約したし、一応貴族だし、大司教だし……年上だし?」


「ぶーっ! ずるいです!! 大司教様は、ずるいです!! 私だって正妻がいいです!! だったらだったら、おっぱいが大きい方が正妻だと思います!!」



「ずるくないっ!! てか、おっぱいは関係ないでしょ!!?」


「関係あります!! ありありのありです!! だってだって、ヤマダさんは大きいおっぱいが好きなんです!! ですよね!? ね!?」



「えーっと、おれはまあ、大きいおっぱいも大きいお尻も大好きなわけだけど……、そんなことよりも、最初に言っておかなければならないことがありまして……」


「「……!?」」







「ええ~~っ!!? モガリア教の聖女シーラ様と、もう婚約している~~!!? そんな、そんな、そんな~~~っ!!?」


「そんなこと、今まで一度も言わなかった……いいえ、()()()()()()()()じゃないですか!? まさか、忘れてたんですか!!?」


「うーん、忘れてたわけじゃないんですけど……そうですね、ちょうどこの場所です。モガリア教の聖女シーラ様は『ブルボーンの大獄』という事件に巻き込まれまして、このネムジア教会中央神殿の地下牢で七年間それはそれは酷い目にあったようでして……」



「私、諜報部ちょうほうぶにいたから聞いたことがあります。でもその時は、この地下牢で起きていたことまでは……」


「…………」


「……心が壊れて幼児退行してしてしまったシーラ様になんだかなつかれまして、それでどういうわけか婚約することに……。でも、いつかあの子が正気を取り戻した時に、まだおれの婚約者でいてくれるかどうかは……」

   


「か、感動です!! 感動しました!! ヤマダさんは、私のだんな様は、私の思っていたとおりの素晴らしい方でした……!!」


 ……今の話に感動するところあったか? まあ、マデリンちゃんが納得してくれたなら、それでいいか。



「……判りました。それでは、わたくしが第二夫人ということでよろしいですね?」


「大司教様はまだそんなことにこだわっていたんですか? 私はもう二号でも三号でも構いません! ヤマダさんがみんなみんな等しく愛してくれるなら、順番なんて気にしません! ナンバーワンにならなくていい、私だけ特別なオンリー……」


 さすがマデリンちゃん! なんていい子。でも、そのフレーズは止めような?

 おれはマデリンちゃんを抱き寄せると、そのもじゃもじゃ頭をわしゃわしゃとなで回した。よーしよしよし……。



「ぐぬぬ……マデリン、なんて憎らしい……」


 とか言っているユーシーさんと、おれの背中に小さめのおっぱいを擦り付けているシャオさんもまとめて三人を抱きしめるおれ。



 ああ、今日でおれの物語は最終回かもしれない。


 決闘とか知らん! もうここで終わっておこう。

 

 ヤマダと女の子達は、じじいばばあになるまで幸せに暮らしましたとさ。

 

 ――はい、めでたしめでたし。 











「そしたらそしたら、早速三人でヤマダさんの荒ぶる魂を慰めましょう!!」  

「ええっ!? 三人で……!!?」

「……こくこく」


 ――な、なにぃ!? 三人で……だとぉ……!!?

 やっぱなしなし、さっきのなし!! まだおれは、こんなことじゃあ終われない!!



「ほーら、ぬるぬるぬるぬる~~~!」

「な、なんですかこのぬるぬるは……!?」

「ぬるぬるぬる~~~」


 ええっ!!? あれは……まさか……!!?



「ヤマダさんにいただいたスキル! その名もその名も、【フェロモン原液】という激レアスキルです!! はあはあ……さあ、大司教様も……」

「え? え? ひゃあぬるぬる……!?」

「ぬるぬるぬるぬる~~~はあはは……」


 うっかり『オークマン・ブラザーズ』の魔石をマデリンちゃんにプレゼントしてしまった時にはどうなることかと思ったけど、結果的に大正解じゃねーか!?

 

 おれの目の前で、女の子達が両手をぬるぬるねちゃねちゃしている……。

 これはもう、期待しかない……。



「……うっかり、うっかりです! ……失敗しました。このぬるぬるした手では服が脱げません! はあはあ……」

「そういえば……、そうですね……」

「ヤマダさんに脱がせてもらうッス……!」


 そう言って、おれの前でばんざーいするシャオさん。

 ――おう。そういうことなら、まかせとけ!!





 おれが、シャオさんのインディアン風ワンピースを下からまくり上げている時だった――。



「あの……、さっきから気になってたんですが、あれはいったいなんでしょう……?」


 ユーシーさんが、地下牢の……亜空間の地下牢の隅に何かを見つけて指さした。


 

 ――!? まさか、人間……!!?

 シャオさんの亜空間に、おれ達以外の人間が……ぐったりした人間の男が二人……!?



「裸のでっかい人は、地下牢に居た時に、私のお尻の穴に指を挿した人です!」


 ええっ!? それって、マデリンちゃんがおれに変身してた時だよね!?

 怖っ……なにそれ、どういう状況!?



「……神殿騎士の人は、ヤマダさんの腕を折った人ッス」


 えええっ!? おれの腕を折ったって、いつの話だよ!?

 あの人、いつからここにいるの……!?







 その後、衰弱した二人の男はぎりぎり命を繋ぎ止めることになる。

 

 マデリンちゃんとシャオさんは、ユーシーさんに本気の説教でこってり絞られたらしい。



 そんな大騒ぎでぐだぐだのまま、おれの最終回は先送りとなった。




 ***




 ふと我に返ると、馬車はコロシアムに到着していた。

 

 今朝になって降り始めた雪は、いつの間にか本降りになりつつある。


 コロシアム前にできた長蛇の列が目に入った。


 隣に座っているユーシーさんが口を開く。



「なんでも、数日前から並んでいる人もいるそうです。物好きですよね?」


「気持ちは判ります、おれだって見たいし」



「だからって、わざと負けたら承知しませんよ?」


「彼等には悪いですけど、グレイス様とセリオラ様の裸で我慢してもらいましょう」


 おれとユーシーさんは手を繋いで馬車を降りた。

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