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ずっこけ3紳士! はじめての異世界生活~でもなんかループしてね?(ネタばれ)~  作者: 犬者ラッシィ
第八章 3紳士、都会で名を上げるⅢ 傷を舐め合う道化芝居編 【推奨レベル24~】
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303 『はぐれパラディン純情派⑤』

「仕方ねぇ、あんたを叩きのめして、無理にでも王都まで送ってもらうぜ!!?」 


 ベリアスがスキル【浮遊鉄拳ふゆうてっけん】を発動した。

 巨大な鉄の拳が二つ出現し、ベリアスの両肩の上でカスパールに狙いを定める。


 金色のオーラが鉄の拳にまとわり付くと、次々とカスパールに向かって射出された!


 カスパールが設置した不可視の壁【透明障壁】がパリンパリンとガラスでも割るように簡単に突破されていく!

 

 設置した全ての【透明障壁】を抜けて迫る鉄の拳を、カスパールは剣でたたき落とそうとするが、剣の方が弾かれる!


 やむなく、カスパールはスキル【疾走】で、谷底を逃げ回る。

 背後の地面に繰り返し突き刺さる鉄の拳を、【疾走】のスピードで辛うじて避けていく!


 追いついてきた鉄の拳を剣で払おうとしてバランスを崩した隙に、次の拳がカスパールに向かって突き刺さる!



 その瞬間、スキル【位置交換】で、カスパールとベリアスの位置が入れ替わった!

 カスパールに突き刺さるはずだった鉄の拳は、入れ代わったベリアスの身体を貫いた……かのように見えたが!? 





「今のを受け止めたのか? 戦闘の天才とは聞いていたけど……」


 カスパールが苦々しくつぶやく。

 ベリアスの身体を貫いたかに見えた鉄の拳は、金色のオーラで作りだした腕に受け止められていた。



「俺は天才じゃねえよ? 『天才』の、タダの息子だ。今の攻撃だって予想してたわけじゃねぇ、たまたま持ってたスキル【超反射】で、たまたま反応できたってだけだ」


 そういうの天才って言うんじゃないの? と思ったが、カスパールは黙って痛んだ剣を取り替え、仕切り直す。



「――ああでも、このスキルは特別かもな? 【王の領域】、このスキルが俺を絶対王者たらしめる!」


 鉄の拳を受け止めた、金色のオーラの腕。【マジックコーティング】や【ドラゴンフィールド】とも違う。それらの上位互換。


 カスパールはクロソックス家に来たベリアスが金色のオーラ【王の領域】を見せてから、その対策に日々を費やしてきたとも言える。


 新スキル【影狩】の効果は、仮想敵の「ドラゴン種」相手には十分使えることが検証済みであるが、ベリアスの【王の領域】に果たして通じるのか? ここからが本番だと、カスパールは気を引き締める。



「ふん、ベリアス君らしい、偉そうな名前のスキルだ」


「だよな? 王者たる俺にふさわしい」



「君さ、友達少ないだろ?」


「……王者ってのは、孤高で孤独なのさ。で……でもまあ、あんたがどうしてもって言うなら……!?」


 ――ドコン!!!! という激しい音と閃光が、べリアスの言いかけた言葉を打ち消す!

 カスパールが会話の隙をついて放った「ドラコン種」にさえ有効な魔法【爆発】だった。



 天高く立ち上った爆煙が晴れると、地面には深く巨大なクレーターが残る。



 クレーターの向こう側に、金色のオーラを全身からほとばしらせたべリアスが立っていた。





「チッ、避けられたか」


「……だましやがって、ゆるさねぇぞ!!」


 いやいや、だましちゃいないだろ? と言いたいカスパールだったが、実はそうとも言い切れない。

 スキル【影狩】は、初見殺しのようなスキルだ。途中でタネがわれてしまっては、対処されてしまわれかねない。


 まだ、もう少しの間、気づいてくれるなよ――と、願わずにはいられないカスパールだった。





 ベリアスの背後に浮かぶ巨大な鉄の拳が、四つに増えていた。

 金色のオーラをまとわせて、次々と打ち出される!


 スキル【疾走】で、谷底を、絶壁を滑るように走り攻撃をかわすカスパール。

 しかし、次第に追い詰められたカスパールは、スキル【透明障壁】を足場にして高く跳んだ!


 跳んだカスパールを追って、鉄の拳が襲いかかる!


 空中では回避できないと思われたが、スキル【位置交換】でベリアスと場所を一瞬で交換する!



 空中に現れたベリアスに向かって殺到していた鉄の拳が、衝突の直前でピタリと静止していた。



 読まれていたか――と、苦渋の色をにじませるカスパール。

 元々ベリアスが居た場所に入れ替わりで出現したカスパールだったが、その左右には既に五つ目と六つ目の鉄の拳が配置されていた。


 両サイドから鉄の拳がカスパールを襲う!

 スキル【透明障壁】を足場にして再度上へと跳び回避した!

 

 そこへ、更に二対の鉄の拳が打ち込まれる!

 

 ――スキル【位置交換】は? ベリアスを見れば、頭上に鉄の拳を下向きに待機させ、場所を入れ替わった瞬間にカスパールの頭を潰さんと準備をしていた。

 【位置交換】は無理だと判断したカスパールは、迫り来る二対の鉄拳をさばききる決意を固める。



 ガリガリッ!! ――と、カスパールは一撃目の鉄拳を剣の腹で辛うじて逸らす。――が、剣がポッキリと折れた。



 二撃目は……仕方がない、左腕で受ける! そう決心し、カスパールは受ける瞬間、スキル【穴熊囲い】で防御力を上げた。

 それでも、相応のダメージは覚悟しなければならないだろう。


 パキン――と、腕の骨の折れる音を聞いた。

 そのままカスパールは、身体ごと弾き飛ばされて地面に叩きつけられる! 即死は免れたが、背中をしたたかに打ち、しばらく息が止まる。



 動けないカスパールに、上空から更に二対の鉄の拳が追い打ちをかけた!

 


 ガガン! ガガガン!! と、大岩を削る音が谷底に響く。


 カスパールが倒れていた場所には、巨大な大岩があった。

 それは、カスパールが王都から谷底に【位置交換】した時に使った大岩だった。



「なっ!? あいつ、逃げたのか……!?」


 谷底に一人残されたベリアスは、この後どうしたものかと途方に暮れる。







 大岩と【位置交換】したカスパールは、ジーナスの屋敷のリビングに戻っていた。

 高級そうなソファーにぐったりと身を沈める。



「ごふっ、がふっ……ちくしょう……!」


 血を吐いたカスパールは、自らに魔法【中回復】を使用する。

 左腕の骨折を含めて、身体の傷がみるみるうちに癒えていく。


 ――まだやれるか? と、自分に問いかけるカスパール。



 ふと見ると、リビングの絨毯じゅうたんの上で、二人のメイドエルフが全裸のまま寄り添い、突然現れたカスパールを警戒し震えていた。


 少し迷ったカスパールだったが結局、二人のメイドエルフにも魔法【中回復】をかける。


 カスパールが切った二人の足の傷が癒えていく。


 ベリアスを怒らせるためだけに二人を凌辱した。

 しかし、ベリアスは思ったよりも冷静だった。

 もっと、直情的でキレやすいタイプだと思っていたが、言動とは裏腹に一歩引いた受け身な戦い方をする。カスパールとしてはあてが外れたと言わざるを得ない。


  

「許してくれとは言わないけど、……ごめんね」 


 そして、カスパールはもう一度、谷底へとスキル【位置交換】で跳んだ。

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