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ずっこけ3紳士! はじめての異世界生活~でもなんかループしてね?(ネタばれ)~  作者: 犬者ラッシィ
第八章 3紳士、都会で名を上げるⅢ 傷を舐め合う道化芝居編 【推奨レベル24~】
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298 さよなら△、またきて×

 おれとアンディ君は、「黒い霧」の晴れた63階層を進む。

 通路を照らすのは、アンディ君の『アステカの腕時計』の強烈なライトだ。



「てか、その時計、返せよ……?」


「…………この時計、譲ってくれよ」


 タナカの触手にお尻の穴を貫かれてしまったアンディ君は気の毒ちゃあ気の毒だが、それとこれとは話が別だろ?

 そもそも、あの勝負だってなんだかうやむやになってしまったし。



「……なんでだよ? イヤだよ」


「じゃあ、マイの処女と交換で……?」


 ――おい! ど腐れ外道だな、アンディ君よ。



「そういえば、その時計に【相互通信】って機能があったはずだけど、シマムラさんに呼びかけてみたら?」


「呼びかける? なにそれ、どういう意味だよ?」





「あーもしもし? シマムラさん、聞こえますか? どーぞ?」


『――え!? ヤマダさん!? 無事なんですか!? どーぞ?』



「あーまあ、無事です。『黒い霧』はもう払いましたんで、普通に灯りが使えるはずですよ。どーぞ?」


『――ええっ!? 払ったって、ヤマダさんがですか? ……ああっ!! ホントだ! どーぞ? ……ちょっと、ジェフ君、離れて……あん!』



「スーザン様! 俺です! アンディです! そっちは、無事なんですか!? ど、どーぞ?」


『え、ええ。大丈夫……あん! アンディ君も無事なのね? どーぞ? あ、ああ、ハアハアだめ……』



「俺は……ぶ、無事です。無事に……決まってまるじゃないですか……どーぞ……」


 ……おいおい、泣くなよアンディ君、確かにキミのお尻は無事とは言い難いが。

 あと、ジェフ君がやり過ぎな件……。

 

 

 まあそれはともかく、おれ達は64階層へ下りる階段前でシマムラさん達の合流を待つことにした。

 せっかくだから、みんなで最深階層行こうぜ! というわけだ。







「アンディく~ん!!」


 ――お、来た来た。

 通路の向こうから、ライトの明かりと、マイちゃんの声が近づいてくる。


 駆け寄ってきた年齢のわりに発育のいいマイちゃんが、アンディ君に抱きついた。

 ……けっ! 見せつけやがって。



「うおっ!? ……ってマイ、お前、汗臭っ! ……いや違うな、しょんべん臭っ!」


「ひ、酷いよ~、女の子にそういうこと言う?」


「アンディ君? 大人の男性なら、そういうことは気付かないふりをしておくの、ね?」

「兄貴は、デリカシーに欠けるよね?」


 ……ああ。そういえばマイちゃん、62階層に下りたところで盛大に漏らしてたっけ。



「あれ? イガラシさんは一緒じゃなかったんですか?」


 元『いわおの勇者』、イガラシさんの姿が見えなかったので聞いてみる。



「あの方は、亡くなったパーティメンバーの遺骨や遺品を探すとおっしゃって、上の階層に引き返して行かれましたよ。ヤマダさんに、よろしくとことずかってます」


 ……そうか。

 イガラシさんのパーティメンバー、十三人の美女達は、およそ40年前に「黒い霧」の中で亡くなったと聞いている。







 おれ、アンディ君、マイちゃん、ジェフ君、シマムラさんの五人は、遂に大迷宮の最深到達記録である64階層へ下り立った。

 そして同時に、五人全員が一つずつレベルアップした。





 >名前 山田 八郎太


 >称号 王都の大迷宮最深階層到達記録保持者new!


 >レベル 23→24

 >HP 1200/1200(+78)

 >MP 1970/2200(+143)

 >スキル 【危機感知】一定範囲の危険を感知する

      【空間記憶再生】空間に残存する記憶映像を投影する

      【環境適応】環境に適応する

      【勇気百倍】勇気を百倍にする

      【自然回復】傷を少しずつ癒やす


      【超次元三角】次元の外へ開く三角の窓(3MP~)new!      


 >妖精スキル 【共感覚】思いが伝わる

        【浮遊】浮き上がる

        【認識阻害】認識を阻害する

        ×【世界創造ワールドクリエイト】世界を創造する


        【飛翔】空を飛ぶnew!


 >魔法スキル 魔法【身体強化】全ステータスと全耐性が微上昇(24MP)

 >装備 ネムジア神官生協トランクス【防御+5】、【防臭】

     神殿騎士の僧衣【防御+12】

     貴婦人の黒マント【防御+8】、【魔法耐性(小)】、【防臭】

     ガリアンソード【攻撃+70】、【可変伸縮(4MP)】、【回転(8MP)】

     メケメケ皮ブーツ【防御+10】、【防水】、【防臭】







 ――お! きっちり称号も『王都の大迷宮最深階層到達記録保持者』になってるな。

 あの恥ずかしい称号『大草原の童貞魔王』が上書きされて何よりだ。


 そして、レベル24! 待ちに待った8の倍数のレベルで二つの新スキルを手に入れた。


 スキル【超次元三角ちょうじげんさんかく】次元の外へ開く三角の窓(3MP~)と妖精スキル【飛翔ひしょう】空を飛ぶ、だ! 


 【超次元三角】もなんだか凄そうな名前のスキルだが、なんといっても注目すべきは妖精スキル【飛翔】だろう。

 本当に飛べるなら、かなりうれしい。

 すぐにでも試してみたいが、その前に――。



「さて、目的の最深層には到達できたわけだけど、大迷宮はまだ先がありそうですね?」


「イガラシさんから伺ったのですが、大迷宮の奥の奥には『オリジンエルフの失われた都』があるそうで、そこには手つかずの財宝が眠っているとか」


 へー、そいつは凄い。

 てか、財宝といえば、かつて「黒い霧」の中で遭難した高レベル冒険者達の装備をかき集めるだけでも結構なお宝になりそうだけど?

 基本的なダンジョンでは、放置された魔物の死体は一晩で消えてしまうのだが、人間の死体や装備はそうでもないらしい。

 

 とはいえ、おれはここまでだ。



「おれは、皆さんとご一緒できるのはここまでです、王都の『護国祭』までに地上に戻らなければならないもので」


「いえ、私達も戻りましょう? もういいでしょ、アンディ君?」


「――ですね。その辺で一休みしたら帰ろう。マイも、しょんべん臭ぇし」


「ちょ、ちょっと~!」

「さっさとギルドに報告しないと、先を越されちゃうかもしれないしね」


 王都の大迷宮の最深階層到達には多額の報奨金がかけられているそうな。

 

 マイちゃんが、スキル【携帯ハウス】を使用し、通路に窓のないレンガの家が出現する。

 アンディ君達はどうやらここで一泊するらしい。


 ダンジョン内では昼夜の感覚が狂いがちだが、今はおそらく、40階層の休憩所でユーシーさんと話してから4日目の明け方かな?

 3日でレベル24まで鍛えて帰途につく予定だったから、1日オーバーしている上に、ここは64階層だ。ちょっと急がないと間に合わない。



「それじゃあ、おれは急ぎますんで! あ、シマムラさん、例の約束、忘れないでくださいよ!? じゃあ皆さん、お先にしつれいしまーす!」


「あ、はい……お疲れ様です……!」

「なっ、ヤマダ……てめぇ!?」



「あ、別に抜け駆けして、ギルドに報告したりしないんで、そこは信じてください!」


「ふん、ヤマダさん、おつかれー」

「ヤマダさん、本当にお世話になりましたー!!」



 ――スキル【飛翔】! おれは、羽根を広げて飛び立った。




 ***




 結論から言って、妖精スキル【飛翔】、かなり使える。

 気ままに飛べるし、歩くより疲れない。そして、速い!

 ありがとう、オナモミ妖精! お前の魔石、役立ってるぜ!


 ただ、55階層までは周囲が暗すぎてあまりスピードは出せなかった。

 とりあえず、50階層の休憩所で一休みする。


 さて、もう一つのスキル【超次元三角】だが……使いどころに悩む、とんがったスキルだ。三角だけに。

 空中や地面に三角を描くと、その片面が次元の隙間に繋がる。

 MP3で一辺およそ30㎝の正三角形。一辺の長さを大きくすると、その分消費MPが増える。


 もしかして、【アイテムボックス】的な!? と思い試してみたが、放り込んだミノタウロスの肉は、同じ場所に三角窓を開けば取り出すことができるが、離れた場所からでは手が届かない。あくまでも放り込んだその場所に留まり続ける感じだ。そしてしばらく経つと、熱々だった肉は冷めてしまったので、中で時間が止まることもない。


 だったら、【亜空間歩行】的な!? と思ったのだが、ちょっと怖くて試せない。開いた窓は微妙に空気を吸い込む程度なので中が真空ということはなさそうだが、若干空気が薄そうな気がしないでもない。とてもじゃないが、内側に入って窓を閉じたりする気にはなれない。


 主な使い方として考えられるのは、単発の魔法を次元の隙間に受け流したり、地面に設置して落とし穴にするとか? ……微妙だな。

 ただ、トイレには使えそうだ。のっぴきならない事情の時は、ベッドに寝ながら布団の中で用が足せるんじゃね?




 ***




 ――次の日。おれは30階層の休憩所まで飛んだ。

 休んでいると、床からひょっこり見覚えのあるネコ耳ともじゃもじゃ頭が飛び出した。



「……って、シャオさん!? と、マデリンちゃん!?」


「迎えに来たっす」

「ヤマダさん! マデリンですよ! あなたの、あなたのマデリンですよ!」


 シャオさんとマデリンちゃんが、30階層までおれを迎えに来てくれた。

 ぐすん……うれしい。泣きそう……。





「そうそう、シャオさんにお土産みやげ。これ、『ミラージュキャットの魔石』」


 シャオさんはきょとんとしていたが、受け取ってくれた。

 その後、食べようとしたので止めた。……そのまま食べても意味ないよ?


 ――いけね。ふと見れば、マデリンちゃんがうらやましそうな顔をしている。



「えっと……じゃあ、マデリンちゃんにはこの魔石を……なんかほら、マデリンちゃんの髪の色にちょっと似ているし……?」

 

 ――おっと、すごい喜んでいる。

 王都に戻ったらすぐに、シャオさんと二人で加工屋に行くと大はしゃぎだ。やれやれ。





 …………!?

 不味い。マデリンちゃんにあげたあの魔石って……、『オークマン・ブラザーズ』の魔石じゃね!?

 

 ……今更返せとは言いにくい。

 

 まあ二つある内の一つだし……、いいか?







 シャオさんのスキル【亜空間歩行】のおかげで、かなり時間的な余裕ができた。

 ちょっと無理を言って、40階層の休憩所まで引き返す。

 そこに放置したままになっていた『スターバラッド』の五人の遺体を、シャオさんの【空間収納】に保管してもらった。できれば、ちゃんとしたお墓に葬ってあげたい。



 ――そんなわけでおれは、『護国祭』の二日前の夜にはクロソックス家へ帰還することができたというわけだ。










 ところで、もう一つ。

 おれのステータスに変化があった。 

        

   



 >妖精スキル ×【世界創造ワールドクリエイト】世界を創造する

         (アップデート中あと887,522件 残り17年と6ヶ月……)







 ……どうやら、ネットワークとやらに繋がったらしい。

 そして、滞っていたアップデートが始まったようだ。

 

 ――なんだよ、アップデートって!?

 17年……!?

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