437 名状しがたき黄金の晩餐②
目の前にユーシーさん。舞台の上にもユーシーさん。――ユーシーさんが二人?
どうやら舞台の上でおっぱい丸出しのユーシーさんは、おれのスキル【空間記憶再生】で再生した「空間に残る過去の記憶」の立体映像に違いない。
ただし、おれは今スキルを使えないから、おれの身体を乗っ取ったジーナスの野郎の仕業だろう。
……それにしてもユーシーさんめ、過去にこんな舞台でオイルテラテラおっぱいを晒していたなんて、悲しいような嬉しいような、複雑な気分だぜ。
(ケケケ……! あのネーチャン、女のくせにチンコ付いてんのかよー!)
えっ? まじかよ……!!
オナモミ妖精に言われて、舞台上のユーシーさんをよく見直したら、小さな黒パンツから固く尖ったチンコがはみ出している。テラテラおっぱいに目を奪われて、見逃していた。
てか、ユーシーさんフタナリだったんか……まじか!!
――いやいやいやいや、そんなはずないよ。そんなん付いてなかったよ。……ってことは、舞台上のユーシーさんはニセモノか? そういえば、乳首の色とか形とか以前に見たやつとちょっと違う気がする。なんていうか、使用感が半端ない。おれはよく知らんけど、あの乳首は子ども産んでる乳首って気がする。
『大晦日、第二回くそプリ感謝祭のリバイバル! ドクター・ラバトリーこと、フタナリ・ユーシーちゃんでーす!』
司会者のアナウンスを合図に、生バンドの演奏が舞台を盛り上げる。
……やっぱりニセモノか。ホッとしたようながっかりしたような――って、ドクター・ラバトリー? あれ? 最近どっかで聞いた名前だな。
――ドクターいうても”医者”やなくって”博士”の方やね。
――あんお人は、王立学院の副学院長でもある立派なお人なんやけど特殊な趣味をお持ちでしてな――
――変態先生ですねん。
パラディン№8のジャヤコディさんの言葉が断片的に脳裏をよぎる。
そうか。ドクター・ラバトリーって、あの時冒険者ギルドにいたA級冒険者のインテリ・マッチョか。ユーシーさん推しなのかな?
やがて正面の鏡に手を着いたフタナリ・ユーシーは、黒パンツを剥ぎ取られて、妙に生活感のある弛んだ尻と剛毛の生えた尻穴を客席に晒す。
……むむっ! ドクター・ラバトリーめ、細かいところを適当にしやがって! ユーシーさんの尻をあなどるなよ?
「くっくっ……、どうです? 素晴らしい自己表現ではありませぬか? そうは思いませぬか、ユーシー様?」
「ヤマダさん、あれを止めてください! あれは、ヤマダさんのスキルなのでしょう!? どうしてこんなことをするのです!? やはり私のことを怒っているのですか!? 謝りますから、もう堪忍してください……!!」
……ううっ、なんてこった。ユーシーさんが泣いている。
くそっ、ジーナスのやつめ……!! どうにかして身体から追い出せないものか。
(ケケケ……! 飲み込んだ石みたいなモンは、ヤマダのナイゾウにメリ込んでっから、いくらゲーゲーしたって出てこねーぜー!)
……そうなん? 喉の奥に指突っ込んで、ゲーゲーしようと思ってたのに、くっそ!
おもむろに席を立つヤマダ・ジーナス。泣いているユーシーさんに寄り添い、そっと肩を抱く。ムカムカ――!
その時に気付いたのだが、どうやら周囲の客達も本物の大司教ユーシーさんが来店しているのを初めから承知していたようで、ニヤニヤしながらこちらの様子を窺っていた。……ちっ、まあ無理もないか。立場が違えば、おれだって多分そうするだろう。ガン見する。
「くっくっくっ……いいえ、いいえ堪忍なりませぬぞユーシー様、目を逸らさずにご覧なさい! なぜならこれは、貴方に科せられた罰なのですから!」
「罰!? 罰ってなんですか!? なんの罰だっていうんですか!?」
「そんなの決まっているではありませぬか、吾輩に無礼をはたらき不快にさせたネムジア教会の大罪は、大司教であるユーシー様が背負うべき責任でありましょう? のう!?」
「ひぃぃ……!?」
ユーシーさんの肩を抱いていた手を、そのまま尻へと這わせて撫でまわすヤマダ・ジーナス。 ムカムカムカ――!
「さあさあ、席をお立ちなさい! 尻をまくり、肛門を晒しなさい! ユーシー様、貴方には、吾輩の目の前でその腹の中に詰まった臭くて汚いモノを解放する責任があるのです!! ――さあさあさあさあ、吾輩に脱糞をお見せなさい!!」
「――!? 脱糞を……?」
観念したようにふらりと席を立つユーシーさん。
嬉々として、ユーシーさんの長いスカートをたくし上げにかかるヤマダ・ジーナス――だったが、次の瞬間「バチン!!」と、その手は強く振り払われた。
「むう!? なおも吾輩に無礼を重ねるか!!?」
「……誰ですかあなたは? ヤマダさんではありませんね?」
(おっと、気付いたみたいだぜー!)
やっとか、ユーシーさん。こんなに口が達者なやつ、本物のおれのわけないじゃん?
「くっくっくっ……はてさて、ユーシー様は大司教の責任どころか自分のフィアンセの顔さえもお忘れですかな? これはやはりどうしても、キツイ罰が必要とみえ――うげぇえっ!!?」
ユーシーさんに突然顔面を殴られるヤマダ・ジーナス。
……わはは、ざまあみろ! 当然ながら、おれは全然痛くない。
「ヤマダさんは常々、私のお尻が大好きだと言っていました。ですけど、私が脱糞する姿が好きだとか見たいとか考えたことはありません!」
「くっ……好き嫌いではない、自己表現だと言っている! そして、罰であり責任――ぃぐはっ!!? がはっ!!? ぐげぇ!!? まっ……止め……ごはっっ!!」
左手でヤマダ・ジーナスの胸ぐらを掴み、右手で繰り返し殴り続けるユーシーさん。
……痛くはないけど、ちょっとは躊躇したりとかないんかな? てか、「ユーシーさんのお尻が大好き」とか言ったことあったっけ? 「嫌いじゃない」とは言ったかもだけど……。
「確かにヤマダさんはスケベで童貞ですが、そのスキル【空間記憶再生】を決してトイレでは使いませんでした! お風呂場ではよく使っていましたけど!」
「がはっ……、ハァハァ……だ、だとしても! 仮に吾輩がヤマダ以外の別の誰かだとしてもっ、見てのとおりこの身体は正真正銘、ユーシー様のフィアンセである異世界人、ヤマダ某の身体に他なりませぬぞ! いわば人質も同然! フィアンセのこの顔を、身体を殴って壊してしまっても……よ、よろしいのですかの!?」
はたと殴る手を止めるユーシーさん。
無言のまま、魔法【大回復】を使用する。
癒やしの波動が店全体を包み込み、ヤマダ・ジーナスの顔面を癒やす。
……そういえば、ケモミミ三姉妹のノーラちゃんの肛門、ちょっと裂けてて痛々しかったんよな、何があったか知らんけど。今の【大回復】で同時に癒やされてたらいいなあ。
「――私が漏らした時だって、ヤマダさんはウンコまみれの私を抱きしめて、私を傷つけないように気をつかってくれたんです! 私のヤマダさんを、あまり甘く見ないでください!!」
ヤマダ・ジーナスの顔面が完治したと見るや、今度は腹を膝で繰り返し蹴り上げる暴力ヒロイン。
――どごっ!! どごっ!! どごっ!! どごっ!!
繰り返し膝を入れるユーシーさん、レベル40代。
ちょっと複雑な気分だけど、もっとやれ! おれは全然痛くな――うげぇっ!!?
……え? 急に痛いんだが?
うげぇっ!!? うげぇっ!!? うげぇっ!!? ジーナスのやつ、ユーシーさんの暴力に耐えきれなくて、身体の所有権をおれに戻してきやがった……!!?
「ちょ、待っ……うげぇっ……!!」
せっかくのチャンスなのに、ユーシーさんの暴力が止まない。
多分、所有権が戻ったのは一時的なものだろう。今の内に、なんとかしないと……!
おれは、膝蹴りの間隙をぬって、ユーシーさんの尻をむんずと掴んだ。
う~ん、相変わらずイイ尻しておる。
一瞬硬直したユーシーさんの隙をついて脱出! ――からの、スキル【遅滞】発動! おれの周囲の時間がゆっくりと流れ始める。
続けて、腰のガリアンソードを抜く! ……色々考えたけど、結局この方法が一番手っ取り早いと思う。腹をかっさばいて、飲み込んだアメ玉っぽい物をほじくり出す!
ううっ……かなり痛そうだけど、覚悟を決めろ! がんばれヤマダ! 回復は、ユーシーさんがきっとなんとかしてくれるはず。
――ヤマダ流、切腹!!
あ、あれ!? 腕が、動かない……!?
もしかして、びびったのかおれ?
「させぬぞ……!!」
くそっ、どうやらすんでのところでジーナスの野郎に右腕の所有権を奪われたらしい。
ぐぅ……ここまでか!? ――いや、まだだ……!!
おれは、ガリアンソードを握った右腕をあきらめて、まだギリギリ動かせる左腕に意識を集中した。
左手で、自分自身の左頬をひっぱたく!! 同時に、魔法【浸草心裏】を自分自身に食らわせた!!
まだ一度も使ったことのない上級魔法を自分自身に撃つことになるなんて思わなかった。
草属性、上級魔法【浸草心裏】――ステータスには「真相は藪の中 記憶の迷宮に沈む」とあるが、なんのこっちゃ意味が判らない。ただ、草属性は主に状態異常の魔法らしいので、自分の顔面に向かって使っても、いきなり顔面が吹き飛ぶとかはないはず――オッ!? オオッ――、オッ――、オッ――!?
――見知らぬ男の夢を見た。
勉学と魔法の才能に恵まれた、とある王国の第一王子だった。
名を、カダッシュといった。
カダッシュには美しく聡明な弟、ボスコニアンがいた。
国王は、次の王はカダッシュだと明言していたが、兄弟が成長するにつれ、周囲の者達からはボスコニアンを次の王へと推す声が大きくなっていった。
カダッシュは勉学にも魔法にも優れていたが、人を惹きつける容姿と話術において弟ボスコニアンに劣っていた。
そのことを自覚したカダッシュは傷つき、ますます寡黙になり人を遠ざけ自分の殻に閉じこもるようになっていった。
そんな頃、カダッシュに女の声が聞こえるようになった。
姿の見えない女はペリーヌと名乗り、孤立していたカダッシュにとって心の許せるただ一人の話し相手となった。
おれは、「この件長くなりそうだな」と思った――。
――時間にして数十秒、おれとジーナスは同じ夢を見ていたのだと思う。
おれを乗っ取っているジーナスの本当の名前が、どうやらカダッシュというらしい。
あの後も色々あったカダッシュだったが、結局国王になれないまま、女神モガリアの過去改変に巻き込まれて、ある日突然その存在は消滅してしまう。しかし、エルフの賢者ペリーヌの能力によって人格のみ残り、王弟ジーナスの第二の人格として生きてきたということらしい。
……? なんだかややこしかったし、カダッシュの人生にそれほど興味がわかなかったせいもあって、おれはジーナスよりも数秒早く目を覚ました。
今ならば、邪魔されずに自分の身体を動かすことができる!
床に落ちたガリアンソードを拾おうと手を伸ばすおれ――だったが、うぐっ……!? 魔法【浸草心裏】で夢を見ていた数十秒の間に、再びユーシーさんに胸ぐらを掴まれていた。
――ま、待って、ユーシーさん!! おれだよおれ、本物のヤマダだよ!!
「……え!? ヤマダさん、ですか? 本物の?」
おっと、ユーシーさんがおれの心を読んでくれたっぽい!
よ、よーし、いつもの行っとくか――おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、テラテラおっぱい。ユーシーさんのテラテラおっぱい。テラテラおっぱいもいいが、ユーシーさんのだらしないお尻も嫌いじゃないよ?
(ケケケ……! なにやってんだ、ヤマダー? フツーに口で話せよー!)
……た、確かに。いらんことしてる場合じゃなかった――ああっと、イカン! ジーナスの野郎もそろそろ目を覚ましてしまいそうだ。
と、とりあえず取り急ぎ、舞台上のフタナリ・ユーシーのテラテラおっぱいが大変な事になってるので、スキル【空間記憶再生】を消しとくか。
――ああ、そんなことしてたらもう両手動かなくなった。時間切れか……!
「くっくっ……よくも好き勝手やってくれましたな!? だが残念ながら時間切れですぞ!! 吾輩に、過去のイヤな記憶まで思い出させてくれた大罪は、大司教ユーシー様の脱糞をもって……あがごがっ!!?」
――スキル【黒手八丈】尻から黒い手が伸びる!! この魔法、マジで便利だ。両手の所有権はジーナスに奪われたけど、魔法で発生させた「黒い手」はまだおれの意思で動かせたようだ。
尻から伸びた「黒い手」は、ヤマダ・ジーナスの口から侵入! 手探りで進んで、胃の壁面に食い込んだアメ玉状の物を力任せに剥がして引っ張り出す!
その瞬間、おれは身体の所有権を、自由を取り戻した。
「お、ごえっ……!!」
そのアメ玉状の物は、どうやら小さな魔石だったらしい。
血の付いたそれを、「黒い手」が無造作に床へと落とした。
「……なるほど、その魔石に宿るジーナスがヤマダさんを操っていたというわけですね」
「なんでも、王弟ジーナスの三つの人格の一つで、カダッシュという脱糞好きの爺さんらしいです」
おれの頭の中を勝手に読んで、勝手に状況を理解してくれるユーシーさん。
回復魔法で、おれの傷ついた胃を修復してくれる。ありがてぇ。
ところでこのジーナスの魔石、どうしたものだろうか? 心情的には、さっさと砕くか埋めるかしてしまいたいところだけど、よくよく考えると、そこまで大それたことはしてないような気がするんだよな。
おれの知ってる限り、せいぜいセクハラ行為とか婦女暴行未遂ってところかな? シマムラさんの件は、腹立たしい気もするけど援助交際みたいなもんだし……、他にもなんかあったっけ?
うーむ、とりあえずナカジマにでも預けておいて、いつか本物のジーナスに会った時に賠償金でも請求してやるとしようかな。
――と、思ったのだが、ユーシーさんが先にジーナスの魔石を拾って、舞台の上に放り投げてしまった。
……? 何をするのかと見ていると、ユーシーさんは両手の人差し指と親指で四角形を作って、それを舞台に向けた。彼女が作った指の四角形の中に、舞台とジーナスの魔石が収まる。
「まさか仕留め損なっていたとは不覚でした。今度こそ消えてしまいなさい、忌まわしき記憶と共に! ――スキル【世界破壊】!!」
――!!?
ユーシーさんのスキルで、世界に四角い穴が空いた。
舞台に残ったフタナリ・ユーシーの記憶共々、ジーナスの魔石は消失した。……てか、コワっ! 王都の外壁どころか、夜空まで四角く消失してるじゃねーか!?
***
ユーシーさんがスキル【世界破壊】で空けた四角い穴を、彼女に言われるがまま、おれはスキル【世界創造】で修復して塞いだ。
なんでも、そうしておかないと穴が塞がるまでの数十日間、地震などの天変地異が断続的に続くらしい。……てか、むやみに危ないスキル使うんじゃねーよ!!
「本当なら、店ごと消してやりたかったのですが――」
――と、ユーシーさん。
聞けば、あのジーナスの魔石はつい最近、復活した魔王の身体を乗っ取ったりする大騒動を巻き起こしたそうで、問答無用で滅殺問題なし! とのこと。
……てか、魔王復活したの? ま、まあ、何とかなったんならいいか。おれ、まだ勇者見習いだし。
「あんなのニセモノじゃないですか? アマミヤさんの薄い本と同じですよ」
おれとユーシーさんは店を出て、特に行くあてもなく夜道を並んで歩いている。
そもそも、ジーナス屋敷で意識を失って気がついたらあの店だったから、ここがどこかもおれにはよく判らないのだ。まあ、見た感じ歓楽街の結構奥の方、王都の外壁近くなんだろうけど。
「ヤマダさんは、私の裸が知らない人に見られても平気なんですか!?」
「それはまあイイ気分じゃないですけど、ユーシーさんのおっぱいとかお尻は……そのー、なんていうか、もっとイイ感じだったじゃないですか?」
「……私のお尻は、だらしなくないです……」
「おれは、ユーシーさんのだらしないお尻が大好きです……!」
もう、だらしなくないって言ってるのに……とか言って頬をふくらませるユーシーさんがちょっとかわいい。
どちらからともなく、手を繋ぐ。
……あれ? もしかして、できるんじゃね?
今夜、できるんじゃね? セックス、できるんじゃね!?
ここが歓楽街の奥の方だとしたら、ラブホテル的な宿はこの辺にないのかな?
……ん? あれ? 迷いなく進路をとりおれを誘導するユーシーさん。
おれの心を読んで、ラブホテル的な宿に向かってる?
もしかしてこの辺、詳しいの?
「――あ」
「ど、どどどうしました?」
ユーシーさんが、突然何かを思いだしたように立ち止まって下を向いた。
な、なんだ? 急に恥ずかしくなったとか? 実は女の子の日だったとか?
「私ったら、ヤマダさんに伝えなければならないことがあったのに、忘れていました。ちょっとワインを飲み過ぎたみたいです」
「……? 業務連絡みたいなことですか? 別に今日じゃなくても……」
「……そういうわけにはいかないのです。今夜会った時にすぐ話すべきことだったのですが、ヤマダさんの様子がなんだかいつもと違ったので、食事が終わってから話そうと思っていたのに、私ったらすっかり浮かれてしまって……」
なんだかすごく言いにくそうにしているユーシーさん。もしかして、貰った上級魔法のことか? でも、魔法スキルの欠片はあの場で使っちゃったし、今更どうにもできないと思うけど。
なんにしろ、さっきまでユーシーさんとの間にあった桃色の空気感がすっかり霧散してしまっている。
ああ、聞きたくない、聞きたくない。なんだかとっても、聞きたくない。
「……もしかして、けっこう深刻な話ですか?」
「……これはまだ、教会の諜報部でも未確認の情報なのですが、ヤマダさんの耳には早めに入れておいた方がいいと私が判断しました。……どうか、落ち着いて聞いてください――」
そう前置きしたユーシーさんが続けて話した言葉を、おれはなかなか飲み込めず、思わず何度も聞き返してしまう。
それでもようやく話を理解した時には、すっかりセックスどころではなくなっていた。
「――冒険者ギルドは、ギルドの理事でありS級冒険者でもある英雄ナタリアを、背任行為やギルド職員の殺害等の罪状により除名し粛正したと発表しました……」
ユーシーさんが、未確認の情報と何度も前置きしつつおれに告げたのは、「ナタリアちゃんの死」だった。