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08話 ゴーレムの砦

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〜ゴブリン村 正門周辺〜 朝


なんとか山賊達を退け馬車でゴブリンに占拠された村を目指していると、前方に荒らされた形跡のある村が見えてきた。どうやらまだ人がいるらしく、悲鳴のような微かな声が村から聞こえて来る。おじさんの言った通り黒いマントを羽織った魔術師の様な男も村の真ん中にある台の上からゴブリン達に指示を出している。


おじさん「あの村です。そこの魔術師が見えますよね。あの魔術師に村にいる力自慢達がみな戦いましたが、魔術や従えているモンスター達になす術なく殺されてしまいました。どうか奴を止めてください。私も戦いたいですが、私にできることは冒険者さんにお礼を払うだけです。どうか受け取って下さい。」


そう言うとおじさんは俺にお礼の10000ゴールドとクエスト完了印を手渡してきた。


おじさん「私はここで王国に引き返します。冒険者を連れてきたと魔術師が知れば私も見つかってゴブリンにされてしまいます。実を言うともう何人も冒険者に依頼をしたのですが、皆魔術師に殺されてしまいました。でも私はあなたに死んで欲しくない。だから、私の財産を貴方に託します。どうか生きてエンド王国に帰ってきて下さい。」


アシル「分かりました。必ずあの魔術師を倒し、あなたの村を平和に戻します。」


シックス「私たち2人にまかせといて!アシルはかなり強い方なんだから!!」


おじさんは俺の方を申し訳なさそうに振り返ると、馬車に乗り込み来た道を引き返して行った。俺たちはゴブリン村の正面の入り口にたどり着く。門を守っているゴブリンは2体。体はガリガリで木と石でできた槍を装備しているだけ。身を隠しながら近づいて毒を浴びせれば難なく倒せると思う。俺はシックスに木の下の茂みに隠れてもらって、ゴブリンに奇襲をする隙を窺った。


ゴブリンA「ザップ様はこんな小っこい村で一体何をされるおつもりだろうか?」


ゴブリンB「そんな事俺たちが知る必要はないぜ。ただ肉食えりゃ俺はなんでもいいんだよ。」


俺はゴブリン達に毒液を浴びせかけた。ゴブリン達はすぐにもがき苦しみだす。このゴブリン達は魔術師の企んでいる事は知らない様なので早急に倒してしまいたい。モンスターとはいえ苦しむ姿が見るに耐えないので目を逸らす。だが、ゴブリンが着ていた布切れの間から笛を取り出し鳴らした。


ゴブリン「敵襲だ!ゴーレムよ来い!こいつらを殴り殺してしまえ!!」


ゴブリンはそう叫び終えるとうつ伏せに倒れ込み息耐えた。そして民家の影からゆっくりと大きな石造りの巨体が顔を出した。馬鹿でかいゴーレムだ。ゴーレムは小さな目らしき丸石を器用に使って、俺たちを見つけた。俺は間髪入れず毒液をゴーレムに浴びせかける。が、効いている様子がない。毒液はゴーレムやシックスの様な"物質系モンスター"には効かないのかも知れない。ゴーレムは合掌に似たポーズを取ると、その間から炎を出現させ俺目掛けて火炎放射を放った。


アシル「!・・痛てぇ。避けきれなかった。」


何とか自分で自分を殴りつけ自動回避を発動させたが完全に避け切る事ことはできず、左腕に少し火傷を負った。直接食らっていたら、大ダメージでGAMEOVERになっていた所だろう。ゴーレムはすかさず次の火炎放射を放ってくる。完全にジリ貧だ。手作りゴールドコートは魔法を避けられない。自分のタイミングで回避を発動しなければいけないが、ゲームより現実に近い体の操作なので、少しずつダメージを食らってしまう。どうしたものかと考えていた時、俺はある事を閃く。


アシル「(毒液は効かない。もしかしたら武器屋で買った"真髄の笛"を使って毒音波を発生させたら、ゴーレムに通用するかもしれない!)」


アシル「シックス!"笛"を使う!耳を塞いで音が聞こえない様にしてくれ!」


シックスは人差し指を耳の穴に突っ込んで聞こえない様にすると足を茂みからだして「OK!」の合図を送った。シックスの可愛らしい仕草に思わずキュンとしたが、すぐに大きく息を吸い笛を鳴らした。


ピィイイイイイイイイイ


周囲には笛の音が響き渡る。笛は予想以上に大きく鳴り魔術師にも聞こえてしまったらしい。が、肝心のゴーレムにはちゃんと効果が効いた。石の巨体をグラグラと揺らし苦しみもがいている様子だ。しかし、ゴーレムはそんな中でも火炎放射を噴射してきた。俺はすかさず自分を殴りつけ自動回避で避けた。


アシル「まだ生きてる!このタフガイゴーレムが!」


それからもゴーレムは毒ダメージを受けながらも必死に耐え火炎放射を連発してくる。エンド王国の城下町で買っておいた回復アイテムの薬草を少しずつ消費して粘っているが、そろそろ俺の疲労が限界に近づいている。このゴーレム、おそろしい体力だ。

このままじゃゴーレムを倒す前に魔術師が来てしまう。そう思っていた時、シックスが茂みから飛び出す。


シックス「私も戦う!このダイアナメイスでゴーレムの硬い体を粉砕する!これが私の一撃!!

"クイーンドロップ"よ!!ハァアアアア!!」


ドゴーン!


シックスの一撃によってゴーレムの石の体はひび割れ、そして膝から砕けて地面に横たわった。どうやら無事ゴーレムを倒せたらしい。俺は荷物を入れたリュックにある瓶入りの水をガブ飲みして、その場にぶっ倒れた。シックスは満足げな表情をしている。


アシル「シックス、毒は大丈夫か?」


シックス「うん!アシルの言う通り耳を塞いだら大丈夫だった!ゴーレムが苦しんでるのがわかったよ!この状態なら私でも戦えるって思ったの!」


???「・・・まさか危険度Sの俺様特製のゴーレムを倒すとはな。今までに来た奴らはみんな殺れてたのに。」


アシル「・・・お前が魔術師だな」


魔術師「いかにも、この俺が村を支配したモンスターテイマーのザップだ。ここで村の適当なNPCをゴブリンに変えて配合をしていたんだが、お前みたいなヤツがすぐに邪魔をする。究極配合は時間が掛かるんだ。本当にウゼえ。」


アシル「ん?NPC?・・・君、プレイヤー?」


ザップ「え。そうだけど・・・お前もプレイヤー?」


アシル「俺もプレイヤーだよ。アシルって言うんだ。初めてまともなプレイヤーに出会った気がする」


ザップ「・・・どうする?戦う?」


アシル「え。いや。じゃあ止めよう!」


こうして俺たちはゲームのプレイヤー"ザップ"と出会った。

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