06話 ゴブリン村の奇異
〜エンド王国 城下町〜
プログ王「すまない。森の状況は事前に冒険者に調査を依頼しておくべきだった。みんな無事帰ってきて本当に良かった。その上バジリスクを討伐してくれた事感謝する。その分報酬も大きく上乗せしておくよ。本当に良くやってくれた。」
ナズナ「プログ王が謝る必要はございません!隊長の私が周辺の前調査を怠ったのが原因です。ポップタイガーの個体減少の段階で警戒しておくべきでした。」
俺たちはバジリスク討伐後無事エンド王国に戻り今は王に事の経緯を報告している所だ。あの後ナズナ隊長とタケヒコさんは病院で治療を受けた。ナズナは途中で気を失って3日後に目が覚めた。バジリスクに丸呑みにされた俺は傷なくノーダメージで済んだ。最初から俺がバジリスクの相手をしていれば護衛軍のみんなが怪我をすることも無かったかもしれない。そう思うと少しやるせなかった。
カンジョー「アシル!ナズナさんも俺達も感謝してる!俺たちを庇ってくれたこと!バジリスクを倒してくれたこと!凄いことだ!俺は特に新人の2人には馬車で隠れてて欲しかったがアシルがいなかったらバジリスクにみんな殺されてたかもしれない!」
タケヒコ「そうだよ!危険度Sのモンスターを前に生き残るだけでも不可能に近いのに、勝つなんてとても新人のできることじゃない!ナズナさんも誇りに思ってるはずだよ!だから君は責任を感じる必要はないよ!それこそ僕たちに責任があるんだ!」
ロロン「そーだよー!げんきだしてーあしる!」
リーン「本当に感謝してもしきれません。あの危機的状況で自分より仲間の命を優先する。本当に強い人、優しい人にできることです。あなたの活躍は誰よりも評価されるべきです。」
アシル「当然のことをしたまでですよ。それに僕自身もバジリスクに毒が効くとは思いませんでした。気付いたら馬車から飛び降りて、本当は何も考えてなかったんです。ただそれだけです。」
プログ王に報告を済ませると俺たちは依頼達成とナズナ隊長の退院祝いを兼ねて酒場で宴をすることにした。
〜エンド王国 酒場〜
ナズナ「えー、ごっほん!みんな心配かけてすまなかった。だが!皆が無事帰れたこと誇りに思う!!この通り私は元気だ!!アッハッハッハ!!・・・堅いのは私はきらいだ!!楽しく行こうぜ!!ということで!私の退院記念兼依頼クエストの達成を記念して!!乾杯!!」
一同 「「 かんぱーい !! 」」
護衛軍のみんなでビールで乾杯だ。俺は現実世界ではまだ未成年だがゲームの世界でなら酔うことは無いので大丈夫。これがまた美味い!ぷはー!
ナズナ「アシル!!シックス!!」
アシル「はい!」
シックス「はっ!はい!」
ナズナ「お前たち2人は最高だな!!初任務でS級モンスターと遭遇し生き残る!そんなヤツは初めてみた!それが私の班ってのがまた驚きだ!誇らしいよ!プログ王も褒めてたよ!!特にアシル!!早くも歴史に名を刻んだな!私の次の冒険者組合副会長はアシルで決定だな!アッハッハ!」
アシル「運が良かったんです。ナズナ隊長の頑張りが討伐達成の大部分を占めてますよ。僕は毒で最後に一押ししただけです。ナズナ隊長は最高です。」
ナズナ「謙虚だなー!今日は私の奢りだ!みんな美味いもん好きなだけ飲んで食って帰ってくれ!!アッハッハ!!」
ロロン「たいちょーのみすぎだよー」
ナズナ「そうか?アッハッハ!!!」
タケヒコ「シックスはお酒飲めるの?」
シックス「はい!私こう見えても成人なんですよ!故郷では良くみんなで儀式のあと呑んでました!」
カンジョー「儀式?」
リーン「シックスの出身はどこですか?」
アシル「だぁああ!(コラコラシックス!黄金郷の事は秘密だって約束したじゃん!お酒で酔ってるじゃん!)なんでもないですよ!シックスの出身は俺の故郷の近くでエンド王国の近くの小さな村なんですよ!なっ!シックス!」
シックス「!(もごもご)そうれす!そうれす!森の中にある小さな村れす!」
ナズナ「おっ!じゃれてんな!私も混ぜろ!!」
アシル「だぁあああああ!!」
それから宴は朝方まで続いた。ゲームの中の世界とはいえ楽しかった。俺は現実世界では友達と遊ぶ様な陽キャではなかったから笑い合って飲むなんて想像していなかった。これがゲームだなんて。俺は驚きと共にこのまま終わらなければいいと思った。
3日後
ナズナ「それでは!王から次の任務が出たので今から説明する!私とカンジョーとタケヒコは冒険者ギルドで依頼期限が切れそうなクエストを全て受了する!つまり雑用係だ!ロロンとリーンは王の伝言を花の女王シシリアに届ける依頼だ!冒険者組合本部から何人か来てくれるらしいから合同で仕事に当たってほしい!また危険度Sのモンスターに出会ったらすぐに転移魔法で離脱してくれ!無理はしないこと!そしてアシルとシックスは2人で酒場にいる依頼主に話を聞いてほしい!なんでも調査の依頼らしい!みんなくれぐれも無理のない様にな!解散!」
一同 「「 はい !! 」」
〜エンド王国 酒場〜
そこには顔が青ざめている髭面のおじさんがいた
おじさん「頼む!私の村がゴブリン達に占領されてしまった!村には私の妻がいる!ゴブリンに辱めを受けているに違いない!!どうか奴らを追い払ってくだせぇ!!」
アシル「了解した。その村はどこに?」
おじさん「村の名前を言ったら魔術師の呪いでゴブリンになっちまう!俺についてきてくだせぇ!!」
アシル「魔術師?」
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ひとくち異世界キャラ紹介
ロロン
護衛軍のメンバーの1人。シックス以上の天然キャラ。基本ひらがなでしか喋らない。頭に猫耳が付いており獣人の一種と思われる。かつては老賢者に仕えていたがその後賢者が亡くなる。そしてプログ王に補助魔法の才能を買われ護衛軍に入る。今はナズナ班に入りサポート役を担当。獣人なので基本スペックが高く評価が上がっている。