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序章

どこにでもいるごく普通の18才の高校生の |渡辺足向≪わたなべあしむ≫ 。俺は今、東京のとあるゲームイベントに参加している。


主催者「お集まりの皆さん!ようこそおいで下さいました!1ヶ月後に発売となります異世界転生体験型バーチャルRPG |終末なき環≪エンドロール≫の体験プレイ大会に参加いただきありがとうございます!皆様にはこれから同時にゲームをプレイして頂きます!ゲームプレイは全世界に生放送で配信してますのでご了承の上で体験してください!なおゲームはクリアするまで配信は続けて頂きます!途中で休憩したり食事を取って頂くようにお願いします!そしてゲームに最初にクリアした体験者の方には豪華景品として1ヶ月前の製品の贈呈とゲーム内通貨"ジェム"を100万個贈呈致します!そして等ゲーム"エンドロール"の公式アドバイザーにも就任して頂きます!このゲームは多人数共有型RPGとなっておりますので仲間と協力するもよし!裏切るもよし!一緒に魔王を倒すもよし!と自由にプレイして頂けると幸いです!それでは体験者の100人はVR装置を付けてゲームを開始してください!!」


もちろん俺はプレイに参加する。スマホ10台使って応募してやっとプレイ権利を手に入れた!必ず魔王を倒して優勝してやるぞ!と思っていた矢先


DQN「おい、そこの陰キャ」


足向「えっ?!ど、どうしたんですか?!」


突然隣にいる金髪のヤンキーっぽい不良青年が話しかけてきた。見るからに血の気のある見た目だが彼もまたこのゲームに参加するようだ


DQN「優勝するのはこのオレ!井出 ニグマだ!足引っ張ったら承知しねえからな!殺すぞ!」


足向「あっ、すいません、で、でも僕も優勝を狙ってるのでお互いムリなく頑張りましょうね!」


不良は少しムッとしたように見えたが少し考えたのち俺にまた話しかけてきた


DQN「お前、名前なんて言うんだ」


足向「へ?・・・あっ、えっと、渡辺 足向です。よろしくお願いします!」


DQN「・・・覚えたからな。先いくぞ」


そう言うと不良はVR装置を頭に被ってゲームの起動ボタンを押しゲームを始めてしまった。急に話しかけられて戸惑ったがそこまで悪い人ではないらしい。ゲーム内で程よい関係でいられるか不安ではある。そして気を鎮めてVR装置を手に取り頭に被る。そしてゲームの電源を起動した。


主催者「ゲームスタート!!!!」


その掛け声とともに目の前にまばゆい光が差し込む。そして光に絡んだ目が戻っていくと俺は見たこともない林の中にいた。自分の体に目をやると市民の服装をしている。体は小柄で150センチ程の少年になっているらしい。手は違和感なく握ったりグーやチョキも出来たりする。最新のVRゲームとはいえ感覚共有とは恐れ入った。と一通りの状況把握をしていると林の奥から少女の悲鳴が聞こえてきた。


少女「やめてください!こないで!離して!」


俺は恐る恐る林の影から声のする方を覗き込む。すると4メートルは超えているだろう巨体のトロールが全身にキラキラ輝くゴールドをまとった少女の腕を無理やり掴んでいる。・・いや、あの少女、よく見ると体の一部が金属になっている。目はまるで黄金のような目をしている。


トロール「グヘヘ、いい娘を見つけたダ。お前さんをおダのお嫁さんにしてやるダ。さあ、こっちにくるダ」


少女「私には、果たさなきゃならない使命があるの。だから私は誰のお嫁さんにも慣れないわ。ごめんなさい」


トロール「そうやって言い訳してダ!おダが気持ち悪いから嘘ついて逃げようとしてるダ!許さないダ!もし逃げようとしたらこの棍棒でたたきつぶしてやるダ!」


そう言うとトロールは電柱ほどの太さのある棍棒を地面に叩きつけた。辺りが衝撃で揺れる。あの棍棒で1発でも殴られたらひとたまりもないだろう。1発でGAMEOVERだ。


少女「うぅ、金剛皇帝様。愚かな私を許して下さい。」


そう言うと少女は両手を組んで涙を流しながら祈った。まるで全てを諦めたかのような表情をしている。

俺はトロールの前に飛び出していた


トロール「なんダァ?おめぇダ?」


アシル「僕が奴の気を引くからその隙に全力で走って逃げるんだ。さあ!走って!」


そう言うと俺は少女の服を掴み投げ飛ばしていた


トロール「!?オメぇよくもおダのお嫁さんを投げ飛ばしやがったダ!ぶち殺してやるダ!」


アシル「死んでたまるか!」


俺は全力で避けた。やつの棍棒攻撃を。額に汗が垂れる。息が上がる。それでも体にムチを打ちひたすら避け続けた。しかし限界が近い。俺は声を振り絞って叫んだ


アシル「あぁ!限界だ!何でも良いからスキルでも出てくれよ!」


半分ヤケクソだった。叫んだおかげで息が完全に切れ、すぐさま棍棒がとんでくる。終わったと思ったその時!


ドバッ


手から肩先にかけて大量の紫色の液体が溢れ出た。その液体はそのままトロールの体に付着した。


トロール「ア?なんダこれ?気持ち悪いダ?」


俺も何が起こったか分からず唖然としていた。だかトロールは気にしまいとすぐさま棍棒を振り回してくる。俺もこのスキを無駄にしまいと全力で回避を続けた。少女はもう遠くに逃げただろうか。俺はそんな妄想をしながら林を抜け谷を超え川を跨いで全力で走った。トロールは目に血を滾らせて襲いかかってくる。ゲームをプレイして僅か10分ほどでバーチャル世界でも走ると疲れることが分かった。でもあと数分で死ぬから活かしようのない知識だ。また1ヶ月後の製品版をプレイするとしよう。そう思って足を止めようと思った矢先、トロールに異変が起こった。


トロール「ぐわぁ!ぐ、ぐるしいダ!死、死ぬダァア!?いやダァァァ」


そう言うとトロールは白目を向いて後ろにひっくり返って倒れた。俺はわけがわからなかった。でも助かったと思って胸を撫で下ろした。目の前がグラグラ揺れて疲労が限界を迎えている。今そこら辺の雑魚モンスターでも現れたら間違いなく死ぬだろう。そう思っていると林の奥から聴き覚えのある声がする。そしてこっちに近づいてくる。そこにいたのはさっき助けたゴールドの体の少女だった。


少女「旅のお方!しっかりしてください!ここは危険ですよ!」


アシル「なんだ・・・さっきの少女か・・・逃げろって言ったじゃんか・・・健気だな・・・このトロールも悪く言わなかったし・・・君は・・アァ・・・いい子なんだな・・・ハハ・・」


そう言うと俺はトロールと同様白目を向いてぶっ倒れた。それからどれだけ経っただろう。目が覚めないってことはどうやらまだゲーム中らしい。あの少女が助けてくれたのだろうか。そう思っていると何処からともなく美しい女性の声がした


???「お目覚めですね旅のお方。あなた様のおかげで我が一族の王女の1人を失わずに済みました。心から感謝申し上げます」


俺はかすむ目をゆっくりと開けると目の前にこの世の元は思えないほど美しく輝く黄金の女神がいた。その周りには黄金を纏った人々が俺を静観している。さらにその人々の足元には金塊の詰まったふくろのようなモンスターがウロチョロと動いている。周りは光り輝く黄金で覆われていて別の世界にいるようだ。呆気にとられていると黄金の女神が再び語りかけてくる


金剛皇帝「申し遅れました。私は貴金属系統モンスターの最上位に位置する者です。皆は金剛皇帝と呼んでいます。どうかお見知りおきを」


俺はその圧倒的な存在感に開いた口が閉まらなかったが、恐る恐る自分の事を話すことにした


アシル「真実を話します。私は転生してきた者で旅人ではございません。目の前にトロールに連れ去られようとしている少女がいていてもたってもいられず飛び出していました。少女はご無事ですか?」


金剛皇帝「ええ、貴方のおかげで傷一つなく返ってきてくれました。貴方を抱えてそのまま黄金郷に。転生者であることは予想外でしたが貴方は問題ないと判断しています。我々のことはくれぐれも秘密にしておいてください。ここは幻の地。野蛮な者達に知られてはならぬ故。・・・あなたの名前は?」


ニックネーム的なものを考えていたが、恥ずかしながらこの世界ではアシルと名乗ることにしよう。


アシル「アシルです。」


金剛皇帝「アシル。あなたに頼みたいことがあります。どうかこれからも少女を、シックスを守ってあげてください。彼女には世界に湧き生まれてくる貴金属系のモンスターを守る使命があります。王女がいなければ冒険者やモンスターにカネザイフは狩り尽くされ、大量の経験値となって消えてしまいます。カネザイフを見つけたら殺さずに保護してください。保護したカネザイフは黄金郷への道を知りいざなわれます。あなたにも成すべき使命がお有りですが、どうか引き受けてくれませんか?」


そう言うと金剛皇帝は俺に頭を下げた。それに続いて周りにいる黄金の人々も頭を下げる。普段誰かに頼まれ方なんてされない俺は少し混乱気味だがこの頼みを聞き入れることにした。この空気だと断ることもできないだろう。断る理由もない。


アシル「頭を上げてください金剛皇帝様。私の様な力なき者で良ければ命をかけて王女をお守りいたします。」


金剛皇帝「いえあなたには大いなる力があります。あなたの持つスキル「猛毒」は非常に強力ですよ。なにせ我々の肉体をも粉砕する強大なトロールを打ち鎮めたのですから。」


アシル「も、猛毒!?」


なるほどそうか!それであのトロールは白目を向いて倒れたのか。俺の腕にブヨブヨ漂ってたのは毒液だったんだな。なんというか地味な能力だ。だか俺らしくていいな。ゲームでも大体からめ手で勝負するタイプだから。これが俺の生まれ持ったスキルということになるのか。他の転生者も同じように固有のスキルを持っているのだろうか。そんな思考を巡らしていると黄金の人々の間から助けた少女が飛び出してきた。


シックス「アシル様!これから一緒に旅をさせて頂きますシックスです!よろしくお願いします!」


アシル「そんなに堅くならなくて大丈夫。これから仲良く旅をするんだ。お互い平等な関係でやっていこう。」


シックス「そんな、命の恩人にそのような無礼は働けません!」


金剛皇帝「シックス」


シックス「は、はい!」


金剛皇帝「アシルさんは心優しき人です。きっとあなたはこれから心の底から彼を信頼するようになります。ですがアシルさんに全てを捧げてはなりません。あなたとアシルさんの二人三脚でこれから旅を続けなさい。あなたに命令します。アシルさんとは友達として接しなさい。いいですね。」ニコッ


シックス「わ、分かりました!」


アシル「これからよろしくな!シックス!」


シックス「よ!よろしく〜!」


俺も自分のことはコミュ症とは思っているがシックスは別のベクトルで話し下手だな。お嬢様ってかんじ。でも波長が合いそうで少し安心する。


金剛皇帝「2人を森の近くにある城下町に転送します。お礼の金塊を渡しますので換金して宿に泊まってそこで旅支度をすると良いでしょう。」


アシル「何から何までありがとうございます。」


金剛皇帝「それでは、またお会いできる日を楽しみにしています。


対象転送魔法 "ワプギス" !」


全身にまばゆい光がほとばしり俺とシックスを包み込む


金剛皇帝「最後に一つ注意しておいて欲しいことがあります。城下町の国王にはシックスの存在は伏せておいてください。彼は秘密の多い王だと聞いています。どうかくれぐれも内密に」


そう言い終わってすぐ俺とシックスは光の柱に流されて城下町に降り立った。そこは人で賑わうゲームの世界でよく見る城下町。商店が軒を連ね武器屋が剣をハンマーで丹治している。素晴らしいグラフィックだ。人の動きも全て現実と遜色ないほどリアルだ。そんな賑わいに夢中になっているとシックスが服の裾を引っ張ってきた


シックス「ねぇアシル。まずは装備を整えようよ。私戦闘に使える武器が無いのよね。」


アシル「そうだな。とりあえず行ってみるか!」


こうして俺とシックスの冒険が幕を開けるのだった。


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