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Terminus Of Wonderland  作者: 工藤流優空
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魔力倉庫と青い花

あと3話。これで本当に完結するんですね…。感慨深いです。

 ルクアたちは元祖ルクアとファクトに連れられて、大きな木製ドアの前までやってきた。扉には1つの大きなカギ穴がついている。ルクアは持ってきた大きなさび付いた鍵を、慣れた手つきで鍵穴に入れる。トゥルーが言う。


「……慣れてるな」

「私の通ってた学校、こういう木製の扉にでっかい錆びた鍵を入れる鍵穴があったんだよね。いつも鍵係させられてたから、鍵を開けるのも私の仕事だった」


 そう言って、少しノブを回しながら鍵穴の鍵を回す。大きな音がしたかと思うと、扉が少しだけ開く。ルクアは扉を大きく開いた。中はちょっとした講堂のようになっていて、空中をふわふわといくつもの小さな瓶が飛び交っていた。


 元祖ルクアは、上を見上げながら言った。


「魔力の小瓶は、この中にたった1つだけ。他の小瓶を選んでしまったら、逆に自分の魔力を奪われてしまうから、気を付けて」

「答えを教えてくれたっていいじゃないっすかぁ」


 ベンジャミンがファクトの肩を掴んで揺さぶるが、彼は実際にはこの場にいないため、複雑な表情をして言う。


『それでは意味がないだろう? あくまで自分たちの力で見つけなくては。何かを手に入れるためには、それ相応の試練なり犠牲なりが必要だ』

「……理にかなってるな」


 トゥルーがため息をつきながら言う。ベンジャミンが情けない声を出す。


「トゥルーさんまでどうしてそんなこと言うんすかぁ」

「……一度で探しあてさえすればいい。それだけの話だろう、簡単なことだ」

「そういうことだねっ」


 ルクアが言って、瓶が浮かぶ空中を見つめる。そして、考え込むように言った。


「だけどこれだけの数だから、何かしらの目印なんかがあると思うんだよね。要は、それが何かさえ分かればおのずと、どの瓶かは分かるんじゃないかな。トゥルー、元々この魔力倉庫に眠る魔力って、ファクトさんに分け与えられた魔力ってことでいいんだよね?」


 ルクアの問いに、トゥルーは頷く。


「……そうだ。この魔力倉庫に、わたしが元々持っていた魔力と、同等のファクトが本来持つはずだった魔力が眠っていた」

「それなら、ファクトさんが見てすぐわかるような目印がついてるんじゃないかな。ファクトさんが大事にしてたものとか、それの写真とか……」


 そう言って、ルクアは鞄の中から双眼鏡を取り出す。トゥルーがため息をついて言う。


「……本当に何でも入ってるんだな、その鞄は」

「だいたいのものは揃ってるよね、恐ろしいくらいに」


 ルクアが笑って言う。そして、双眼鏡越しに空を見上げる。その間にもラトゥールがうつらうつらし始める。しばらくして、ルクアが声を上げた。


「見つけた! 多分アレだと思う!」


 ルクアが指さした先には、トゥルーとファクトの写真が結びつけられた小瓶が浮いていた。それを見て、元祖ルクアがため息をつく。


『ちょっと、分かりやすいヒントつけすぎなんじゃない』

『我が弟以外に魔力を分け与えるつもりはなかったからね、今日は特別大サービスさ。これで違う小瓶を選んでいたなら、わたしがトゥルーの魔力を吸い取ってやるところだったよ』


 ファクトがにこにこと微笑む。元祖ルクアはそんな彼を少し睨んだ後、朗らかに一行に言った。


『さあ、これで必要なものはほとんど揃ったね。それじゃ、元祖フィアがいる城に向かうルートを描かないとね』


♢♦♢♦♢


 一方白の女王の城にて。城の中庭に、女王……――、元祖フィアがいた。彼女の目線の先には、一輪の青い花。その花は、いつでも美しい状態のまま咲き誇っている。


 元祖フィアは、青い花に軽く触れながら独り言のように呟いた。


「まさかルクアやアリスが残した願いが、わたしの望みを打ち破ろうとする一矢になろうとは、思わなかったわ。もっと早く手を打つべきだった」


 その時、中庭に通じる扉が乱暴にノックされ勢いよく扉が開いた。扉の前に立っていたのは、ボロボロのシルクハット風の帽子を身にまとった青年……――、帽子屋エドワードだった。



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