事実と真実
GW前に書きあげたストックです。誤字脱字あったらすみません。書き溜めてるので、半分頭真っ白になりながら書いてます。
ルクアを名乗る女性は、ルクアに言った。
『これが私の知っている、この物語で起きた真実。でもおそらくフィアの視点から見た真実は、きっと私たちの真実とは異なっている。事実はきっと、私がそのノートに書いたことになるんだろうけれど』
「事実と真実……」
『……わたしと、わたしの兄の名前の由来でもあるその言葉は、とても難しい』
トゥルーの声が聞こえてきて、ルクアははっとする。
「トゥルー、傷はもう平気なの? そして、この人が本当にあなたの兄なの? そもそもトゥルー、兄弟いたんだね」
『……傷なら話を聞いているうちに、回復した。そして兄弟関係は、とってもややこしいんだ。だからここでの説明は割愛させてほしい。いつか、ゆっくりな。……とりあえずそこにいるファクトは確かに、わたしの兄だ。……ああそれと、先ほどまでの会話はフィアたちにも転送してある。これで改めてルクアたちの名前の由来を彼女たちに説明する手間が省けるだろう』
「いつもありがとうね、トゥルー」
『……お互い様だ』
ルクアは言ってトゥルーのベッドを絵皿から取り出して、床にそっと置いた。そしてティアシオンがくれた袋の中から、私を飲んでと書かれているラベルの貼られた瓶を取り出す。ルクアは躊躇いなく、ベッドに向けて中身を振りかけた。
すると、みるみるうちにベッドも、その上に寝かされていたトゥルーも元の大きさに戻った。トゥルーは起き上がって、ルクアから袋を受け取り、別の瓶でベッドのみ小さくし直した。そして袋から空の瓶を2本取り出すと、絵皿に残った液体を2分割し、片方を本棚のところ、もう1本を袋の中にしまった。一通りの作業が終わったのを見届けるとファクトが戸惑いながら、トゥルーに声をかけた。
『えーっと。久しぶりだな、弟よ。元気にしてたか』
「……相変わらず、独特の言い回しなんだな。……それなりにやってたよ」
そっけなく返すと、トゥルーは続けた。
「……事実と真実。それはどちらも正しいと言えるし、どちらも正しくないともいえる。簡単に言えば事実とは、同じ絵を見た人の意見が8割くらい一致した時の内容のこと。真実は、その絵を見てその人自身が思ったことだ。わたしと兄を生み出した物語修正師は、ここにあった命の泉での争いを止めるため、泉の力を2分割にして、わたしたちに与えた。これが事実。しかし、わたしからみた真実は、違う」
トゥルーは首を横に振り、言葉を続けた。
「実際はわたしが泉の魔力の半分をもらい、もう半分の魔力は、魔力倉庫として城の内部に隠された。後から別の物語修正師候補生……――ルクアが、魔力倉庫に保管していた魔力の半分をファクトに与えてくれたが、彼は元の物語修正師に、『魔力が使えない』設定をされていた。だから彼は与えられた魔力を瓶に詰め、自分が元々得意だったモノ作りで作り出した作品に、魔力を封じ込めることにした。……これがわたしの、ファクトに対する真実だ」
「そしてわたしから見た真実は、トゥルーが見てきた真実とは違う。難しいだろう?」
わたしは難しい話は苦手なんだがね、とファクトが言う。
『わたしはルクアと契約を交わしていた。そのため、ルクアと共に物語の世界から追い出されてしまったんだ。同じくアリスもまた、物語の世界から追い出された。追い出されたわたしたちにできることは、限られていた』
ここでファクトの隣からルクアと名乗る女性が顔を出して言う。
『1つは、この物語の世界を作り出している現実世界にある本自体を守ること。そして私が残したこのノートに記された真実にたどり着いた物語修正師候補生を導くこと。フィアが作り出したこの物語を終焉に向かわせるためにね。そしてついに、あなたたちのおかげで、この物語を終焉に導く機会がやってきたというわけ』
ルクアを名乗る女性は、ルクアに向かって言った。
『お願い、協力して。これが本当に最後のチャンスなの。もう私たちの力では、この本を守り通せない。最近立て続けに起きている異常な大雨、あれは他の物語修正師たちに本を奪われそうになった時に起きてるの。上はもう、この本を処分するために物語修正師を派遣してきてる。私たちは物語を守るために協力してくれる物語修正師たちと一緒に戦ってきたけれど、もう限界。持って本当にあと数日。それまでに本来の物語に戻さないと、本当にこの物語は消し炭になってしまう。お願い』




