賢者の末裔とエルクシア
今から約二万五千年前、この世界は突然やってきた魔族によって支配された。
人類はあらゆる手を尽くしたが魔族の圧倒的力の前では、為す術もなかった。人類は熟考した、どうすれば奴らを倒せるのか?どうすれば奴らに対抗できるのか?
そんな事を考えている間にも、魔族は次々と人間を捕獲し奴隷又は食料にしていくのだった……
そんな時である。十八人の「賢者」と名乗る者が現れたのは、彼等は不思議な魔術を使い魔族達を次々と駆逐していった。しかし、多勢に無勢いくら賢者が強くても、無尽蔵に湧いてくる魔族達を捌き切るのは至難の業だ、一人また一人と賢者は段々数を減らし、魔族の半分を駆逐したところでとうとう五人だけになってしまった。
そんな時である、賢者と賢者の間に子供が出来た。
名は「エルクシア」
エルクシアはすくすくと育ち、5歳になる頃には魔族を殺せるまでに成長した。
はっきり言って、異常な成長速度である。両親が教えた魔術はたった数時間で完全に使いこなし、最高難易度の魔術ですら半日で使いこなした。
「この子は天才だ!きっと神の使いなんだ!」
そう言われエルクシアは持て囃された、そんなエルクシアを魔族達は大いに恐れ、なんとか始末しようと躍起になった。だが、その度に返り討ちにされ魔族の戦力が衰退するだけであった。
時は流れ、エルクシアが十五歳になろうという時、魔族の王カルーノが現れた、カルーノは暴虐の限りを尽くし人類を再び絶滅の危機に陥らせた。エルクシアの両親はそんなカルーノを討伐せんとエルクシアを連れ勇猛果敢に立ち向かって行った。
結果……エルクシアの両親は命を亡くし、エルクシアは魔術を失った。
エルクシアただ一人が生き残った
頭をねじ切られそうになってまで息子に逃げろと命令した父に従い逃げた、四肢を千切られ瀕死の状態になってまで息子に逃げろと命令した母に従い逃げた。そして、生き残った。
エルクシアは激しい後悔と怒りに身を包まれた
自分の力を過信していた自分が憎かった
自分がいるからきっと大丈夫だろうなんて驕った考えをしていた自分が腹立たしかった。
挫折と絶望、そんな言葉がエルクシアの頭の中をぐるぐる回った。
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〜千年後〜
一つの会社が誕生した、会社名は「エルクシア」
組織の行動指針は“魔族撲滅”である。
魔族を撲滅するため賢者又は賢者の末裔だけで構成された組織………
社長、“エルクシア”のエゴと憎しみと後悔だけで創設されたと言っても過言ではない、そんな組織--------
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〜現在〜
魔族撲滅を掲げる「エルクシア」に一人の新入社員が入社した。名は「戸塚あみ」
彼女は入社早々、“いる筈のない”魔族に襲われる事となる。それによりある力に目覚めることとなるが……それは果たして、偶然か必然か、それが分かるのはそれから約一週間後の事である。




