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めぐりあわせ6  作者: のぼり
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保育園にて

さきは絵理子と共に通っていた幼稚園を訪れた

そこで幼い頃の自分の話を聞くことになる

 さきと絵理子は保育園に向かった。

事前に訪ねる事を連絡しておいたので園長先生に会うことが出来た。園庭で

「いらっしゃい。さきちゃん、絵理ちゃんよく来たわね。」「お早うございます。ご無沙汰しまして…」「よく無事で…こんなに立派になって…良かったわぁ」「その節は皆様には大変ご心配と御迷惑をお掛けしました」「さきちゃん、そんなこと良いのよ。今だって覚えてないんでしょう?あなたこそ大変な思いをしたのに。」「確かに大変だったはずなのですが、記憶が無い分、不安も怖さもよくわからないまま受け入れるしかなくて。養父母に大事に育てて貰ったので充分幸せな時間を過ごしてきました」

園庭で園長の山崎千佳子と抱き合って再会を喜んだ「さきちゃん…でも会えて良かったわ」「園長先生、今日は私達が通ってた頃のアルバムとか見せて戴きたくて…」さきと園長のやり取りをしばらく見ていた絵理子が横から声をかけた「絵理ちゃん、お母さんから聞いてるわ。こちらに準備してあるわ。どうぞ入って下さい。」園長がドアを横に引いて中へ案内してくれた

「ありがとうございます」さきは園長に続いて、応接室に入った「あなた達が通っていた頃とは場所が少し違うのよ。園舎も建て直ししたから」「そう言えば、そうですよね」絵理子が相槌を打つ「前園長も後から顔を出すって言ってた」「そうなんですか、最近会ってないですね。お元気ですか」「ええ、元気よ。膝を悪くしたけどたまには送り迎えに出てきたりするのよ」「そうなんだぁ」「前園長先生は私達が通っていた頃の園長先生なんですか?」「ええそうよ。私が園長になって10年くらいだから…」現園長が頷く「何か思い出せたら良いのに…」さきが悔しそうに呟く

「さき、焦らないのよ。私は、さきを苦しめるために此処へ連れてきたんじゃない。覚えてなくてもさきはさきだよ。」「えりこさん、ありがとう」「絵理ちゃん。大人になったわねぇ…あの頃は、さきちゃんに守られてるばかりだったものね。えらい、えらい。」

「そんな昔の話…」「聞きたいです。園に通ってた頃の話を」「ええ勿論よ、私が知っているさきちゃんの事をお話させて貰うわ。さぁ掛けて」園長先生は、ソファーに掛けるように促す「ふたりがいた頃の写真やアルバム、後は、園児の名簿とその頃の住所録よ。ゆっくり見てて構わないわ。何か合ったらいつでも声を掛けてね。今日は土曜日で園児も少ないし、私も担当することは無いから」そう言って、園長は席をたった。気を使わせない様に二人だけにしてくれたのであろう。さきは感謝の気持ちで一杯だった

「さて、さきはまずは写真から見る?名簿?」迷う事無く「名簿を見せてください」さきは名簿を手に取った。昔の名簿なので手書きだがキチンとした文字で園児の名前、生年月日、父母の名前、連絡先が書いてあった。

「つくづく父親の名前と母親の名前を確認して私はこの町で生活していたんだと思う。実感は無いけれど」そう呟いてページをめくる「この入園申込書は母の自筆かしら?」「まぁ大概そうだろうね。お父さんが書いてる家は少ないと思うよ。今だって、大体母親じゃない?」「そうね。じゃあこの字は母の書いてくれた字…」さきは愛しそうに用紙に記入されている字をなぞっている「お母さん…今、どうしているのかしら…少しは近づけたのかしら。」ボソッと呟くさきを絵理子が優しく見ている

「この用紙をコピーしてもらおう。住所探したり、便利だよ」「そうね。園長先生にお願いしましょう」

「他にコピーしてもらうものは無いかな?」「探してみます」「写真はどうかなぁ…あっこれなんかはっきりお母さんが写ってる」「どれどれ?」「ほらこれ、うちに残ってるのと同じ服装だけど、こっちの方が大きく写ってるじゃない。」「カラーコピーできるとこ無いかしら?」「うーんどこにあるかなぁ」「どうしたの?二人して…」お茶とケーキを持って園長先生が入ってきた「先生、カラーコピーのとれるところ知りませんか?」

「カラーコピー?」「写真を大きくコピーしたいんです」「それなら、ネガを持っていって大きく現像してもらえば?」「ネガがあるんですか?」「あるわよ。主人が保管しているから。」「助かります。ちょっと待ってて。御茶でも飲んでて」そう言うとトレーごと置いて出ていった

「千佳子先生のご主人はカメラが趣味でね、園の行事には大活躍なんだよ❗それが縁で結婚したんだから。あの二人。」「まぁ羨ましいわね❗」「いまだにラブラブだわよ。子供だって高校生三人いるのよ。」「三人とも高校生?」「上の二人は双子君なのよ。下は女の子」「双子のお兄ちゃんかぁ…。詳しいのね」「千佳子先生は保の叔母さんなの。だから詳しくもなるって❗」「保さんの叔母さんだったのね」

「もっと写真を調べてみよう」絵理子の提案に頷くさきだが、顔に記憶が無いのでどの写真を見てもピンと来ないのが本音で、佐々木家で見せてもらった両親と同じ顔が写っているのを探すのがやっとである

「さきちゃん。この写真あげるわ」園長がネガと一緒に大判の写真を二枚手渡した

「これは…。」「今、一番欲しい写真かもね」側から覗いた絵理子が呟いた「入園の時に家族単位で取った写真と遠足の時に仲良くご近所さんで揃った写真なのよ」と千佳子園長がさきに話しかけた「入園式の日…」写真は、以前の門扉に入園式と飾りがされていて5才のさきと両親が幸せそうに笑っている。今まで見た写真で一番はっきり写っている。この後に辛い出来事が起きることを誰が想像できたであろう…。「嬉しそうに笑っているわ、私も、お父さんも、お母さんも…」さきの目から涙が零れる。

「くっ」と泣くのを堪えたが、涙はポタポタ落ちてしまう。

「我慢しなくて良いんだよ❗お馬鹿さん」絵理子がさきを抱く閉めた

「…。」さきは頷くだけで言葉にならなかった

「ゴメンねぇ。余計なモノ見せっちゃったから」千佳子園長が立ち尽くす

「そんな事ありません。お陰で両親が私を愛してくれていたと言う事がはっきり分かりました。ありがとうございます」5分程して落ち着いてからさきは園長にお礼をいった

「この写真のネガも戴けますか?」「ええ。この写真も持って行って…。」「ありがとうございます。ご主人にもヨロシクお伝えください」泣いたせいで鼻をくすんくすんしながら園長先生にお礼を言う

さきは可愛い動物の絵がプリントされた大きめの事務封筒をもらって写真と入園申込書のコピーを仕舞った「そろそろお義母さんが来ると思うんだけど」廊下から子供達の賑やかな声がする「来たようね❗」千佳子園長が席をたった

「お義母さん、こちらです」子供達のに囲まれてもニコニコしているおばあさんが前園長のようだ

「みんな静かに、静かにね❗お客様がみえているのよ。さぁ部屋に戻ってください。」「後で遊んでくれる?」「いいですよ。よいこのみんなはお利口さんにできるかなぁ」「はーいできるぅ」「それじゃあまた後でね、バイバイ」そういって前園長は子供達から抜け出てさき達のいる応接室へやって来た

「お疲れ様です。お義母さん」「こんにちは。え~と絵理ちゃんとこちらは?」「さきちゃんです。」「さきちゃん?、西寺さんとこのさきちゃん?まぁ大きくなって…」「ご無沙汰しています。園長先生」「何処に居たの?ご両親はどうしてるの?」「お義母さんちょっと待って下さい、さきちゃんは、あの頃の記憶がないんです」「記憶が無い?では此処へはどうやって?」「さきは自分が何処に住んでいたのか、ずっと探していたそうです。偶然このまちにやって来たときに私と保が一緒にいて出会ったんです」絵理子が説明する「さきちゃん…よぉく顔を見せて頂戴」さきは前園長に近づき屈んだ

「よく無事で…立派な大人になったわねぇ…良かった。そうね、確かにお母さんのさえ子さんに似ているわね」

「私もそれで気付いたの」側で絵理子が頷く

「そうなの?偉いわ、絵理ちゃんは警察のお仕事しているから観察力があるのね❗」「偶々ですよ。園長先生」

「でもさきちゃんは今、どうしているの?」「横浜市に住んでいます。」「横浜?随分遠くへいったのね?お母さんが連れていったの?」「いえ記憶が無いので分かりません」「園長先生、どうしてさきちゃんママが連れて行ったと思ったんですか?」「ああ、うん随分前に横浜出身だって話していたの」「初めて伺いますけど?」「千佳子さんに話してなかったかしら?」「いいえ…」「横浜のどこかで聞いていませんか?」さきは前園長に尋ねた

「それ以上は言わなかった。聞いてもわからないでしょう?ただ、静かな住宅街だって言ってたかしら。渋谷と横浜に一本で行ける沿線だと聞いたわ」「該当する場所が多くて分からないわ」さきが呟いた

「さきは横浜で保護されて、今の家で養女になったんです。」「養女?そうだったの?でも大事に育ててもらえてるのね?」「はい。とても感謝しています。」「お仕事は?」「県庁に勤めています」「まぁ立派ねぇ」「座ってお話を聞かせてください」「ええ勿論よ」それからあっという間に二時間程経ってさき達は園から帰った

「さき、お母さんは横浜に住んでいたんだね?」「そうね、ビックリしたわ」「横浜迄連れてきてどうして独り置いていったのかしら。どうせなら実家の前まで連れて行けば良いじゃない?」「何か大変なことに巻き込まれたとか?」「警察とかで調べてもらったらしいけど該当する事案は当時は無かったそうよ」「その件は、私が調べてみるわ、ところで、住んでた家、行ってみよう?この間は、時間が無かったから行けなかったからね❗」「ええ。行きたいです」

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