表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメントユーザー  作者: 野上飛鳥
7/14

第4.5話 デート

日本人ではないので、日本語が間違っているかも知れないです。その時は教えてください。


第4.5話 デート


「ねぇねぇ火焔くん、デートしましょう!」

「……は!?」



土曜日。

朝起きて、火焔は部屋から離れようとして、ドアを開けた時、愛がそこに立っていたことに気づいた。

愛は起きてからずっと、そこで火焔を待っていたみたいだ。

そしていきなり、あのくだりになったのだ。

「デートしましょう!」と。

あれから半時間が過ぎで、火焔は今家の正門で愛を待っている。

色々考えた結果彼はデートの誘いを受けた。

少し待ったら、着替えが終わった愛もそこに来た。

半袖の上着に白のスカート、その上にはデニムジャケット、靴は白のフラットシューズ。

それに、そのながーい長い銀髪をアップスタイルにしていた。

衣装はもちろん、あの超長い髪をアップスタイルにしただけで、凄い気合入れたことがわかった。

着替えに半時間も使ったけど、その大半は髪に使ったと考えたら男の子でもその半時間を短く感じる。

その「デート」に行く前に、火焔はどうしても聞きたいことあった。

「あのさあ……」

「どうしたの、火焔くん?」

「お前は一体俺の何が好きなんだ?」

それについて火焔はずっと考えていた、何故愛は自分に告白したのか、何故自分が好きになったのか。

 それを問いかけたこともあったけど、、愛は一度もまともに答えていなかった。

今回もそうだろうなー と思ったけど、火焔はそれでも問いた。

「言ったでしょ? 人が好きになるのは、理由なんていらないんです。それより、行こう!」

だがむしろ、彼女の言う通りに、火焔の質問はそもそも答えがないかも知れない。

彼女の言葉を聞いて、これ以上聞いても無理だとわかって、火焔も諦めた。

そして、火焔は家の正門、ではなくて「ゲート」を開いた。

「行きたいところでもあるか?」

二人が「ゲート」を通り抜けて例の小路に着いた後、火焔は愛に問いた。

その質問を聞いて、愛は「ん……」と考え始めた。

どうやら、行き先を決めていないまま、愛はデートを申し出たらしい。

「……水族館とか?」

水族館なら、すぐ近くにあった。

「あっ、正当な理由ありますよ!」

火焔は何も言ってないのに、愛は何故か弁解し始めた。

「なんだ?」

一応聞いてみるか、くらいの気持ちで火焔はその弁解を聞く。

「ほら、EMって大体見た目から動物に連想できて、その動物の習性も持ってるじゃないですか。昨日のアマツバメみたいに私が知らない動物のEMもきっといますから、この際海の生物について学べるんじゃない?」

それについて、火焔は何も言っていなかった。

むしろ、そんなの言わなくても、愛は水族館に似合うタイプだから、誰でも何も言わないだろう。

「では、行きましょうか!」


「ねぇ、火焔くん、なんかすごい見られてない?」

水族館まで歩いている途中、愛は周囲からの視線を感じた。

「当然だろ、その銀髪目立つから」

髪だけじゃなく、愛の綺麗な顔とスタイルの良さも人の目を引き寄せる。

だけど、本人は自分の目立ちやすさを自覚してないようだった。

もちろん、愛ほど素敵な女性と並んでた火焔も人目を集めていたけど。

水族館へ向かっている時、二人はちょっとだけ話をした。

そうは言っても、二人は明らかに昨日の「DELE」のことを避けて、昨日の夕食とか、学校のこととかしか言っていなかった。

そして、こうしている間二人は着いた。

「俺が出すよ」

「えっ?」

愛が自分の分のチケット代を払うために財布を取り出そうとした時、火焔が彼女を止めた。

「いいよ、自分で出しますから」

「いいから」

火焔がチケット代を支払った後、二人には中に入った。

中に入って、最初に目に映ったのは大きな水槽。

「うわーー」

愛は目の前の海の世界を見て感嘆の声を洩らした。

「こんなところに来たいっていうのはやはり動物が好きか?」

先の「正当な理由」は言い訳だって火焔は知っていた、だからこうやって真の理由を問いかけた。

海洋の世界に夢中してても、火焔の質問を聞いて、愛は答える。

「好きとは言えないけど、他の生物を見てると何だか癒される感じがしますね――」

海の生き物たちに対する気持ちを語ったあと、愛は今度火焔に質問を返した、無表情で魚たちを見つめている火焔に。

「そういう火焔くんこそ、動物好き?」

「嫌いじゃないが好きでもない。」

水槽の中で自在に泳いでいる一尾の魚と見つめ合って、火焔は答えた。

「ただEMと戦うため、昔からいろいろ調べて覚えて、興味失っただけだ」

目の前の生物を知りすぎたから、興味を失った。

だからこうして魚たちを見ても、喜びも、癒しも、火焔はちっとも感じられない。

変わらない日常の景色にも、周りの人にも、火焔はだからこそいつも無表情じゃないかな――って思った愛は火焔に話かける。

「……じゃあ、私の先生になってください!」

火焔にもなるべく楽しめるように、そうはできなくても、参加している感じを少しでも上げるように。

「別にいいけど」

「じゃあ、あの長い魚、なに?」

火焔の同意を得て、愛は嬉しそうにとある魚を指差して火焔に質問した。

「バショウカジキっていう、海の中で一番速い魚だ」

「じゃああの顔が面白いのは?」

「マンボウだな」

「ねぇねぇ、火焔くん見て、エイと赤いクラゲよ!」

こうして、水族館を巡っている間、愛は楽しそうに火焔に色々質問をした。

そんな彼女の笑顔を見て、本当に楽しんでいると感じて、火焔は――優しく彼女に答えた。

そして――

「海の生物で一番好きのは?」

と、火焔は愛に好きな海洋生物を聞いた。

その質問を聞いて、愛は一瞬微笑んだ後、真面目に自分の一番好きな海洋生物を考えている。

「一番好きなのは……イルカですね、かわいいですから!」

「じゃあイルカ見るか?」

「うん!」

二人の会話を聞いても、普通の恋人にしか見えないのだろう。

ちょっとわがままで、世間知らずなお嬢様の感じの彼女と、その彼女を甘やかしている、知的な彼氏。

こうやって二人は水族館で三時間くらい過ごした。


水族館から離れた後、愛は次どこに行こうか歩いて考えている。

そんな中、彼女は突如とあるぬいぐるみの店の前に止まって、呟く。

「……かわいい……」

彼女の視界に入ったのは猫のぬいぐるみ。

大きくて、モフモフで、抱くと気持ち良さそうなぬいぐるみ。

ぬいぐるみを見つめていた愛を見て、火焔は聞く。

「猫好きか?」

「ええ……かわいいですから」

 火焔の質問に、ぬいぐるみの可愛さに惚れた愛は答える。

「欲しいか?」

「いえ、いいえ……」

だが欲しいかと聞かれたら、愛は否定していた。

そうは言ったけど、本当は欲しいって誰でもわかる。

「買ってあげる」

「え? そんな……」

「いいから」

そしたら、火焔は愛が気になっていた猫のぬいぐるみを買ってあげた。

しかし、水族館のチケット代を払ってもらった次に、欲しがっていたぬいぐるみを買わせて、愛は火焔に申し訳ないと感じた。

それに、愛が気なったぬいぐるみはよりにもよって高いやつだから、ただの一回のデートで高校生にこんなに金を使わせたら大丈夫だろうかと、愛は火焔の財布が心配になってきた。

「高そうですよこの子、お金大丈夫?」

「大丈夫だ」

その心配は無用だって火焔に言われたため、愛はそれで安心してぬいぐるみを受け取った。

「はあ……ありがとうございます! 火焔くんから貰った初めてのプレゼント、大切にしますね!」


今度、二人は海に近い公園へ散歩しに来た。

愛はそこにあったクレープの屋台を見て止まった。

彼女の考えは既にバレバレだった。

「食べたいか?」

「えっ? うん、今まで食べたことないですから……」

「じゃあ買ってあげるから――」

「待って!」

火焔はクレープを買いに行くつもりだったが、愛に止められた。

「男の子に何もかも奢らせるなんて、私はそういう女子じゃないですから!」

少し怒ってそうでそう言った後、愛は一人でクレープの店へ向かった。

一人残された火焔はやることがなく近くのベンチに座った。

ちなみに、さっき買ったぬいぐるみを、人が見ていない時に「セーブ」に置いていたから、愛は今こうしてクレープを買うことができた。

そして――

「火焔くん、チョコとイチゴ、どっちがいい?」

数分待ってたら、愛は二つのクレープを持って火焔のところに戻った。

買いに行く前に火焔の好みを聞いてなかったから、愛はチョコとイチゴ、二種類の味のクレープを買って、火焔に選ばせてあげた。

「じゃ……チョコで」

と、火焔はチョコの方を選んだ。

「後、これ」

言って、愛は急に火焔にお金をあげた。

「やっぱり、火焔くんに金を出させるわけにはいけないから……」

愛はやはり、チケット代とぬいぐるみのお金を火焔に出させたことが気になっていたみたい。

だから、ぬいぐるみのと自分の分のチケット代のお金を、火焔に返そうとした。

しかし、火焔はそれを拒む。

「別にいいよ、デートだし、俺が払うよ」

そして、彼女が次に言う言葉が火焔を驚かせた。

「ねぇ、火焔くん、そんなに演じてて疲れないの?」

「!?」

その言葉に、火焔は無言を返すしかなかった。

「火焔くんは、私を満足させようとしてデートに応じた、ですよね?」

「何のこと――」

そんな火焔の反応に、愛はただ微笑んで、続けた。

「嘘下手ですね、火焔くんは」

そう、愛の言うとおりだった、火焔は彼女を満足させるために、今日一日芝居をしていた。

もうすべてバレていると悟った火焔は誤魔化すのを諦めて、質問を返した。

「いつからわかった……?」

「水族館の時くらいですね、火焔が急に優しくなったと思ったら……」

つまり最初から気づいていたんだ。

火焔は今日一日やさしい彼氏ぽく、演じていた。

だから、愛の行きたいところへ行って、チケット代を払って、ぬいぐるみも買ってあげて、クレープも買ってあげようとした。

そうする理由はと言うと――

「これは――」

「『あ・や・ま・り・か・た』、でしょう?」

愛は火焔に弁解する余地もあげなく、火焔の考えたことを言った。

「昨日『DELE』のことを教えて、私の願いを潰したと思って謝りたいんでしょう?」

言い当てられた火焔はいつもの態度に戻った。

上を仰いて、彼は苦笑して喋った。

「フッ、やっぱり俺はお前が苦手だ、知り合ったばかりなのに、いつも見破ってくる……」

「それは見破れるよ! 好きな人なんですから」

火焔はまた何も言えなかった、彼は愛の好きの感情を侮っていた。

自分の愚かしさを嘲笑ってながら、火焔は愛が渡してくれたお金の中の2500円――水族館のチケット代だけを取った。

それを見た愛はすぐに口にする。

「え、まだぬいぐるみの分が――」

「あげるよ、俺を見破ったご褒美で」

「えっ?」

急にご褒美とか言われてて、愛はどう返すべきかわからなくなった。

彼女の反応を見て、火焔は「いいから」と言って愛に残りのお金を引っ込めさせた。

お金のことを解決して、愛は火焔の隣に座った。

そして、彼女は話を進めた。

「でもね、私はあのことを聞いてよかったと思います。何も知らないより、やっぱり真実を知った方がいい、だからむしろ感謝してます」

彼女は「DELE」のことを知ってよかったと思う。

人間を守りたいことを口にする自分に「君は人類の敵だ」とか言われても、愛は火焔を憎く思わなかった。

むしろ、その真実を知ったから、ちゃんと「人類を守る」ことについて、愛は改めて考えられる。

だから、火焔には「ありがとう」と言いたかった。

それだけのために、愛は火焔に今日のデートを誘ったんだ。

そして彼女は続ける。

「だけど、そういう運命なら、私は逆らいたい!」

言って、愛はクレープを一口食べた。

例え「ユーザー」と人類の関係を知っても、愛の望みはたっだ一つ――人類を守るために戦いたい。

それが「ユーザー」と人類が殺し合う運命なら、それに逆らう! と。

だが、その考えに、火焔は否定する。

「俺は運命など信じないな」

彼女は相当の覚悟ができていた、だがそれだけじゃまだ足りないと、火焔は誰よりも知っていた。

足りないんだ。

「人を救いたい」という覚悟だけじゃ…………と。

「あ――」

「ねぇ、火焔くんは――」

そして火焔が何かを言いかけた時、愛に先手を取られた。

「私のことどう思ってますか?」

「は?」

急にそんなことを聞かれてて、火焔は驚いた。

その質問から逃れる方法を考えようとした時、火焔は愛の視線に気づいた――

「本当のことを教えて」

また、その目、浴室の時と同じ、火焔の何もかも見破りそうな目、火焔に嘘を付けさせない目。

「いやなやつだと思った……」

彼女の視線から逃げながら火焔は答えた。

「……だれに対してもやさしいやつ、誰とも仲良くいられるやつ、誰のことでも勝手に心配するやつ、俺とは真逆で、一番相性悪い……俺には、眩しすぎる奴だ」

「あれ、私……嫌われた?」

火焔の答えを聞いて苦笑した愛の言葉に火焔は続けて答えた。

「お前みたいなやつは必ず勝手に俺に話しかけてきて、勝手に心配して、俺が怪物であることを知ったら勝手に傷ついて逃げるから。 お前だって『ユーザー』じゃなかったら、とっくに逃げたさ」

「人を守る」を理想に語る愛みたいに、無差別で人のことを心配しそうな人、必ず勝手に火焔のことを心配する。だが火焔の真実を知ったら、今度は怖くて逃げる。

彼はそうはっきり言えるのは、彼は以前同じ目にあったから、それも、一度だけじゃなかった。

これ以上昔のことを振り返たくなく、その話題から逃げるために、火焔は話題を変えようとした。

「なぁ、その髪……」

「なに?」

今じゃアップスタイルになっているからそう見えないが、彼女の髪は相当長いから、今朝は相当大変だっただろうな、と火焔は思った。

彼女は普段クラスでは、ポニーテールに結んだ髪を前に持ってきて、太ももの上に置いてこそ座れていたから、髪は地面に触れなかった。

それに、それほど髪が長いってことは、質量も相当なものだろうけど、首に負担をかけないのか。

「そんな長い髪……色々迷惑だろ? 首とか……何故そこまで髪伸ばしたんだ?」

これほど長い髪はもはや日常生活を邪魔していると言っても過言ではない。

普通の女子なら、きっとその髪を切るだろう、だが愛はそうしなかった。

それは何故だろうか、火焔は気になっていた。

髪の手入れのために専用の椅子を作らせてまで、何故髪を伸ばすのか。

「やはり、髪のこと気になります?」

「ああ」

だが当の張本人も自分の銀髪が気にされることをわかっていた。

火焔の質問を聞いた後、愛は一旦仰いて、ちゃんと深呼吸してから答えた。

「この銀髪はね、お母さんから受け継いたってお姉ちゃんが言いました。しかし、お母さんが亡くなって、お姉ちゃんは私が小さい頃から髪を黒に染めてましたから、この銀髪を通じて、私は初めてお母さんと繋がってるんだって実感するんです……だからあんまり切りたくなかった」

亡くなったお母さんとの繋がりだと思って、幼い頃から切らなかった、と。

彼女にとってその銀髪は、それだけ重要な物だと火焔は改めて知った。

「よっぽど大切なんだな」

「ええ」

愛の話を聞いて、火焔はとある案を出した。

「だったら、その髪をエレメントで守るとかどう? 髪を戦いから守れるし、ついでにエレメント使うの練習にもなれる」

これから愛は戦いに巻き込まれる体だ、多少傷つくこともあるだろう。

もちろんその髪も、いつか戦いの時に何か遭うかも知れない。

そこで、火焔は提案を出した。

エレメントで何とかして戦いの危険から髪を守る、そしたら、戦う時にもう髪の心配しなくていいし、エレメントを使う練習にもなれる。

まさに一石二鳥の案。

「それです! 火焔くん、天才!」

どうやら、愛もその問題について考えたことがあるらしい。

その問題にようやく一つ解決策を見つけたことに、愛は急にワクワクしてきた。

だが、彼女との態度が真逆な火焔は、こう言った。

「……いや、お前ほどじゃねぇ」

火焔は長年の戦いで、人の心理を読めるようになった、人の心理を掴んで騙す、または誘導、戦いの手段の一つとして、火焔はとっくに馴れていた。

今日のように、彼は今までずっとこんな風に色々の人から、本当の自分を隠してきた。

そんな火焔の嘘を何回も見破って、観察力はともかく、愛の頭は相当いい。

そしてこの時、二人のお腹が同時に「ぐぅー」と鳴った。

話しながら食べていた二人のクレープはとっくに胃からなくなっていた。

振り返ってみたら、今日十一時ぐらいから家を出て、今じゃ既に四時。

朝食食べてからまともなものを何も食べていなかった、お腹が減るのもしょうがない。

「やはりデザートだけじゃダメみたいですね。ご飯、食べに行きませんか?」

こういう時に誘ったのはやはり、愛だった。

そして、その誘いに、火焔は応じた。

「ああ」

移動するために二人は立ち上がった。

そしたら、愛はまた驚く言葉を口にした。

「ねぇ、手、繋いてもいい?」

愛のリクエストに対して、火焔は何も言わずに行った。

「黙るならオッケーってことで!」

言って愛は火焔の腕を掴んだ。


二人は愛のおすすめのレストランに来た。

愛はカルボナーラソースのカッペリーニ、火焔は普通のスパゲッティを頼んだ。

「おいしいーー」

カッペリーニを一口食べて、愛は幸せそうにおいしいって言った。

だが、愛のその反応を無視して、彼女のディッシュを見て、火焔は呟く。

「カルボナーラか? チーズ、黒コショウ、豚肉と卵で作り上げたソース」

その呟きの内容はまさかの、食べ物の成分の解析だった。

それを聞いて、不意に笑った愛は彼に問う。

「火焔くん、料理そんなに好きなんですか?」

「いや、ただの癖だ」

愛の質問に火焔は癖で答えた。

そのわけがわからない答えを聞いて、愛はツボったみたいで笑いが止められなかった。

だが、火焔はどうせ愛にはわからないだろうというような態度で黙った。

彼の反応を気づき、愛は笑いを止め、火焔に話しかけた。

「ねぇ、火焔くん、一度笑ってみたら?」

今日大半の時間が笑顔でいていた愛と違って、火焔は今日一日、いや、愛に出会った時から、またはその前から、一度も笑ったことがなかった。

だから、愛は彼を笑わせようとした。

しかしそれに対する火焔の反応は――

「笑う? 何故だ?」

相変わらず冷たかった。

それで諦めることはなく、愛は続けて攻めた。

「火焔くんの笑顔が見たいですから」

「冗談はよせ、笑い方なんでずっと前から忘れていた。感情は人を弱くするだけだ、お前も覚えてろ、強くなるほど感情は無用だ」

長年の戦いから出た結論を、だが愛は否定をする。

「そうじゃないよ、人を強くする感情だってきっとあるよ」

価値観が違う二人が争っても結論が出てこないとわかって、二人は黙ってしまった。

そして、その沈黙を破るのはやはり――愛だった。

「でもね、火焔くんの話を聞いて、私の目標が一つ増えました」

「なんだ?」

「火焔くんを笑顔にさせること!」

素敵な笑顔でそのセリフを言った愛に、火焔は相変わらず無表情を返した。

「……勝手にしろ……」

「うん!」

火焔は公園の対話から態度がいつもの冷たいやつに戻った。

しかし、愛にとってこっちの方がいいかも知れない、そんな火焔を見て、ニコニコしだ。


あとがきになんで書くべきかわからないので、次回予告とたまたま雑談書こうかなあ――


――――――――――――――――――――――――――――――

第四話と第五話の間のできごと。

火焔くんと愛ちゃんの初めてのデート。

第4.5話の形で書きました。


――――――――――――――――――――――――――――――

4.5話なので次回予告はありません

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ