第一話 二人の出会い
日本人ではないので、日本語が間違っているかも知れないです。ご了承ください。
第一話 出会い
「おはよう、火焔くん」
「おはよう……じゃねぇよ、なんでまた俺の部屋にいるんだ? 空姉! 」
朝、火焔と呼ばれる少年は目が覚めた。
目を開けたら、最初に彼の目に映ったのは、とある少女の顔。
ピンク色の髪をロングに伸ばし、ちょっと大人ぽくて、とても綺麗な女性。
火焔に「空姉」と呼ばれる彼女の名前は野上美空、火焔の一個上の姉であった。
彼女の身に纏うパジャマから見ると、多分昨夜部屋に乗り込んできたのだろうと、火焔は簡単に推測できた。
なにせ、初めてではなかったからだ。
「何よ! 美少女に起こされて何が不満?」
女の子でも羨むほどきれいな顔をして、美空は確かに美人と言える。
更に大きな胸、細い腰と長い脚を集まったモデル体型も相まって、男も女も好きになっちゃうかも知れないほど彼女は完璧な女だった。
実際、彼女に告白する人は毎日山ほどいるらしい。
しかし、何故か今になっても彼女は恋愛経験ゼロのままでいた。
そんな完璧な女性が自分に甘えているのに、火焔は冷たく対応している。
「起きるくらい自分でできるから……」
「えーーーー」
「文句言うんな」
「はーい」
「失礼します」
と、火焔が自分の部屋に侵入してきた姉と対話している最中、メイド服を着る黒髪な女の子が突然部屋に入ってきた。
「希! ちょうどよかった――」
如月 希、それが彼女の名前。
彼女の姿を見て、火焔は早速彼女に問いかけた。
「――なんで空姉が俺の部屋にいるんだ?」
その身に纏うメイド服はコスプレとかではなく、彼女がこの家でメイドを務めている証であった。
火焔の専属メイドとして、火焔の部屋の鍵を持っているのは火焔本人以外には彼女だけ。
だとすると、美空が自分の部屋に入れたのは、彼女の手伝いがなければ出来なった。
「美空お嬢様がどうしてもとおっしゃったので……」
「いや止めろよ」
「いいえ、私にはお嬢様の意思を無視する権力がありませんので」
その言葉を聞いて、希の後ろに回った美空は火焔に勝利のピースサインをした。
だがそれはすぐ火焔に無視された。
「……お前はいつも妙なところにこだわるなぁ……」
真面目で頭が固い、彼女の主人として十数年も付き合っていた火焔は誰よりも彼女の性格をわかっている。
「……まあいい、桜を起こせ、いまから朝飯作るから」
このまま話しても時間を無駄にするだけだとわかって、火焔はすぐ説得を諦めた。
「かしこまりました」
そう答えた後、希は火焔の部屋を出た。
しかし、美空はなぜかまだ残っている。
「ほら、空姉も早く着替えろ」
「はーい」
そう答えて、美空は脱ぎ始めようとした。
「いや、着替えくらい自分の部屋にしとけ!」
と叫んで、火焔は美空を部屋から追い出した。
仕方がなく、美空は口を膨らませて、不服そうな表情をして自分の部屋に戻った。
「さて、何を作ろうか……」
着替え終わって、部屋を出て火焔はキッチンにで、朝飯を準備していた。
「桜はハンバーグが食べたいな!」
火焔の独り言を答えながら、急に後ろから彼に抱きついたのは、妹の桜。
美空と同じピンクな髪を持つが、長い髪の美空と違って、桜はショートカットにしていた。
更に、いいスタイルの姉とは真逆で、桜はかなりちっちゃくて、いわゆるロリ体型の女の子であった。
色んな意味で二人はまさに正反対、ただ唯一の共通点は、今のようによく火焔に甘えることか。
「却下だ」
「ええ? なんで?」
「肉使い切ったから」
「ええー? そんなーー」
「しょうがないだろう? 代わりに晩ご飯で作るから」
「わーい、ありがとう、お兄ちゃん!」
その後適当に朝飯作って、適当に食べた後、四人は一斉に家から出た。
今日は学校の始業式だったから。
「「おはよう」」
家を出た瞬間、二人姉妹が挨拶をしにきた。
「おはよう、初音、天音ちゃん」
こっちの四人を代表して二人に挨拶し返したのは美空だった。
茶髪をポニーテールに結んで、元気いっぱいなのは妹の天音。
茶ロング、穏やかに見える方は姉の初音。
これで人が揃った。
「それじゃ、行くぞ」
火焔は手を前に伸ばして、腕に少し力を入れた。
すると、目の前に光の扉が現れた。
その扉を通り抜け、六人はとある小道に着いた。
「相変わらず桜見島の桜はきれいだね、見ると落ち着くわー」
到着早々、天音は大きく息を吸って、この景色に感嘆した、
桜見島というのは、何十年前政府が東京近くの海域に建てた、およそ東京の三倍の大きさを持つ人工島。
島の中心には大きな山――桜見山があって、そこには桜がいっぱい植えられて、島のどこからでもその桜を見ることができることから、桜見島と名付けられた。
桜散る時期に島全体が桜の花びらでピンクに染まるところはまさに絶景と言える。
島の上には住宅区、商店街、病院、一つの町にあるべきあらゆるものがあり、それ以外にも日本本土と繋がっている電車と空港があった。
更に、ここの医療設備、エンタテイメントなど市民への福祉が世界屈指な故、世界各地からここへ転居する人は決して少なくはない。
これも島の建設に世界各国からの資金援助を得たからであった。
この六人が通う学校もこの桜見島に建てられた。
「では、先に行くね!」
六人の中で、桜だけまだ中学生だから、彼女は一人だけ違う方向へと向かった。
* * *
「それでは、ホームルームもそろそろ終わりま~す」
始業式が終わって、ホームルームも終わるところだった。
この学校――桜見学園は普通の学校と違うところがいくつかあった。
一つは、教室の机は普通の机より一回り大きくなっている、つまり生徒は隣と同じ机を共用しなければならないのだ。
ちなみに、火焔は一番後ろに座っていて、隣は空いていた。
「それでは、それぞれの学科の最初の授業ですよ~ 一般科のみんなはここに残って、戦闘科はグラウンドね~」
それがもう一つ、この桜見学園が普通の学校と違うところ。
桜見学園では、二年生以上の生徒は一般科と戦闘科に分かれていた。
一般科の生徒は普通の高校生と同じ授業を受けるが、戦闘科の生徒には基本な授業以外にも、戦闘に関するいろんなスキルを学ぶレッスンがあった。
その特別の授業を、生徒達は「選択授業」と呼んでいた。
普段、二つの学科の生徒は一緒に同じ授業を受けるが、選択授業の時間になると、生徒はそれぞれグラウンドと教室で別々の授業を受ける。
戦闘科の授業は成績も出る、それをひとつの学科の成績として多くの大学と会社に承認されている。
それを狙って入学希望する学生もかなり居るので、桜見学園のひとつの特徴と言えるかも知れない。
代わりに、戦闘科が戦闘授業を受けているときに、一般科は基本より詳細で、やや難しい内容を習うことになる。
勉強が良くないが体には自信がある! の生徒が戦闘科で、頭がいい生徒が一般科といった感じだろうか。
外見から判別すると、白い制服を着るのが一般科で、黒い方が戦闘科。
選択授業のとき、クラスの人は半分くらい減るので、基本は他のクラスと一緒に授業をする、これは一般科でも戦闘科でも同じ。
また、このシステムは二年生以上向けだから、生徒達に色々説明するため、今から彼らは初めての選択授業を受ける。
が、選択授業は二年生からとは言え、実は体育の授業に混ぜて、一年生でも戦闘科の基礎のレッスンを受けたことがあった。
先生が生徒たちを解散させた後、人群れは二つに分かれて、教室に残るかグラウンドへ向かう。
火焔と同じクラスにいた天音と希も戦闘科の一員としてグラウンドへと向かった。
が、火焔は黒い服を着ているが、戦闘科にも一般科にも入っていない。
生徒たちが授業を受けるために移動している間、火焔は屋上に来た。
動きやすい体操服に着替えた生徒達に知らせるべき事を伝えたあと、彼らに体力をつけさせるためか、戦闘科の先生は彼らにグラウンドを走らせた。
屋上でその光景を見ながら火焔は独り言を言う。
「つまんねぇな……」
戦闘科の生徒が授業を受けてる姿を見て、春風を感じながら、いつの間にか下校の時間になった。
そろそろ帰ろうと、一日サボった火焔は振り向いて、屋上の扉へ向った。
すると、まるで打合せしたかのように、下校のベルと共に、屋上の扉がバーン! と誰かに開けられた。
続いたのは、ちょっと低めなとある女性の声。
「無所属になったのは、サボるためか? 『異類』」
喋ったのは、学校の理事長である七瀬美月という女性。
推算してみれば少なくとも三十代後半のはずなのに、彼女は何故か中学生くらいの顔と体型を持っている。
彼女が言う「異類」とは他の誰でもない、火焔のこと。
イヤミを言われたように、不満してそうな火焔はそして言い返した。
「これはいきなりだな、『魔女』」
「異類」と「魔女」、これらは二人に与えられた「異類名」という称号みたいなもの、これについてはまた今後説明する機会があるだろう。
「魔女」という呼び方に、美月は反応した。
「何度も言ったはずだ、その名で呼ぶな!」
「先に『異類』って呼んだのはそっちだろ?」
美月の話を聞いて火焔はイヤミを言い返した。
「ちっ……」
理事長である美月に対して、学生としての火焔の態度は当然いけないのだが、自分が始めたことで、彼女は何も言い返せない。
「大体俺を無所属にしてくれたのもお前だろう?」
「……」
さっきから二人が言い続けた「無所属」とは、一般科も戦闘科も所属してない火焔の学科の分類のこと。
戦闘科も一般科も生徒が授業を受けているときに、一人屋上にきた理由はそれだった。
サボっているとイヤミを言われたが、実はその件について、火焔はちゃんと申請ををして、美月もそれを承認していた。
だからこそ美月何も言い返せないままでいた。
「…………」
「…………」
そして、短時間な沈黙の後、美月は諦めて用事を言った。
「まあいい、お前に頼みたいことがある」
「俺に?」
「明日からお前のクラスに転校生が入る、そいつの世話をしてくれ」
「なぜ俺が……」
「あいつは私たちと同じなんだよ」
「……『ユーザー』かつ『異類』か」
美月の話を聞いて、火焔は謎の名詞で彼女に質問を返した。
美月は頷いて、彼の考えを確かめた。
「だから?」
「これはお前でしかできないことだ」
「またいつもの仲間紹介ってやつか? 断る」
「わたしは、お前を救いたいだけだ!」
「そんな簡単に人が変われるなら、俺はこんな苦労しなくていいんだ」
「……」
また、言い返す言葉がなき、美月は何も言えなかった。
「……頼む、私からのお願いだ」
すると、さっきとうってかわって、美月が突然挑発的な口を抑え、改めてちゃんと火焔に頼み直した。
だけどそんな美月に返事をする前に、グラウンドでの出来事が火焔の注意を奪った。、
二人の戦闘科生徒が武器を持って、近くの一般科の男の子を攻撃していた。
それに気を取られ、彼は美月に返事していなかった。
「んじゃ、頼んだわよ。だが、用件は一つ増えたみたいだ」
美月もグラウンドで起きたことに気付いたようだ。
「あいつらのことも頼む」
「ああ」
言って、火焔は普通の人では考えられない行動を取った。
彼は屋上からグラウンドへ――跳び下りた。
火焔が地面に着いたと同時に、結界のような何かが美月を中心にして広まった。
そしていつの間に、銀色の剣が火焔の手の中に現れた。
着地の声が聞こえて、二人は気になって火焔のところへ視線を向けた。
二人にいじめられていた男の子はこの隙に逃げた。
「いじめっていうのは良くないな、俺に見られてお前らは不幸だ」
二人に挑発の言葉をかけた。
もちろんのように、二人組はそれにイラっとした。
「なんなんだ? 貴様!」
「戦いしに来ただけだ」
二人の質問に対し、火焔は更なる挑発をした。。
「俺たちに挑んでいい度胸だな、てめぇ!」
その二人は共に三年生で、体型が他の人より大きくて強そうなイメージがあり、それでよく他の生徒をいじめているという噂があって、結構悪い奴らだった。
二人の中体型がよりマッチョな方が火焔に挑発されて、彼を攻撃しようと駆け出した。
相手が思い通りに挑発に乗ってくれて、火焔はニヤッと笑った。
「それじゃ、すべてを終わらせよう」
決めセリフみたいなことを言って、火焔も構えて、マッチョが来るまで待った。
マッチョが火焔の前に着いたらすぐ、手に持ったハンマーを振り下ろした、見た目に合う直接的でパワフルな一撃だった。
火焔は一周回転しながらマッチョ君の右に回った、これで攻撃を避けたのはもちろんだが、火焔の狙いは攻撃を避けることだけではなかった、回転の慣性を使って、彼はマッチョの足を斬った。
相手の攻撃を躱すのと反撃を一つの動きに収める、それが火焔の狙いだったのだ。
斬撃によって片足を失ったマッチョは平衡を取れなくて倒れ、強烈な痛みで彼は武器も落とした、もはやどうしようもなくなった。
「甘いな」
そう呟いたら、火焔は剣でマッチョの胸元を刺して、彼の命を奪った。
「次はお前だな」
残ったもう一人を剣で指しながら、火焔はもう一回挑発した。
仲間が殺されたとこ目撃して、残された彼はついに焦り始めた、そしてその焦りを怒りに変えて、彼は手に握っていた流星鎚で火焔を攻撃した。
振り下ろした鉄球を、火焔は簡単に避けた。
だがその一撃によって、地面が砕かれたように亀裂が入った。
その破壊力はただものじゃない、それを見て火焔は一瞬動きが止まった。
この隙を見て、流星鎚使いは一回鉄球を回収して、再び攻撃を仕掛けた。
今度も簡単に攻撃を避けた、しかし攻撃を避けたあとの火焔は今回は立ち止まることなく、流星鎚使いへ駆け出した。
火焔が何を企んでいるのがわからず焦った流星鎚使いは、戻る鉄球で火焔を襲うつもりで流星鎚の鎖を引っ張った、だが火焔は鉄球より早く彼の前にたどり着いた。
急な痛みで流星鎚使いの瞳が拡大した。
「なぁ、知ってるか? こういう武器は攻撃の隙が長すぎて――」
言うながら、火焔は左に転がって、後ろに確認もせずに戻ってきた鉄球を避けた。
自分の鉄球に当たって、後ろに倒れた流星鎚使いの体には火焔がさっきまで持っていた剣が刺されている。
「――早さで決める刀使いの俺とは相性が最悪だ、覚えてろ」
そして、火焔は彼の体から剣を抜いた。、
戦いが終わり、火焔は屋上の方を見た、すると結界が美月のところに集まるように解かれた。
火焔の剣と彼に倒された二人の傷は結界と共に消えてなくなった。
破壊されたはずのグラウンドも回復した。
これは美月が展開した結界の特性のようで、結界が消えるときその中の実体はすべて、結界が展開される前の状態に戻った。
火焔に倒された二人は本当に一回死んだ、ただ結界の特性で彼らは命を取り戻した。
命は戻るけど、痛みは消えない、彼らは死ぬほどの痛みを感じたのも事実であった。
この気絶状態から覚めるには時間がかかるかも知れない。
そんな二人を片付けた後、火焔は再び美月の頼みを思い出した。
(さっきのあの態度……)
火焔が知ってる美月なら、絶対にそんな腰が低く頼んでくるはずがない。
彼女の言葉と態度を考えながら、火焔は学校から離れて、夕食の食材を買いに行った。
しかし、何かを忘れたような気がして、気づいたときにはもう遅かった。
「お兄ちゃん?」
晩ご飯の時間、机の上の料理を見て、桜は火焔に聞いた。
「ハンバーグはどこに行ったの?」
「買うの忘れたかも」
そう、火焔は今朝、妹である桜と夕食でハンバーグを作ると約束をしたのだ。
なのに、それを忘れたのだ。
「お・に・い・ちゃ・ん?」
怒った。
お兄ちゃんが約束を忘れたことにも、ハンバーグが食べられないことにも、桜が激怒した。
「悪い、また明日でやろう」
怒った桜に謝った火焔に、美空が心配して声を掛けた。
「どうしたの? あんたらしくないよ?」
「大丈夫だ空姉、心配すんな」
そう言って、火焔は誤魔化した。
無事に一日が終わって、再び朝が来た。
心臓が急に何者かの手に握られたような強烈な痛みで、火焔は起きた。
今日は痛みのせいで普段より早めに起きたから、美空はまだ部屋に侵入していない模様。
まだ時間は早いんだが、火焔は制服に着替えて、「銀白色の都市」――桜見島へと向かった――痛みを消すために。
カラフルだった町並みはこの時、銀白色一色に染まった。
島で有名な桜も、ピンクじゃなくなった。
そんなおかしな景色となった桜見島で、火焔はとある街に止まった。
彼の前には、十数人の体が倒れていた。
その一人を近づいて見てみた。
其の体は数多くの羽のようなものに刺されて、血が流れ出していた。
これは間違いなく死んでいる。
他に倒れた人達も彼のように、命を失った。
「EMの仕業か……」
EM、それはまた謎に包まれた新たな名詞。
「キャー」と、この時遠くから悲鳴が伝わってきた。
声の主を尋ねて駆けつけたら、火焔はとある広場まで来た。
そしてそこにいたのは、一体の人型の怪物だった。
よく見ると、怪物の胸に大きな鳥類の顔がついて、身に羽を纏っていた、まるで鳥の怪人だと強調しているようだ。
これがさっき火焔に「EM」と呼ばれた生物、彼の言葉によると先ほどの人達はこのEMが殺したのだろう。
火焔が鳥のEMを見つけたように、EMも火焔の存在を気付いた。
すると、威嚇するようにEMは大声で啼いた。
次の瞬間、実体を持った黒い人影らしきものが無から生まれた、「初型」と呼ばれる怪物の群れとなった。
鳥怪人の命令で、「初型」たちは火焔に攻撃を始めた。
同じ怪物でも上下関係があるらしく、「初型」を兵士と例えるなら、EMは兵士達を率いる隊長か指揮官みたいな立ち位置であろう。
「相変わらず朝から面倒だなお前ら」
それに対して、火焔は全く焦らなく、迫ってきてる「初型」たちを淡々と見て、火焔は呟いた。
「来い、「紅蓮」」
彼の言葉に応えるように、炎が彼の掌から現れ、剣の形になった。
その炎の剣を火焔がしっかりと握った後、炎が消え「紅蓮」という剣は火焔の手に現れた。
「紅蓮」は独特な造形を持って、剣身は前後二つに分かれて、前のものを切る刃の部分は赤で、後ろの銀色部分は刃ではなく鈍器になっていて、その上に文字みたいな柄が刻まれている。
「〈一刀流・焔刃〉」
火焔の言葉に応えて、炎がまた現れた、そして今度は、「紅蓮」を纏って、それを元の倍大きい炎の剣にさせた。
それを持って前を斬った、そうしただけで攻めてきた一部の「初型」を消した。
〈焔刄〉の炎はその一撃の後消えてなくなった。
鳥のEMは「初型」群れの後ろに指揮を取るだけで、自ら戦う気がなさそうだ。
だが「初型」は所詮雑魚にすぎない、EMがいる限りいくらでも召喚できる、EMを直接に狙うほうが得。
その故、火焔は「初型」達を斬って群れを突破し、EMに斬りかけた。
突然、背中から翼を生やせ、EMは空へ飛んで攻撃を避けた。
「随分と面倒な力だな!」
試しに、火焔はEMに話しかけたが、返事がなかった。
後ろに残された「初型」はこの隙に一気に襲ってきた。
一体の「初型」が火焔に接近して手で攻撃しようとした、それを気づいた火焔は「初型」群れの上空へ跳んで攻撃を避けた。
「さあ、すべてを終わらせよう」
またも決めセリフっぽい言葉を発したあと、火焔は左手で大きな火球を形成した。
その火球を「初型」の群れへ投げたら、爆発が起こした。
その威力で、数十体がいたはずの「初型」を全部消えてなくなった。
そしてその爆発の衝撃によって、EMは地に落とされた。
EMがもう一度空に飛ぶ前に、火焔はもう一個小型の火球を打ち込んで、EMの翼を燃した。
これで、飛行能力を奪った。
羽を失った苦しみにより、EMは口から悲鳴を出した、そしてその苦しさを怒りに変え、胸についてる鳥頭の口から光線を放った。
それに対して、火焔は左手を前に伸ばし、炎を操って自分の前に炎の壁を作った。
EMの光線は炎の壁にぶつかって防がれた。
すると火焔は左手の掌を拳にした、その僅かな動きで、壁は姿を変え、炎の龍になり、EMの光線を呑み込みずつ、まっすぐに飛んだ。
何が起こるか知らないまま、EMは自分の光線と共にその炎の龍に食われ、消えていなくなった。
怪物を食べた直後、炎の龍は吹き消されたように消えた。
「はぁ、つまんねぇな……」
戦いの感想は、ただつまらないだけだった。
但し、それもしょうがないであろう、今の戦いに感動もなにもなかった。
なにより、戦いと比べてこの広場まで来た方が時間がかかった。
「足りない、もっと……」
何分か経つと、町は結界が解けたように銀白色からいつもの光景に戻った、だが死体はそれによって消えても、生き返ってもなかった。
それを無視して、火焔は携帯を取り出して、時間を確認した。
「そろそろ遅刻か……」
ここから学校は遠く、このままだと学校に遅れる、よって彼は走り始めた。
* * *
ベルが鳴って、二年Aクラスの生徒たちはみんな自分の席についた。
「はーい、今日はわたし達のクラスに転校生が入ります~」
朝から先生のテンションが驚くほど高い。
そして、転校生が来ると聞いて、クラスの雰囲気が一気に盛り上がった。
「男? 女?」と、「どこから?」と、転校生に対し生徒たちはワクワクで色んな予測をした。
「入っていいよ~」
「わかりました、失礼します」
それはまるで天使のように美しい声だった、先生に返事をしてから教室に入ったのは一人の少女。
教室のドアを閉じて、彼女は徐々に教壇の中心まで歩いた、教室中に響いた、髪飾りとして付けた鈴の音と共に。
宝石のように輝く碧色の目、ちょうどいい高さの鼻、小さな口に柔らかそうな唇、すべては彼女の顔に絵が描かれたように美しい。
ぷにぷにな白い肌に銀髪、彼女を一言で言うと白、しかし黒のニーハイソックスと髪飾りのおかげで色のバランスが整っていた。
そして、最も特徴的なのは踝まで長かったポニーテール。
彼女は自分の名前を黒板に書いて、自己紹介をした。
「飛鳥姫 愛と申します、皆さま、これからはどうぞよろしくお願いします!」
彼女の美しさにクラスの生徒達はあまりにも驚いて、男子たちは一気に「うおおおおおおおお」と興奮して、様々な褒め言葉が出て、教室が一気にうるさくなった。
男の子だけではなく、彼女に惚れた女の子もいたという。
「それじゃ、飛鳥さんの席は……あそこにしよう~」
先生は教室でただ一つの空いた席を指した。
と、ここで、彼女は先生の間違いを指摘した。
「あ、あのう、先生、私の苗字は飛鳥ではなく、飛鳥姫です」
「え、あっそっかそっか? ごめんね~」
「いいえ、そもそも変わった苗字ですから」
そして、彼女は与えられた席に移動した。
単純に歩いているだけなのに、なんだかお嬢様の雰囲気が感じられたような気がした。
お姫様というのは、きっとこんな風なんだろうなと誰でも納得するはず。
自分の席に着いて、座ろうとした彼女は窓で起きたことにびっくりした。
何故なら、火焔は扉ではなくその窓の外から教室に入っているからだ、この三階にあった二年Aクラスの教室に。
クラスに知らない顔がいて、火焔も一瞬驚いた、彼は教室に入る姿勢のままで黒板に書かれた名前を見て、今の状況を把握した。
二人はお互いを見つめ合っていた、そして、彼女は微笑んで目の前の男子に挨拶をした。
「初めまして、野上くん!」
この時の二人はまだ知らなかった、二人の運命はここから変わり始めたということを……
あとがきになんで書くべきかわからないので、次回予告とたまたま雑談書こうかなあ――
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「まだあのことを乗り越えれないの?」
「出来るもんならとっくにやってた」
EMという謎の怪物と戦う、謎の力を秘めた少年、野上火焔。
「四年前のあの時から俺はもう、元には戻れないんだ」
そして、初対面なのに何故か彼のことを前から知っているような少女。
「ずーーっと前から野上くんのことを知ってましたよ!」
そんな二人の前に現れるの火焔と因縁があったEM。
「『悪魔』!」 「会いたかったぜ、この十年間ずっと」
二人の物語は告白から始まる。
――野上くんのことが……好きです! 付き合ってください!
次回、第二話、「告白」