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BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました(連載版)  作者: 花果 唯
IF ありえた未来2

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四月一日

夏緋ルート後のSSです!


本日、コミカライズ4巻が発売となりました!

そして、発売&攻略キャラルート突入記念のPVを作って頂きました!

天地央 ( CV: 佐藤元 様 ) 青桐夏緋 ( CV: 大塚剛央 様 )という豪華キャストです!

ビーズログコミックス様のXにて詳細が載っております。

YouTubeで「BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました」と検索して頂いても出ますので、ぜひチェックしてみてください!

 新年度の四月になり、僕は二年生になる。

 夏緋先輩は三年で、無事受験に合格した深雪君は新入生だ。

 新しい季節になってわくわくするが……。


「夏緋先輩、会長がいなくて寂しいですね」

「ここで毎日見る」


 ここ、というのは青桐家だ。

 春休み期間で暇だから、今日は遊びに来ているのだ。

 ちなみに会長は大学の入学式でいない。

 夏緋先輩と二人きりだ。


 僕は広いリビングの立派なソファーでくつろがせて貰っている。

 夏緋先輩に「自分の家か」と呆れられたから、長い足を枕にしてやるか。

 柔らかくない太ももは寝心地が悪いけど。


「僕だって兄ちゃんは家にいるけど、同じ学校じゃないんだと思うと寂しくって」

「振り回されなくて済むだろ。お前は兄貴の話をしにきたのか?」


 真上にある顔が不機嫌そうに僕を見下ろしている。

 この角度から見てもイケメンなのはすごいな……なんて思いつつ、不機嫌なのは妬いているのかな、とちょっとニヤける。

 まあ、僕も夏緋先輩が兄の話ばかりしていたらムッとするもんな。

 会長の話はもういいか。


 今日は四月一日。エイプリルフールだから、いっちょ嘘でもついてみるか。

 何にしようかな。軽いものから始めるか。


「夏緋先輩、明日大雨らしいですよ」

「晴れだと書いてあるぞ」


 少し操作して見せてきたスマホの画面には、この地域の天気予報が表示されていて、明日の日付には晴れマークがついてる。

 どうしてそんなに素早く天気を確認できるんだ。

 普段から雨で靴が汚れるのが嫌だからチェックしているのだろうか。


 すぐに噓がバレてしまったので次を考えよう。

 バレそうにないもの……。


「学校の近くの公園、桜が咲いてましたよ」

「クラスの連中からは、あそこはまだ咲いていないと聞いたが?」

「クラスメイトと僕、どっちを信じるのっ!」


 私と仕事、どっちを取るの! のノリで聞いてみたら、まだ咲いていない桜の写真をスッと見せられた。

 日付を見ると朝に撮った写真のようだ。

 くっ、ちょうどそんなやり取りをしているなんて……!

 相手は誰よッ! と見てみたら、割と見かける親近感が湧くモブ顔の人だった。

 あの人ならいい。

 でも、「このまま桜でも見に行くか」と外出するのもありだと思ったのに、余計なことを……!

 仕方ない、次の嘘だ。


「実は僕、明日誕生日なんですよ」

「…………。エイプリルフールだからといって、適当なことを言うな」


 視線をスマホからチラリとこちらに向けたが、軽く呆れた後にすぐに戻してしまった。

 くそ、エイプリルフールだと気づいていたか。


 ……明日、四月二日が僕の誕生日なのは本当なんだけどなあ。

 知らないのか。ちょっと悲しい。

 いや、結構悲しいから、会長の話題を解禁してやる。


「会長はジャングルに帰ったので、ここには帰って来ませんよ」


 ゴリラネタが夏緋先輩にウケることを僕は知っているぞ。


「ふ……」


 一応流そうとしているようだが少し笑っている夏緋先輩を見ていると、ソファー越しにぬっと影が現れた。


「誰がジャングルに帰ったって?」

「ぎゃー!」


 入学式でいないはずの会長が現れて、僕はソファーから落ちてしまった。

 急に現れないでよ!


「兄貴、もう終わったのか? 母さんは?」

「式が終わってすぐに会社に戻った」


 青桐家の母! お会いしてみたいけれど、こうして間接的に話を聞くだけで緊張するな……。

 そんなことを考えながら床に正座していると、会長がドサッとソファーに座った。


「俺の家はジャングルなのか? だったら今からお前を招待してやろう。そのままお前たちが二人で住んでもいいぞ」

「オレはいい」

「僕の分も断ってよ!」


 自分は関係ありません、って顔してないで助けて!

 僕がジャングルに行くなら道連れだからな!

 虫がいっぱいいるだろうけど、助けてやらないから!




 その後、僕はジャングルに連れ去られた……わけではなく、青桐家でお泊りさせて貰った。

 兄に電話で聞いたら、会長がいるならいいと許して貰えた。

 夏緋先輩はその条件にちょっと不服そうにしていたけど、お泊りできるんだからいいじゃん!




「おい」

「…………?」


 ぼんやりしているところにイケボが聞こえて、ゆっくりと瞼を開けた。

 あれ? 僕、いつの間にか寝てた?

 友達と騒いだり夜更かししたりしたことがないというぼっち会長のために、ピザを頼んだりゲームをしたりして過ごしていたら、そのままリビングのソファーで寝てしまっていたようだ。

 もう翌日——四月二日の朝だろう。

 目を開けるとソファーに肘をついて僕を見ている夏緋先輩と目が合った。

 わあ、イケメンだあ。


「おはよう……ございます」


 寝起きすぎてかすれた声でなんとか挨拶をした。


「寝癖ついてるぞ」

「……つけてるんですよ」


 そう返すと、夏緋先輩がふっと笑ったあとに何かを僕の頭の上に置いた。

 ちょっと動くと、目の前に落ちてきたのは……四角い箱。


「何ですか?」

「やるよ」


 黒い箱に青いリボンがついていて高級な感じがする……!


「誕生日プレゼントだったりします?」

「他に考えられるか?」


 普通に「そうだ」と言ってくれたらいいのに……。

 表情は優し気だけど、ちょっと呆れる感じで言うな!


「知ってたなら知ってるって言ってよ」


 スルーされなくて嬉しいけど、文句を言いながらプレゼントを開ける。


「エイプリルフールだっただろ?」


 知らないっていうのが嘘だったってこと?

 態度にはまったく出ていなかったし、気がつくわけないじゃん!


「……ありがとうございます」


 負けた気がするけど嬉しいから、喜びながら拗ねるという器用なことをしながらお礼を言うと、夏緋先輩がふっと笑った。

 何だか掌の上で転がされている感があるんだよなあ。

 心の中でぼやきながら開けた箱の中から出てきたのは時計だった。

 暗い青のベルトで、時計の部分はシルバーだ。

 大人っぽくってかっこいい。


「貸せ」


 夏緋先輩は時計を取ると、僕の手首につけた。


「ずっとつけておけ。これなら学校でつけても大丈夫だろ。お前のまわりは、厄介な奴が多いからな」


 それは……言葉は悪いけど虫よけっていうか……指輪の代わり、みたいな?

 たぶんそうなんだろうなと思うと、一気に照れて顔が熱くなった。


「朝からいちゃつくな」


 そうだ、ここには会長もいたんだった。

 夏緋先輩の顔が一気に険しくなる。


「央、誕生日らしいな。おめでとう!」

「ありがとうございます……」


 嬉しいけれど、威勢が良すぎるおめでとうは寝起きにはちょっとつらいです。


「よし、二人ともでかけるぞ。俺も祝ってやろう」

「勘弁してくれ」

「遠慮します」


会長も時計をプレゼントしてますが、夏緋もそうじゃないかなあと。

央の性格を分かっているので、使いやすいように会長よりも高校生らしい価格のものにしていると思います。

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