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BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました(連載版)  作者: 花果 唯
IF ありえた未来2

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あけましておめでとうございます2024

あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします。

 今日は大晦日だ。

 夕ご飯の時間になり、いよいよ年越しという空気が漂っている。

 僕はどこにもでかけず、兄弟二人で静かにのんびり過ごす……はずだったんだけどなあ。


「真が作ったものは全部俺が食う! さっさと帰れ!」

「お前に指図される覚えはない」


 天地家のキッチンでは今、兄が作った年越しそばについて、会長と春兄が揉めている。

 うるさい……。

 もう作っているんだから、黙って食べてくれ! と思うが、僕は無関係を貫くためにこたつに座っている。


「はあ……テレビの音が聞こえないんだけど……」

「お前のせいだからな」


 ぽつりとつぶやくと、僕と一緒にこたつに入っている夏緋先輩が恨めしそうに言ってきた。


「なんで僕のせいなんですか!」

「お前が電話してきたから、こんなことになったんだろ」

「! そ、それは……」


 昼過ぎまでは僕と兄の二人だけだったのに、どうして春兄と青桐兄弟が集まることになってしまったのか。

 それは、僕が夕方に暇だったから、夏緋先輩に電話をしたことがきっかけだ。


「夏緋先輩、ビデオ通話にしてください」

『……なぜだ?』

「大晦日の挨拶をしようかなと思って。顔見て挨拶した方がいいでしょ?」


 気乗りしない雰囲気がびんびんに伝わってくるが、それでもビデオ通話にしてくれる辺りにアニキみを感じる。

 私服のイケメンが画面に映ったので、画面に向かってぺこりと頭をさげた。


「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

『…………』

「あまりよろしくしたくないなって顔、やめて貰えます?」

『……ふっ』


 鼻で笑うのはやめてください。

 会長に絡まれたら、毎回夏緋先輩寺に駆け込むからな!

 なんて思っていたら、それがフラグになったのか画面に赤がフェードインしてきた。

 なんだろう……この既視感!


『央か! どうした? 何か用か!』


 夏緋先輩からスマホを取り上げたのか、画面には会長しか映っていない……っていうか、近いな!

 会長のドアップ……一応スクショしとこ。


「会長。こんにちは。用っていうか、大晦日のご挨拶的な……?」

『それならば先に俺にかけてくるのが筋じゃないのか』

「そんな筋知りません。また既視感あるなー」


 そんなことを呟いていると、後ろに来た兄が画面にフェードインしてきた。


「夏希、あまり央に無茶を言わないようにね」

『真! 料理中か?』


 ドアップの会長が、エプロン姿の兄に喜んでいる。

 これも一応スクショしておく。


『そういえば、お前達は家に二人だけか?』

「そうだけど……」

『それは物騒だ! 今から俺が行く。待っていろ!』

「えっ!?」


 スマホを夏緋先輩に返したのか、景色が激しく動くと同時に会長の足音が離れて行った。


「ちょっと、夏希! 来ちゃ駄目だからね!? ……って、聞いてないよなあ」


 兄も三年近くの付き合いになるからか、会長が止まらないことを理解しているようで、「これは来るだろうな」と諦めている様子だ。


「夏緋先輩」

『オレには止められないぞ?』


 画面に戻ってきた夏緋先輩が、気まずそうに顔を反らしている。


「分かってます。だから責任取って夏緋先輩も我が家に来てください」

『……は? どうしてオレまで……』

「用事がなければおいでよ」

『!』


 僕の援護射撃として、兄が笑顔で夏緋先輩に話しかけた。

 兄も夏緋先輩がいた方がいいと思ったのだろうか。

 笑顔に少し圧を感じる……。


『……はあ』


 夏緋先輩はため息をつくと、仕方なしに会長のあとを追って我が家に来た――という流れだったのだ。

 そして、兄が一応春兄に会長が来ることを連絡したら、すぐにやって来て……今に至るというわけだ。


 我が家では毎年夕飯に年越しそばを食べるのだが、せっかくだからと兄は全員分作った。

 でも、兄の手料理を食べさせたくない春兄と、食べたい会長の言い争いが続いているのである。


「春樹も夏希も座って! いいから騒がずに食べてくれ。央達はそっちでいいね?」


 キッチンの方は騒がしいので、僕と夏緋先輩はこたつの方で食べるようにと兄が持ってきてくれた。

 そういえば、潔癖なところがある夏緋先輩は兄が作った料理を食べることができるのだろうか。

 ちゃんとしたお店のものじゃないと食べられない人がいると聞いたことはあるが……。

 ちらりと見ると、夏緋先輩は少し戸惑っていた。


「よその家のご飯は嫌ですか?」

「いや、それは大丈夫だが……。こうして、こたつで食べたことがなかったな、と思っていただけだ」

「え!? こたつでごはんを食べたことがないんですか? 一度も!?」

「ああ」

「お菓子とか……みかんとかは?」

「家にこたつがない」

「ええええ!?」


 青桐家ではこたつを置いていないのか!

 床暖房とか空調とか、設備が完璧なんだろうな……。


「じゃあ、今までこたつでダラダラしたことがないんですか?」

「ない」

「それは人生損してますよ! ぜひ、ここでこたつの醍醐味を味わっていってください!」


 僕はこたつが大好きだ。

 ゲームをしながら寝落ちするのが気持ちよくて最高だ。

 この幸せを夏緋先輩にも知って貰わないと!


 そんなことを思っている間にも、兄達は「どこに座るか問題」で揉め始めていた。

 兄と春兄が並んで座ろうとしたが、会長がそれに文句を言っている。

「そばがのびる!」とイライラし始めた兄が、会長と春兄に並ぶように言っているので、その方向で解決しそうだが……。


 僕はそうそう年越しそばを食べ終えて、またのんびりしようかと思っていると、スマホにメッセージが入った。

 送信元は……佐々木さんだ。


『今、天地君に連絡しなきゃって衝動に駆られたの。あなたの近くに、ごちそうがあるんじゃないかしら!?』


 ……腐女子のセンサー、どうなっているんだ?

 確かに今キッチンでは攻めの戦いが起きているわけだが……。

 それを教えると、興奮して家まで押しかけてくるかもしれない。

 既読スルーさせて貰うことにしたのだが……ポンポンポンと次々にメッセージが届く。


『ねえ、早く教えてよ!』

『ひとりで浴びちゃ、独占禁止法で捕まるわよ!?』

『私達仲間じゃない!』


「誰が仲間だ」!

「?」

「あ、なんでもないです……」


 うるさいので、少しだけ返事をすることにした。

 適当に流して落ち着かせるか。


 ――なんもない。夏緋先輩とこたつに入っているだけだよ


 そう一言送った瞬間……。


『こたつ!!!?』

『エッチ!!!!』

『イチャコラしてるのね!!!!』

『いやらしい!!!!』

『後生だから、カメラを起動してこたつの中に入れて!!!!』


 しまった、腐女子にこたつネタがごちそうだった!

 あんなところを触ったり、こんなところを触ったりと、夢いっぱいのネタだった!

 佐々木楓子からの通知が止まらなくなったので、もう僕はスマホの電源を落とした。


「どうした?」

「なんもないです」


 同じように食べ終わってくつろぎ始めた夏緋先輩が怪訝な顔をしているので、スマホはソファーにぽいと投げておいた。


 兄達を見ると、会長と春兄が対面する兄に何か力説している。

 ……受けの攻め面談ですか?

 ちょっと話を聞きたくなってきたが、巻き込まれたくないのでそっとしておこう。


「夏緋先輩、みかん食べます?」


 天地家のこたつの上はいつもみかんかおかしが置かれている。

 今も目の前にあったので、思わず手に取ってしまった。


「……今食べ終わったばかりじゃないか。太るぞ」

「みかんくらい、食べても食べなくても変わりませんよ」


 ……なんて返事をしたが、少し気になったのでみかんはひとつだけにしておいた。


 それからごろごろしながらテレビを見ていたのだが、ちょっと暇になってきた。

 何かしようかな。


「夏緋先輩、お絵かきでもしますか」

「……ここは幼稚園か?」

「じゃあ、ゲームしましょう」

「そんなに変わらない気がするな」


 夏緋先輩に呆れられてしまったが、こたつゴロゴロを満喫して貰わなければいけない。

 僕はゲーム機をテレビにつなぐと、コントローラーの一つを夏緋先輩に渡した。

 カーレースのゲームで対戦ものだ。


「夏緋先輩、やったことあります?」

「ない」


 初心者なら僕が圧勝するはず……と思ったのだが、数回したらほぼ実力が追いつかれてしまった。

 そんな感じで、ずっとこたつでゴロゴロしていると、十二時近くになり……だんだんと眠たくなってきた。


「夏緋先輩、長い足が邪魔ですよ……」

「お前がこたつに潜りすぎだろ」

「だって、全力で伸びないと……ふわあ……」

「……あくびするなよ。うつるだろ……」



「央! 年があけたよ! ……って、あれ? 寝ちゃってる」

「夏緋まで寝ているじゃないか」

「おい。お前の弟を央に近づけるなよ」

「静かに! 起こしちゃかわいそうだろ。くっついて寝ちゃって、なんか可愛いね。写真撮っちゃおう」


ボイコミ第5話は1月5日(金)20時~配信予定です!

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― 新着の感想 ―
[一言] 夏緋先輩最高です。あくびがうつるだろって…つまり央は家族みたいなものってことですよね実に素晴らしい腐女子への供給有難う御座います佐々木さんと一緒に歓喜の舞でも踊っておきます
[良い点] お正月に投稿してくれるの神ですか!!? 夏緋先輩と央が1番好きなので2人が寝落ちしゃうの年明け最初の小説で見れて嬉しかったです!!!! [気になる点] こんなに供給があって良いんですか……
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