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BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました(連載版)  作者: 花果 唯
IF ありえた未来2

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小悪魔は休業中?

11/18、ComicWalkerとニコニコ漫画にてコミカライズ七話が更新されました!

楓、柊に続き、新キャラ登場の回でとっても見ごたえがあります!

今回のお知らせSSは、楓ルートアフターで、楓とその新たに登場したキャラの一人が出ます。

彼は小説の書籍ではビジュアルが出なかったのですが、今回出ましたので必見です!

めちゃくちゃ可愛いです!!!!

 学校が終わり、今日はテニス部の練習がないという楓と寄り道をして帰ることにした。

 色々なところに行って遊びたかったが、財布の中が寂しいので、ハンバーガーのファストフード店に行くことになった。


「久しぶりに放課後デートだね!」


 隣を歩く楓はとても嬉しそうだ。

 帰宅部の僕とは違い、楓はちゃんと部活に出ているから、こうしてゆっくり寄り道できる機会はそれほどない。


「放課後デートか。響きがいいな」

「また変なこと言う。一緒にいるのが嬉しいでしょ!」


 そう言って僕の腕に絡みついてくる楓は可愛いが、あまりオープンなのは困る。

 こういうことをしていると、佐々木さんが湧きそうで怖い。


「歩きづらいだろ? ちゃんと一人で歩きなさい」

「ちょっとくらいいいじゃん。手つなぐ方がいい?」

「いや、どっちも……。うん?」


 誰かに呼ばれた気がして足を止めた。


「あきらさーん!」


 今度ははっきりと聞こえて振り返った。この声は……。


「深雪君!」


 儚げ王子が駆けて来る。背景がキラキラと輝いて見える!

 そういえば、ここは深雪君が通う塾の近くだった。

 以前深雪君が同級生達と揉めていたのを発見した辺りだ。


「あきらさんっ、こんにちは!」


 走って来たため、荒くなった呼吸を整えながら挨拶してくれる深雪君が可愛い。

 邪眼を発動させたいが、「してはいけない」と思いとどませる神聖さがある。


「すっごい可愛い子! 中学生? 誰?」


 深雪君の可愛さには、「可愛い」の先輩である楓も驚いている。


「白兎さんの弟君」

「ええええ!?」

「姉をご存知なんですね。えっと、あきらさんのお友達……?」

「白兎さんと僕らはクラスメイトだよ。楓は……」


 正直に「彼氏です」と答えるべきか迷う。

 友達だというのも嫌だしな、と思っていると、楓の方が答えた。


「ボクはアキラの『特別』なお友達です!」

「特別! 親友ですか? そういうの憧れます!」

「親友なんかよりもっと上だよ。上!」

「もっと上!?」

「そう! ボクより上はいないんだから! ……って、アキラは何で離れるの」


 誇らしげに語る楓と、キラキラした目で返事をする深雪君のやり取りが可愛いすぎた。

 思わず全体像が見たくなって、無意識に後退っていた。


「僕の条件反射みたいなもんだ。気にしないでくれ。深雪君は今日も塾?」

「はい! でも、少し時間があるので、ハンバーガーのところに行こうかなと思っていました」

「じゃあ、僕らと目的地が同じじゃん! 一緒に行こうよ。楓、いいよな?」

「ボクはいいけど。君は?」

「えっと、あの……ご一緒したいですっ!」

「かわいっ!!」


 そわそわした様子で返事をくれた深雪君に、楓がまたびっくりしている。

 僕は可愛いにびっくりしてる楓も可愛いと思う。



 ファストフード店に到着した僕らは、それぞれ注文を済ませて四人席のテーブルについた。

 深雪君が僕の隣に、楓が前に座った。

 楓が「アキラの隣が一番気楽でしょ」と深雪君に勧めてこうなった。

 雛には塩対応の楓だが、深雪君には優しい。

 お兄ちゃん感のある楓、いいな……。

 そんな素敵な楓は今、自分が頼んだアイスの写真を撮っている。

 楓が好きそうな、カラフルで可愛いカップアイスだ。


「溶けるぞ」

「そんなにすぐ溶けないよ。これ、今日から始まった新商品なんだよ!」

「ほーん」


 このアイスにあまり興味がない僕は適当に返事したが、深雪君は気になるようだ。


「美味しそうですね。おれ、頼もうかちょっと迷いました!」


 深雪君が買ったのはシェイク。

 アイスも食べたかったけれど、冷たいものばかりになるからやめたのかな?


「ちょっと食べる? スプーン貰ってくるよ」

「え! あの……!」


 深雪君が返事をする前に、楓はスプーンを貰いに行った。

 行動力のある彼氏、イケメンである。


「えっと、一口貰ってもいいんですかね?」

「うん。欲しかったら遠慮せず貰うといいよ」

「はい! あきらさんのお友達、すごく綺麗な人ですね!」


 深雪君がコソコソと話しかけてきてくれた。

 僕は楓を可愛いと思うけれど、深雪君から見たら「綺麗」なのか。

 綺麗なお兄さんの楓、すごくイイ。

 それに僕は彼氏を褒めて貰って嬉しいぞ。


「そうだろ? 綺麗だし可愛いんだよ! たまに厳しいけれど優しいし、料理とかお菓子作りも上手くてさー」

「ふふっ、あきらさんの褒め方、お嫁さんのことを言っているみたいですね!」

「!」


 確かに!

 楓のことは彼氏というより、嫁と言う方がやはりしっくり来る。

 友達から親友になり、その最上位は『嫁』ということか。

 そんなことを考えていると楓が戻って来た。


「お、美人の嫁が帰ってきた」

「は!? 嫁って、なんの話したの!」


 楓がびっくりして一瞬足が止まった。


「何でもないよ。楓が綺麗だなって深雪君が言ってくれていただけ」

「ふうん? はい、どうぞ」

「ありがとうございますっ」


 深雪君がアイスを貰って食べている。

 可愛い二人がアイスを分け合っている姿を見て食べるハンバーガーは美味い!


「……アキラ、食べすぎじゃない?」


 ニコニコしながら食べる僕に、楓が冷たい視線を送って来る。

 僕が頼んだのはハンバーガーにポテトとドリンクがついたセットだ。


「別に普通だろ?」

「夕ご飯食べられなくなって、真先輩に叱られても知らないからね」

「!」


 そうだ、夕ご飯のことを考えていなかった!


「お二人さん、ポテトいりませんか」


 兄の素敵で恐ろしい笑顔が目に浮かんだので、二人に救援を頼んだ。


「じゃ、じゃあ、ちょっとだけ……」

「深雪君! はい、あーん」


 二人に押し付けるわけにはいかないので、本気で食べて貰うつもりはなかったのだが、気をつかった深雪君が名乗り出てくれたので一つ食べて貰うことにした。

 隣に座る深雪君にあーんをしたら、びっくりしたようで固まった。

 狼狽えていたが、口を開けてくれたので食べて貰おうとしたら……身を乗り出してきた楓に奪われて食べられた。


「楓、そんなに腹が減っていたのか……。たんとお食べ……」

「違うから! ボクが深雪君にあーんしてあげるよ。はい!」


 楓はポテトを差し出した僕を無視し、深雪君にあーんをした。

 戸惑っていた深雪君だったが、言われるがままに口をあけて食べた。

 おおぉ……可愛いが可愛いに餌付けしているっ!!


「はい。あとは頼んだ責任でアキラが食べて」

「はい!」


 よいものを見せて貰った僕は元気に返事をした。

 セットで頼んでよかった。

 兄に叱られるくらい安いものだ。

 ……やっぱり怒られたくないから、連絡を入れておこう。


 それから深雪君の友達の話を聞いたり、白兎さんの家でのトレーニングについて聞かせて貰ったりしていると、あっという間に時間が経ってしまった。


「あ。おれ、そろそろ塾に行く時間なので!」

「もうこんな時間か。僕たちも一緒に出るか」

「そうだね」


 食べ終わっていたし、深雪君と一緒に店を出る。

 夕方で暗くなってきていたので、深雪君を塾の近くまで送ることにした。


「今日はありがとうございました! とっても楽しかったです! 華四季園に入ったら、またご一緒させてくださいね、先輩!」

「先輩……」


 深雪君に先輩と言われ、僕と楓は照れた。

 こんな可愛い子に先輩と言われたら萌える。


「じゃあね!」


 僕らが手を振ると、深雪君は塾の方へと歩いていった。

 放課後デートではなくなってしまったが、幸せな時間になった。


「……アキラ」

「うん?」


 楓にグイッと腕を引かれ、横に傾いた瞬間、頬に何かの感触が当たった。

 すぐに何をされたか分かった。

 こいつ、ほっぺにチューしやがった!

 顔がすぐ間近にある楓に向かって抗議する。


「なんだよ急に! 外だぞ! …………あっ」


 誰かに見られているかも! と思って周囲を見回したら、深雪君がびっくりした顔でこちらを見ていた。

 見てた!?


「!」


 深雪君と目が合ったが、何も言わず塾の方へ走って行ってしまった。

 あの反応は、絶対見ていたじゃないか!


「ふふっ! 一応けん制しとかないとね!」

「お前な……」


 深雪君に対してはずっといいお兄ちゃんでいたから油断した。

 最後に小悪魔を出してくるとは……。


「可愛い子だったね!」


 スキップしそうなくらい機嫌よく歩き始めた楓に着いて行く。

 お前が一番可愛いけどな!


 深雪君が白兎さんに報告しないことを願うばかりだ。


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