原点 (+お知らせ)
★お知らせ★
『BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました』のコミカライズ連載が始まりました。
まずはComicWalkerとニコニコ漫画で配信されます。
GWのお供に、是非にご覧になってくださいませ!
加奈先生がとっても素敵に描いてくださっています!みんなかっこいい!
今日はふと持った。
「BLゲームの世界に転生できたおかげで、僕はとてもBL充できている!」
小悪魔受け天使楓、解き放たれてからは息をしているだけでエロく見えてくる色気の怪物柊、性格はアレだけれど何をやっても完璧でかっこいい絶対的攻め俺様会長。
そしてそんな会長と同じ遺伝子を持ち、取っつきにくいけれど懐の中に入れた奴に対してはスパダリな夏緋先輩――。
そんな人達と接することができて幸せだ。
神よ、転生させてくれてありがとう!
彼らが動いているのを見ているだけで大いに潤う。
妄想も捗って仕方がない!
僕は本当にBLに恵まれている……僕は世界一の果報者だー!
だこらこそ! だからこそ今僕は原点に帰ろうと思う。
「兄カップルは素晴らしい!」
色んなBLに目移りしてしまっていたが、兄カップルの尊さを改めて、味がしなくなるまで噛んで噛んで噛みつくしたい!
まず、兄カップルの素晴らしい点は『幼馴染みカップル』であるということ。
変化する気持ち、関係……好き。もうシンプルに好き!
あいつとは子供の頃から一緒にいるのに……今までこんなことはなかったのに……どうしてこんなにドキドキす――好きっ!
おおっと、好きという感情が溢れて思考が完結しなかった。
改めてくっつく過程を見られなかったことが悔やまれる。
時を戻してくれ……僕は時をかける腐女子になりたい! って、もう女子じゃなかったや。
とにかく、血の涙を流すくらい悔しいが、時をかけることができないから今を生きる!
……ということで、現在の兄カップルを堪能したい。
今日も二人は仲良く兄達の部屋でお籠もりをしている。
僕は「これは兄の素晴らしいお声を聞くチャンスか!」とわくわくしながら、いつも通り自分の部屋で気配を消している。
今の僕は壁――呼吸をする壁だ……と無我の境地に立っていたわけだが、今日は何かが違った。
普段は耳をすませば兄の天使の産声が聞こえるはずの隣の部屋から、どったんばったんと騒いでいる音が聞こえてきたのだ。
え……今日はどんな激しいプレイが!?
兄の必死な声が聞こえて来て……。
「いつからこんな馬鹿力になったんだ! 中学までは腕相撲でもオレが勝っていたのに!」
うん? 腕相撲?
「何言ってんだ、真。俺がお前に負けていたのは小学校までだぞ?」
「そんなことはない。中学でもオレが勝った記憶がある」
「そうだったか?」
「そうだ!」
ええ~腕相撲の勝敗とかどうでもいい〜!
そんなことより裸のお付き合いは!? と思いつつ……。
どうでもいいからこそ、こんなことで言い合っている二人が可愛い!
あの兄がこんな子供っぽいを言っているなんて、やっぱり春兄の前では違うんですなあ。
「……タイムアップ」
こういうのもアリだな、とほのぼのしながら聞いていたら、急に春兄の声のトーンが変わった。
「おい……!」
「時間内に俺を押さえられなかったから、いつも通りな」
「待てって……春っ」
ま、まさか…………リ、リ、リリリバ案件!?
下剋上していたのか!?
きゃっきゃっしていたのは、兄が春兄を襲っていたってこと!?
そしてタイムアップからの通常運転……ふお……おう……もう一回「タイムアップ」再生して……ああああっ!!!!
どうしてそんな流れになったんだ!?
そこを知りたい!
全部知りたい!
「俺に抱かれるのは嫌なのか?」
「……嫌だったら蹴り飛ばしているし、何度も受け入れたりしない」
「真……」
ぐっ〜~~〜!!!!
今叫んでは駄目だ!
歯茎から血が出そうなほど噛み締めて耐える。
BL保護法では有罪……いや、今邪魔してしまったら自ら処刑台に駆け上る!
いつも通りに存在を消し、壁と一体化し、謹んで拝聴させて頂きます!!
「いつもに増して素晴らしかった……」
どうやら下剋上はならなかったようだ。
邪なる弟がしっかりと声で確認させて頂きました。
ありがとうございます。
兄よ、あなたはそれでいいのだ……ずっと春兄に抱かれていてくれ……。
でも襲い受けはアリなので、是非とも頑張って欲しい。
結論、兄カップルの良さは、味がしなくなることなんてない!!!!
永遠にはむはむ噛んでいられる。美味い!!!!




