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BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました(連載版)  作者: 花果 唯
IF ありえた未来2

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ハロウィン①②

※楓ルート後※




 金曜日の放課後、部活がないという楓が僕の家に遊びに来た。

 ブレザーは脱いだが、制服のままリビングで話をしていると、最近よく目に入ったり耳にするイベントの話題が楓の口から出てきた。


「テニス部でハロウィンパーティ? 明日の練習試合の後で?」

「うん。昨日の練習の後、ハロウィンが近いし『皆が集まっているついでにやろう』って三年の先輩達が言い出して急遽決まった」

「へー。テニス部って仲が良いよなあ」

「真先輩がいるからね」


 兄の癒やし効果なのか、テニス部にはいつも爽やか空気が流れている。

 上下関係も良好で後輩は先輩を慕っているし、先輩も後輩を可愛がっている。


「パーティって部室でするのか?」

「ううん。テニス部近くの講堂で。部室は狭いよ」

「講堂?」


 華四季園には大きな体育館と小さな講堂がある。

 集会など生徒が集まるのは体育館で、体育館の四分の一程度の広さしか無い講堂は学園関係者の集まりの際に使われる程度であまり使われていない。

 演劇部が稀に練習で使ったりするらしいが……ハロウィンパーティなんかに使ってもいいのか?

 お菓子やジュースを持ち寄る上、仮装もするらしい。


「許可は取ったのか?」

「もちろん!」

「よく許して貰えたな」

「真先輩から生徒会長に相談してもらったんだ。どこか使えるところはないかなって。まさか講堂を使わせてもらえるなんて思わなかったって真先輩も吃驚していたけど」

「ああ、なるほど」


 兄に相談されて会長が張り切ったんだな。

 納得。

 

「会長も来るらしいよ」

「許可を出すのは俺が参加するのが条件だ、とか言ってそう」

「よく分かったね?」


 会長が兄のコスプレを見逃すはずがない。

 もしかすると兄に着て欲しい衣装を持ってくるかも。


 会長、兄が「何でも着る」と言ったら何にするだろう。

 会長の性癖が垣間見えそうなチョイスは何なのか興味が沸く。

 あとで会長に、僕も兄が着るように後押しするから好きなものを持ってこいと進言しよう。


 ……なんてことを企んでいると、楓が不機嫌そうに頬を膨らませていた。


「どうした?」


 ソファに足を上げて膝を抱える楓の横に移動して、膨れている頬を人差し指で突く。

 なんだこの全身で拗ねている可愛い生き物は。


「……アキラが会長のこと理解しているのがなんかムカつく」

「……」


 口から出てきた言葉まで可愛いんですけど。

 不機嫌な天使様を恨みがましく見ていると、ジッーっと潤んだ瞳まで向けてくる始末。

 あざとさを感じるのに可愛いとか狡い。


「お前、そういうのわざとやっているだろ」

「バレた?」


 「こういうぶりっ子したらアキラは甘やかせてくれるんだもん」なんて言いながら両手を広げられたら「ソウデスネ」と降伏しながら、僕よりも一回り小さな身体を抱きかかえにいくしかないわけで。


 近づいた僕の首に手を回した楓の膝裏に腕を入れ、横抱きにしてからソファに座り直す。

 僕の膝の上に横向きに座ることになった楓が満足そうに笑った。

 ゴロゴロと猫のように僕の肩に頬をすり寄せてくる。


 目の前で揺れる柔らかい金色の髪に顔を寄せると、それ以上のことがしたくなったけどここはリビングだということを思い出した。

 いつ兄が帰ってくるか分からないので落ち着かない。

 自分の部屋で話せば良かったなと後悔した。


「……で、お前はどんな格好するんだ?」


 膝に乗せるだけで何もする様子のない僕に不満げな楓に話を振った。


「んーまだ考え中。でももう明日のことだから、大したことは出来ないと思うけど」

「トイレットペーパーぐるぐる撒いてミイラ男でいいんじゃねえ?」

「絶対嫌! 可愛くないじゃん!!」

「可愛くなくていいんだよ」

「何でだよ」

「僕のいないところそれ以上可愛くなられたら困る。襲われたらどうするんだ」

「……っ」


 兄はいるようだから大丈夫だと思うが、ずっと楓を見ていて貰えるわけではない。

 心配だ、すごーく心配だ。


「……アキラも来ればいいじゃん」


 襲われないようなコスプレはないか考えていると、僕の首に回っていた楓の腕に力が篭もった。

 横向きで座ったままだが、上半身をより捻ってピタッと僕に抱きついてきた。

 首筋に顔を埋められてしまったから表情は分からないが、耳や白くて美味しそうな首筋が赤くなっているのは見えた。

 照れていたらしい。


「ん~……明日なあ。忙しいんだよなあ。ゲームのイベント始まるしさあ。出遅れたくないしなあ」

「アキラ!」


 顔が見たくてわざと怒らせたら、計画通りになった。

 真っ赤な顔がこちらに向けられている。

 上手くいったとニヤリと笑うと、僕の意のままに動いてしまったことが分かったのか、楓は「しまった」という表情を見せ……また顔を隠された。

 振り回されることが多いので、上手を取れたことが嬉しい。


「ははっ」


 思わず声を出して笑ってしまっていたのだが……。


「痛ッ!?」


 楓が引っ付いている肩に痛みが走った。

 吃驚して楓を見たらプイッと顔を背けられたのだが、今も痛む箇所をシャツの隙間から覗いたら歯形っぽいものがついていた。


「お前……噛んだな!?」

「アキラが悪いんだよ」

「はあ!?」


 普段は僕の方がお前に振り回されているんだからな!?

 今のなんてどうってことないだろう!


 いや、待てよ……これはいいな。

 良いことを思いついた。

 それをすぐに実行しようと、楓を抱きかかえたまま立ち上がった。

 さっきも思ったけど、軽いな-。


「え? 何?」


 急に動いた僕に驚いたようで、楓がきょとんとしている。

 どうしたの? とこちらを伺ってくる楓と目が合ったのでニヤリと笑った。

 それを見た楓の肩がビクッと震えた。


「……ボク、知っているよ。そういう顔する時のアキラって……っ!」


 逃げ出しそうな気配を感じたので、思いついたことを実行しやすいように楓をソファの上に落とした。

 仰向けに転がった楓の腕に覆い被さり、動けないように両腕は捕まえた。


「僕だけ痛い思いをするなんて不公平じゃない?」


 宝石の様な瞳を覗き込むと、悪い笑顔を見せている僕が映っていた。

 どうしよう、物凄く楽しい。


「こういう顔の時の僕がなんだって?」

「……絶対思い通りになるまで逃がしてくれないよね」

「さすが楓、分かっているね」


 顔を背けて溜息をつく楓は呆れたような表情をしているけど……僕は知っているんだぞ?


「……でも、こういう時の僕が好きなんだろ?」

「!」


 乙女な楓は少し強引なのかトキメクらしい。

 普段よりドキドキしているのが分かるのだ。

 今も触れているところから楓の緊張と熱が伝わってきている。


「何を期待してんの?」


 楓を見下ろしていると、気分は肉食獣だ。

 自分でもよく分からないスイッチが入っているのが分かる。


「……期待なんかしてないし。好きにすればいいじゃん」

「『やめて欲しい』とは言わないんだ?」

「……っ」


 可愛い失態を突いてやると、これ以上ないくらいに白い肌が真っ赤に染まった。

 これは『何をされても嬉しい』と言っていると解釈させて貰おう。


 さあ、何をしようかなあ。

 とりあえず、僕が受けた痛みはそっくりそのまま返さなくては。

 同じように肩を噛もうと思ったけど、楓はシャツだけの僕と違ってカーディガンを着ているからこの上からだと歯形が残りそうにない。

 首とか鎖骨って噛んだら危ないかなあ?

 噛む前に確認しようと手を伸ばし、そっと手で触れてみると楓の身体がビクッと震えた。


「……」


 それを見た瞬間に抑えていたものが何処かに行った。

 うん、痛いかもしれないけどちょっとくらい我慢して貰おう。

 そう思い、楓の細い首元をロックオン。

 牙を剥くようにして、狙いを定めたその時――。


 ガチャリと玄関の扉が開く音がした。

 次の瞬間に響くのは聞き慣れた綺麗な声。


「ただいまー。あ、楓が来ているのかな」

「!」


 兄の声が聞こえた瞬間、楓の上から慌てて降りた。

 僕が離れた瞬間に楓も起き上がり、姿勢を正してソファに座った。

 僕もつられて床に正座だ。


「あ、やっぱり楓がいたんだね? いらっしゃい……ってどうしたの?」


 黙って行儀良く座る僕達を兄が不思議そうに見ている。


「……ん? あ、うん。おかえり」

「お、お邪魔してます……」

「……もしかして、邪魔しちゃった?」

「「!!」」


 思わず楓と同時に固まってしまった。

 分かりやすく肯定しているような反応をしてしまった僕達を見て、兄はクスクス笑っている。


「ごめん、買ってきた物を片付けたらまたすぐに出るから」 

「……」


 少し慌てるように冷蔵庫に食材を仕舞っている兄の背中を、無言で見守ってしまった。

 兄は『続きをどうぞ』と言っているような笑顔を残して、言った通りに家を出て行ったが……僕はスイッチがオフになったので無理です。


 楓を見ると、ソファの隣をポンポンと叩いて僕を呼んだ。

 大人しく従って隣に腰を下ろすと、凭れ掛かってきた楓が僕の肩に頭をころんと乗せた。


「アキラ、続きは?」

「無理だって……」

「泊まっていっていい?」

「……いいけどさあ」


 すぐにいつもの調子に戻り、残念そうにしている楓にはやっぱり敵わないと思った。




◆◆◆



※本編後※




  休憩時間。楓と並んで廊下を歩いていると「Trick or Treat!」という声と共に、お菓子のやり取りをしている生徒達を見かけた。


「あ、そうか。ハロウィンって今日か」

「そうだよ。アキラ、Trick or Treat!」

「はい」


 絶対にお菓子なんて持っていないだろう! とニヤリ顔の楓に、僕はポケットにあった飴を渡した。

 いつもは持ってないけど、今日はたまたま持っていたのだ。


「え! 今日に限って、何で持ってるの! って、これ……昨日ボクがあげた飴じゃん!」

「残っていてよかったわー」

「ボクがあげたやつはだめ。Trick or Treat!」

「Trick or Treatは一人につき一回までだ」

「そんなルール、聞いたことないよ」

「だって、無限にTrick or Treatって言われたら、悪戯される運命しかないじゃん。ルールがないと、ゲームは成り立たないんだよ」


 僕のかっこいい説明が決まったなあと思っていると、廊下にいたクラスメイトの女子達に呼び止められた。


「あ、ねえ! 央君、楓君! お願いがあるの」

「お願い? 何?」

「えっとね……これ、つけてくれない!?」


 そう言って女子が抱えていた紙袋から取り出したのは、黒と白の猫耳カチューシャだった。

 さすがに仮装をしたら叱られるが、これくらいならすぐに隠せる。

 だから一部の生徒達は、小物を持ってきてコソコソ楽しんでいたようだ。


「いいよ」

「ほんと!? やったー!」


 きゃー! と騒ぐ女子達から猫耳カチューシャ二つを受け取ると、僕は黒の方を楓の頭につけた。

 それと同時に周囲がざわついた。

 うん、がっつり仮装したアイドルにも負けない驚きの可愛さ!


「なんでボク!? 自分がつけなよ!」

「だって、これが地球上で一番似合うのはお前だろ?」


 楓専用に製造されたのか? というくらいぴったりだ。

 白もいいけど、小悪魔といえばやっぱり黒だろう。

「うんうんうん」と、女子達も首がもげそうなくらい頷いている。


 楓も不満はあるようだが、褒められていて悪い気はしないようだ。

 これは写真に残しておかないと! と思っていると、楓が白の猫耳を手に取り、僕の頭につけた。


「お?」


 猫耳が増えたからか、女子達が一層きゃー! と騒いでいる。

 兄なら分かるが、僕がつけても何の足しにもならないと思うのだが……。


「ボクだけとか、ありえないでしょ」

「でもなあ。こういうのは似合う人がやらないと」

「央君も似合うよ! 写真撮ってもいい!? 撮るね!」

「いいけど、保存だけだぞ? 拡散はするなよー」


 拒否権のない断りを入れてきた女子達は、パシャパシャと写真を撮り始めた。

 楓の猫耳写真は僕も永久保存したいから、あとで全部送って貰おう。


「すごく似合っているから、その猫耳は二人にあげるね」

「いいの?」

「うん! 百円ショップで買ったものだし、気にしないで。他にもいっぱいあるよ! 欲しいのがあったらあげる!」

「他のもつけて欲しいな……! 悪魔のツノとか、狼もあるよ!」


 悪魔の耳! 小悪魔な楓に……と思ったが、こちらに注目している人達が増えていて、騒ぎになりそうな気配を感じた。


「これ以上騒いでいると先生が来るかも……」

「何をやっている」


 僕の発言がフラグになり、先生を呼び寄せてしまったか! と思ったのだが――。


「! すみま…………会長!?」


 振り返るとそこにいたのは会長だった。

 どうしてここに?


「会長、ここ一年の廊下ですけど……もしかして暇で徘徊して……」

「あぁ?」


 あれ? 鬼ですか? ツノのカチューシャ渡していたかな? ってくらい怖いのですが!!


「なんでもないですー……」

「ったく、お前は……。たまたま近くにいただけだ。騒がしいから来てみれば……お前は何を浮かれている」

「え? ……あ!」


 会長の視線の先にあるのは、僕の頭の上にある猫耳だ。

 まずい、没収されるかも!?

 せっかく貰ったのに、彼女たちの目の前で取られるのは申し訳ない。

 策を考えた僕は、自分の頭にあった猫耳を会長の頭につけた。

 共犯にしたら文句は言えないだろう!


 すると、女子達からは再びきゃー! という黄色い声が上がり、周囲も一層ざわついた。

 僕も周囲動揺、心がざわついたのだが……こ、これは……これは!!

 普通に似合わないっ!!

 俺様イケメンの頭に猫耳があるのは非常に萌えるのだが、狼が突然耳だけ白猫になってしまったような違和感!!

 でも、正直に「似合わねー!」と叫ぶと、絶対に怒られる。


「会長……くっ……に、似合いますよ……」

「笑ってるだろうが!」


 すぐに猫耳カチューシャを取った会長が、乱暴な手つきで僕の頭に猫耳を戻した。


「痛い! 刺さった!」


 可愛い猫耳カチューシャが、会長の手にかかると拷問器具に変わる不思議!


「うるさい! 大体こんなものを持ってくるな」


 僕の頭に戻った猫耳カチューシャを没収されそうな気がして、慌てて手で押えた。

 なんとか会長が許してくれそうないいわけを考えないと……!


「えっと……! 僕も帰ったらちょっとハロウィン気分を味わいたくて! 参考になりそうなものを教えて貰っていたんですよ! 帰ったらこれ、兄ちゃんにつけようかなって……」


 伝家の宝刀の兄を出すと、会長は寛容になるはず!

 どうだ!


「…………。あまり騒ぐなよ」


 猫耳カチューシャに伸びていた会長の手が下りた。

 よし、やっぱり兄は偉大だ!


「お前、明日ちゃんと生徒会室に来いよ」

「えー……?」


 何で? 気が進みません……という顔をすると、会長が顔を顰めた。

 説明しなければ分からないのか? と、イライラしている様子だ。


「ちゃんと今の言い訳が本当か確認するからな。証拠を持って来い!」


 それは、つまり……猫耳をつけた兄の写真を撮って来い、ということ?

 うーん……この場で没収されるのを回避するためには仕方ない、かなあ?

 申し訳ないけど兄に頼んで、無難な写真を撮らせて貰おう。


 ……そうだ。

 転んでもただでは起きない、腐った欲深精神でいいことを思いついた。

 クラスメイトの女の子に頼んで、ケモ耳カチューシャをもうひとつ譲って貰う。


「会長……これを夏緋先輩につけて、写真を撮って送ってくれたら、生徒会室に行かなくても兄のケモ耳写真いっぱい送ってあげますよ」

「?」


 こっそりと悪魔の取引を提案した僕に、会長は怪訝な顔をしている。


「夏緋につけろ? そんなもの、どうして見たいんだ?」


 会長からすれば、夏緋先輩のケモ耳写真を欲しがる理由なんて分からないのだろう。

 でも僕は見たい!

 会長の猫耳を見ることができたのだから、夏緋先輩のも見せて頂かないと!


「見たいから見たいんですよ!」

「……まあ、別にいいが」


 会長はケモ耳を受け取ると去って行った。

 頼んだ僕が言うのはなんだが、相変わらず夏緋先輩に拒否権はないようで気の毒だ……。


「なんの話してたの?」


 まだ黒の猫耳つけたままの楓が、不機嫌そうな顔で覗き込んで来た。

 不意打ちの「カワイイ」頂きました!


「『可愛い』の優勝は間違いなくお前だよ……」

「はあ? あ。ねえ、頭痛くない?」


 楓は会長に猫耳カチューシャで刺された頭を気にしてくれているらしい。

 なんていいにゃんこなんだ!


「白の猫耳もお前に相応しいよ!」


 楓はやっぱり天使も小悪魔も合うなと思いながら、楓の猫耳を白にチェンジしたのだった。


 ちなみに、美味しい匂いを嗅ぎつけてやって来ていた佐々木風子が、猫耳会長の写真をしっかり撮っていたので、あとから送って貰った。

 こうなると柊のケモ耳写真も欲しいが、あいつに頼むと僕の失うものが大きそうで怖い。

 だから、今度盗撮して、加工アプリで猫耳をつけようと思う。






 その日の夜――。

 会長から要望通りの写真が送られてきた。

 顔を顰め、困惑した様子で狐耳をつけられた夏緋先輩が映っている。


「ははっ、きっと何も説明されず、いきなりつけられて写真を撮られたんだろうな」


 青桐兄弟のやりとりが目に浮かび、思わず笑ってしまった。

 それにしても、夏緋先輩に狐耳は合っている!

 狼もいいなと迷ったのだが、こちらにしてよかったかも。


 そして契約通り、僕の方からも会長に約束のブツを送ってやった。

 ただし、兄だけじゃなく、春兄と仲良く並んでいる兄カップルの写真だ。

 しかも、うさ耳の兄と狼耳の春兄である。意味深。


「ふ……会長、怒るだろうなあ」


 でも、春兄に黙って彼氏さんの可愛い写真を送るわけにはいかない。

 だから、カップルの写真を送らせて貰ったのだ。

 約束は破ってないし、いいよね!


 攻略対象達のケモ耳カチューシャ写真をたくさんゲットすることができて、いい夢を見ることができる!

布団に入った僕は、そう思ったのだが……。


「もしかして、明日……。意味深兄カップルの写真を送られて怒っている会長と、会長を使って写真を撮られたことに怒っている夏緋先輩にシメられるんじゃ……?」


 その可能性に気づいてしまい、震えて寝ることになってしまった。

 明日起きたら、お腹痛くなって休めないかな。






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