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魔王軍幹部との死闘・二

 クレイナスの手刀とぶつかった刀から伝わって来るのは鉄の如き堅い感触だった。どうやら相手も魔法で身体能力を高めているようだ。水魔石によってなんでも簡単に切り裂ける俺の刀が全く切れていなかった。


「あら~?こう見えても私の身体能力はかなり高いはずなのですがね~?」

「以外と大したことが無いという事だろ」

「言ってくれますね」


 クレイナスは一旦距離を取ると黒い球体を手の中に生み出した。そしてその球体を俺に向けて投げてくる。身体能力が強化された体で投げられた球体は銃弾の如き勢いで向かってくるが俺の視力では十分にとらえる事が出来る。俺はその球体を体をひねる事で避ける。しかし、俺の体があった場所を通過すると同時に俺の背中に激痛が走る。見れば俺の背中には避けたはずの球体がウニの如き針を突き出しその一部が俺に刺さっていた。紙一重で避けた事が仇となったようだ。俺は剣の側面で球体を弾く。幸い針は深くまで刺さってはおらず痛みのわりに傷自体は浅かった。

 そして俺はこの痛みに覚えがあった。まだベアード砦にいた頃に襲ってきたナタリーが用いていた闇魔法だ。あれほどの痛みは無いが明らかにあれと同じ魔法としか思えなかった。

 俺は確認と痛みを落ち着かせる事も兼ねてクレイナスに尋ねる。


「……これは、闇魔法か」

「あら?闇魔法を知っているの?人間で魔法を使える者なんて限られているから知らないとばかり思っていたけど……。やはりあの小娘ね」

「なんだ?ナタリーに何かしたのか?」

「あの小娘、勇者でしょ?確証はなかったけどずっと私を警戒しているんだもの。嫌でも気づくわ。恐らくレオル帝国の勇者ナタリー・ダークネスでしょ?」

「そんなことまで分かるのか」

「消去法よ。勇者は基本的に四人しかいない。スコルピオン帝国とサジタリア王国の勇者は男でヴァーゴ王国の勇者は女だけどあんなちんちくりんではない同性すら羨む美貌の持ち主らしいからね」

「成程。確かにそれならナタリーしか思い浮かばないな」


 ナタリーに女性らしいスタイルを求めるのは……、ほら、今後に期待するしかないからさ。そうなるとナタリーが外の騒ぎに気付いていない現状もこいつがしたのだろうな。そんな俺の疑問に答えるようにクレイナスは口角を上げて答えた。


「因みにあの小娘には眠ってもらっているわ。流石闇と光の魔法を使える勇者ね。毒、麻痺などの身体異常を全て無効化されて出来た事も朝までぐっすりさせる事だけだから」

「へぇ、アイツ意外と凄いんだな」

「これが他の勇者なら今頃あの世に向かっているんでしょうけどね。本当に運が悪いわぁ」

「なら予定をずらせばよかっただろう?」

「嫌ねぇ。この絶好の機会を逃せるわけがないじゃない。……さて、無駄話もここら辺にしましょうか」


 そう言うとクレイナスは再び構える。俺も痛みが大分引いてきた為刀を強く握る。どうやらナタリー程の痛みを与える事は出来ず、永続的な痛みも出来ないようだ。そうならナタリーよりは楽かもしれないがあの身体能力はナタリーを軽く超えている。

 さて、どう切り崩していくか……。


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