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散策・承

 孤児院の外では子供たちが遊んでいた。何をしているのかは正確には分からないがおそらく追いかけっこかなにかだろう。そしてそんな子供に交じるように初めて見る女性がいた。30代程の見た目をしており笑顔で子供たちと走っている。おそらくあれが副院長のリーヴスだろう。女性の名前っぽくないしこれは性か何かか?

 子供たちは追いかけっこに夢中になっていたが俺に気付くと俺の方に寄ってきた。


「あ!お兄ちゃん!いっしょにあそぼ!」

「ああ、いいぞ。丁度暇してたからな。それと、そちらの女性は……」

「これは失礼いたスィました。私はこのシェダル孤児院の副院長をしておりますリーヴスと申します。宿泊中のカズトさんでいらっしゃいまスィたね?」

「え、ええ。そうです」


 なんとも癖のある言葉を使うリーヴスに俺は多少圧倒されながら挨拶をする。見た目は年齢に見合った美人という感じの人だがその分言葉づかいですさまじい個性を醸し出している。加えて声は少し低い、ごついおばさんとかにありそうな声をしているのが余計そう感じさせた。副院長というよりは山賊とか海賊とかが似合う人だな。


「どうです?カズトさんも参加しスィませんか?ルールは簡単で、魔物役一人とそれ以外に分かれて魔物役から逃げて魔物役は誰でもいいから触れまスィたら触れられた人が魔物役になってほかの人を追いかけるという遊びです。どうスィますか?」

「成程、それなら参加させてもらおうかな」


 完全に鬼ごっこだな。流石に子供の遊びだ。前の世界のドラマであったような命をかけたりするデスゲームではないな。ほのぼのと遊ばせてもらうか。


「ではカズトさんが魔物役でスタートスィましょう。カズトさん、10数えてください」

「分かった。1、2……」


 こうして始まった鬼ごっこを俺は精いっぱい楽しんだ。人体強化人間である俺と子供たちでは身体能力や持久力が大きく違うためそこは手加減をした。子供たちが楽しめる程度に力を抑えていた。

 そして、そこで初めて気づいたがこのリーヴスという女性。たまに強者の気配を見せることがある。俺でも全く感じさせない程小さな物で勘違いと思ってしまうほど一瞬しか見えなかった。それでも感じた強さは院長のマグカルドを超えると思わせる程だった。全く、なんでこんな村の孤児院にこれほどの強者が潜んでいるのか……。とは言え害になるわけでもないし放置しても問題ないだろう。








 ……俺はこの時、この事を軽く考えていたことを後に後悔することになった。ここで深く触れていればあんな(・・・)事にはならなかったはずだから。


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