ガイデルギウス世界談/壱壱・亜人
かつてこの世界には人間だけではなく亜人と呼ばれる種族が暮らしていた。それらはエルフ、ドワーフ、獣人、竜人、鬼人などと言った種族ごとに名称が付いていたが人間が一貫して亜人と呼び忌み嫌っていた。
とは言え世界を統一した帝国期にはそんなことはなくむしろ最盛期を築いた亜人帝と呼ばれる100年の間には大いに亜人達が活躍した。
しかし、帝国の亡き後は人間による弾圧が始まった。亜人たちは各地に自分たちの国を築いて生活していたがとある王国によりそれらが滅ぼされ次々と奴隷にされていった。
私もその一人でありかつては自分と同じ種族が統治する国にて生まれたが国は滅ぼされ私自身も奴隷となった。何人も主人を変え股を開き少しでも気に入られようとしていた時期もあった。
そんな生活を100年程続けていた時だった。とある亜人に出会い私は救われた。彼は人間にも亜人にも容赦はせず奴隷商人から奪った私を奴隷としてこき使ったがそれでも彼に惹かれていた。今思えば頭が可笑しくなり盲信していたのかもしれない。それでも私は生まれ変わった。私は彼とともに生活した。そして彼は私達亜人を虐げてきた人間の国を滅ぼし亜人達の国を作った。
……それも、裏切り者の人間の奴隷によって全てが終わった。彼女は四人の勇者と呼ばれる者たちを連れて魔王と呼ぶあの人を糾弾し殺した。そして亜人は人間たちに更なる迫害と虐殺を受けた。あの人を直接見たものはもう私しか残っていない。でも、あの人の思いは今も残り続けている。私は、あの人の意志を継ぎあの人の子孫とともに亜人の楽園を作り上げて見せる。