王都滞在・Ⅳ
卒業制作を頑張らないと……
武器屋を後にした俺たちはとりあえず王都を歩いて見回る。王都と言うだけあって人がたくさんおり特に大通りは人の多さからナタリーとはぐれないか心配になるほどだった。
「大丈夫か?」
「だいじょーぶ」
人の多さに多少混乱するナタリーの腕を掴んで大通りから外れて裏路地へと入る。すると先ほどまでとは違い多少雰囲気の悪い道が現れた。……どうやらあのスラムは王都の外だけの姿ではないようだな。
とはいえあの大通りよりはマシだろうと思いそのまま歩いていると複数の男たちに囲まれた。見るからに追いはぎが目的であろうそいつらはニヤニヤしながら俺にナイフを突きつけてくる。
「おい、命が惜しければ金目のもんと隣の女を置いていけ。高く売れそうだ」
「絵に描いたような下種だな」
「あ?……ぶっ!?」
俺の言葉に怪訝そうに眉を顰める男の顔に不意打ち気味に蹴りを放つ。鼻の骨を折り顔面を凹ませる男を合図に俺とナタリーは動き出す。相手の数は6人。前後3人ずつで俺は前を、ナタリーは後ろをそれぞれ対応する。
すぐに復活した一人の男が俺にナイフを突き出してくる。それを軽く横に避ける事で交わすと同時に突き出された男の腕を掴み膝を上げてへし折る。枝を折るように簡単に折れた男をそのまま放置し残りの男に視線を向ける。ここにきて漸く動き出した男は体格の良さを生かした大ぶりのパンチを放ってくる。とはいえ素人のパンチは動作が長くカウンターをし易い。俺は右手を振り上げて右の脇腹が手薄になった男に鞘に入れた状態の刀を振りぬく。何かが砕ける音と共に軽く右に吹き飛ぶ男。そのまま気絶したことを確認した俺は意識をまだ残している男を見下ろす。折れた腕をもう一つの手で抑えながら涙を流す男の頭に彼方を振りお降ろし気絶させた。
無事に三人を鎮圧した俺はナタリーの方に目を向けると手っ取り早く魔法で捕縛していた。地面から生えた黒い何かに包まれ頭だけを出した状態の男たちは逃れようと必死に抵抗しているが全く抜け出せる様子はない。
俺たちを襲ってきた6人を無事無力化した俺たちは全員を気絶させるとそのまま裏路地を進み続けた。
以下の話を修正しました。
「対決!レオル帝国 前編」(本編7話)
「対決!レオル帝国 後編」(本編8話)
「戦いの後」(本編9話)
「レオル帝国の皇帝」(本編10話)




