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別れ

「俺、まだここ以外の事なんて全く知らないですし世界を巡ってみたいとは思っていたんですよ。とは言えここは最前線の砦。中々出て行くタイミングが合わなくてね」

「……そうですか」


 俺の言葉にレナードさんは一言呟くと俯く。見るからに気落ちしているが俺の意志は固い。ここに留まりたいと思う気持ちを底に押しやり話を続ける。


「サジタリア王国についてだってレナードさんから聞いた事しか分からない。俺は自分の目で、サジタリア王国を世界を見てみたい」


 生み出されてから見る景色はいつも同じだった。機械で覆われた研究室。分厚いガラスから俺を見る組織の幹部。俺の体を好き勝手に弄る研究員。俺にとって世界はそれだけだった。知識として知っていてもそれは与えられた知識でしかなく俺が自分の目で見て得た知識ではない。

 俺はこの世の全てを自分の足で行って自分の目で見て自分の知識として吸収したい。その為に世界を巡りたかった。レナードさん達との日々も楽しかったがこれだけは譲れなかった。


「……分かりました。元より和人さんは外部協力者です。無理に引きとどめて置く理由などありません。ですが旅の話しをしに戻ってきて下さいね。楽しみにしております」


 そう言うとレナードさんは顔を近付け俺の唇にキスをした。突然の事に固まる俺に頬を赤く染めたレナードさんが悪戯が成功したように舌を軽く出して片目を閉じた。


「今のは特別ですよ?」

「あ、ああ……」


 初めての経験に俺は暫く茫然としていた。……やはり知識で知っているよりも身をもって経験した方が何倍も良いな。俺は改めてそう思ったよ。












「レナードさん、それに他の方々も、お世話になりました」


 ゴブリンの火葬を終え何時もの日常が戻ってきたころ。俺は荷物を持ってサジタリア王国中枢へと向かう道路に立ちレナードさん達騎士にお別れの挨拶をしていた。


「和人さん。何時でも待っています」

「和人殿、次に立ち寄った時は旅の話しを聞かせてくれよ!」

「サジタリア王国がスコルピオン帝国に本格的に攻め込むという話もある。気を付けるんだぞ」

「はい。今までお世話になりました」


 レナードさん達騎士の言葉を受けながら俺はサジタリア王国への道を歩み始めた。これが俺の新たな生の第一歩になると信じて。












「……不思議」


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