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起死回生の一手

「無茶です!彼女は敵国レオルの勇者ですよ!?」

「だがこのままなら彼女はゴブリンの餌にされるだろうな。助かるために協力してくれる可能性はある」

「しかし……!」


 俺の提案にレナードさんは納得がいかないようだ。俺を襲ってきたナタリー・ダークネスは現在ベアード砦の地下牢に収容されている。俺もあれ以来あってないから現在の様子は分からないがな。


「勿論無条件で解放するつもりはない。流石にいきなり襲いかかられてはたまらないからな」

「ですが口約束で反故にする可能性だって……!」

「そん時は全員ゴブリンの腹の中だろうな。……どちらにしろこのままじゃ逃げるか餌になるかしかないんだろう?なら一縷の望みを賭けてやってみる価値はあると思うぞ」

「……彼女がきちんと約束を守ると判断しない限り拘束は解きません。場合によっては彼女を縛って囮にも使います。その条件なら許可します」

「それで十分だよ」


 俺はレナードさんに心の中で感謝を言いつつその場を離れ地下牢に向かう。地下牢は一度案内を受けてから近寄った事すらなかった。流石に地下という事もあって湿り気が半端ないからね。

 俺は地下牢の番兵に事情を話して通らして貰った後地下牢へと踏み込む。相も変わらない湿気に襲われながら一番奥の地下牢に向かう。

 そこには少しやつれた様子のナタリー・ダークネスがいた。


「……誰?」

「おいおい、忘れたのか?お前がここにいる原因だよ」

「……ああ、思い、だした……。かも?」

「疑問で返されても困るだけだが」

「……何しに、来た?騒がしい?外が原因?」

「流石は勇者。それくらいお手の物ですか」


 下手な言葉遊びは無駄と判断し単刀直入に言う。


「魔王軍がここに迫ってきている」

「……」

「数は三万。お前の後に来る予定だったレオル帝国軍は壊滅。まとめてゴブリンの餌になったらしい」

「……」

「そんな数だ。俺たちだけでは勝てる気がしない。だがこのまま引けば罰を受ける可能性がある」

「……」

「そこで提案だ。俺たちと一緒に魔王軍を倒して欲しい。勇者はこういうの得意らしいからな」

「……」

「褒賞は君の解放だ。……どうだ?悪くはないだろ?このままならお前を囮に俺たちはこの砦を放棄するからな」


 さて、俺が言いたい事は全部言った。後はこいつの反応次第だな。

 そして待つこと数十秒。ナタリー・ダークネスは悩むそぶりを見せたがゆっくりと口を開いた。


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