表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/249

神の試練~ダンジョン攻略⑭~

「ーーー。ーーー! ー、ーー」


 血管を切り裂いた事により血が噴き出しミノタウロスは何かを呟くと前方に向かって倒れ始めた。俺は背中側に回るとそこから飛びミノタウロスの落下による衝撃波から逃れる。更に自分の落下はさっきは失敗した突風を用いて速度を緩めダメージなく着地する事に成功した。やはりこれは飛び上がるよりもこういう使い方の方がいいか。

 これで40階層はクリアしたという事だろう。まだ他の魔物が残っているが大半がミノタウロスが暴れたせいで死んだか重症だ。無傷で残っているのは数えられるほどだろう。そして、その魔物たちは巨大なミノタウロスを倒した俺に怯えているのか近づいてこない。むしろ恐怖の感情が表情に現れている。


「よし、さっさと残りの魔物を倒して次の階層に上がるか」


 俺は回復用のポーションを一気飲みすると残った魔物に襲いかかった。数はおおよそ10体ミノタウロスはおらずオークとオーガが半々といったところだ。先ずは一番近い位置にいたオークの頭部を左右二つに割く様に刀を振り下ろした。更にオークの体を蹴り飛ばして刀を抜き取ると恐怖に打ち勝ったらしい襲い掛かって来るオーガに対応する。振り下ろされた木製の棍棒。それを根元から切り落としその勢いで胴を上下に分断する。

 その後ろから向かってくるオークに対してはオーガの体を突き飛ばし行動を阻害する。その隙に後ろから近づいてきたオーガに振り向かずに脇から刀を後ろに突き刺す。


「ーーーッ!!??」


 オーガの丁度太ももに突き刺さり困惑交じりの悲鳴を上げて膝をつく。オーガはそれなりにデカく飛び上がらないと首を落とすどころか心臓に攻撃する事も難しい。だが膝を付けば心臓に刀を突きさせる。刀を深々と心臓に突き刺せば胸と口から大量の血を吐きオーガは絶命する。これで三分の一は倒せた計算だ。


「さて、次はどいつだ?」


 俺は恐怖で武器を捨てて後ずさる魔物たちを見ながら口角を上げ、そう言った。瞬間、魔物たちは背を向けて逃げ出した。別にここで追いかける必要はない。何しろ次の階層に行く条件はボスモンスターの撃破だ。それ以外の魔物を倒す理由はない。

 だが、今の俺は何処かハイになっていた。逃げ出す魔物を見て俺はどうしようもない破壊衝動が渦巻き気づけば魔物たちに全力で迫っていた。1体、2体と刀を振り回して殺していく。普段の俺では出せないような重く鋭い一撃は魔物の体を抉るように破壊していく。

 元々残っていた魔物は少ない。数分もあれば俺以外に生きている奴はおらず、俺の全身は返り血で染まっていた。オークとオーガの2種類の血が混ざりあい凄い激臭を放っている。だが、俺はそれで正気を取り戻せた。

 ……俺はテロリスト達が作り上げた最悪の人体強化人間だ。破壊と殺戮に対する抵抗を無くし、むしろ楽しめるように改造されている。この世界に来てからはあまり起きた事は無かったがここに来てこうなるとはな。もしこのダンジョンをクリアしてナタリーの下に戻れた時に大変な事になりそうだ。何とか破壊衝動を抑えられるように気を付けないといけないな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ