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神の試練~ダンジョン攻略⑩~

 結局、3つあった通路の内正規のルートはケンタウロスでふさがっている道だった。そこ以外は宝物庫とモンスターハウスだった。ミノタウロスが10体出た時は死を覚悟したが何とか切り抜ける事が出来た。

 そして、正解と思われる通路を見れば未だにケンタウロスが積み重なった状態で氷漬けになっていた。必死にもがこうとしている個体もいるようだが衝突した時の影響で絶命した個体も少なからずいる様で半分くらいが動く気配はなかった。それでも今も生きている奴はいて次に進むための道を塞いでいる事に変わりはない。

 とは言えこの状態ならやる事は簡単だ。俺は火炎放射の様に手から炎を噴き出す。狙いはケンタウロスではなく氷。これで多少氷が溶けて一番上にいたケンタウロスが氷を破り方向を上げた。


「ーーー!!!」

「させるか!」


 俺はこちらに向かって来ようとするケンタウロスに向けて雷を生み出すと放った。炎で溶けて水となった氷が周囲にはありケンタウロスの体も濡れていた。結果、全てのケンタウロスは感電した。本来雷は1億ボルトも電圧があるが俺が使えるのはほぼ初級魔法だ。そんな電圧を生み出す事は出来ない。精々100から200ボルトくらいだ。だがそれでも人間を殺すには充分だ。この電圧は屋内コンセントとほぼ同じだがそれでも火傷や心停止に出来るくらいには強力だ。場合によっては死に至る事だってある。

 それだけの電圧を一気に、それも水にぬれている状態で受けたらどうなるか? 勿論ただでは済まない。人間よりも頑丈であろうケンタウロスでも一瞬ならともかく延々と電撃を受ければ体は焼け、意識を消し、心臓を止める事は出来る。

 俺に向かって来ようとしたケンタウロスは白目を向けて倒れた。他のケンタウロスの命も潰えたようで動きは全くなくなり静寂が戻った。周囲には肉の焼けるような匂いが漂っているが美味しそうと感じる事も出来ないくらいに臭い。一刻も早くこの場を離れたい。

 そんな事を思いながら俺は焼けて絶命したケンタウロス達の死体の山を越えて次の階層に向かうべく歩くのだった。


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