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外と内

「ヘッドショット四連発いただき!」


 俺は敵の将軍とその配下と思わしき者を狙撃すると急いでその場を離れた。音に気が付いてここにやってくる可能性もあるからな。しかし、本当にラッキーだったな。レナードさんと初めて会ったあの平原を 通って来てくれたおかげで道を聞かずに済んだ。流石に敵の将軍を暗殺してくるって言ったらレナードさんは止めるだろうからな。

 そんな訳で敵の軍勢は一時的にしろ麻痺するだろう。この狙撃がどの程度の損害を与えたのか分からないが一時的に敵の頭脳を殺せたことは間違いない。後は撤退してくれれば申し分ないがそれは不可能だろうな~。そうなると砦に籠って籠城か砦を焼き払って国内に撤退か……。

 というかサジタリア王国は何をしているんだ?レオル帝国というヤバい国が戦争を仕掛けてきているのに援軍を送ってこないなんて……。最悪レナードさんには悪いけど何処か別の国に行った方がいいかもな。

 ……そう言えば俺、この世界の事何にも分かっていないな。知っている事なんてレナードさんから教えてもらった一部の事だけ。サジタリア王国以外の事については全くと言っていい程知らない。戻ったらレナードさんに周辺について教えてもらうか。












「諸君、再びベアード砦から救援要請が届いた」


 サジタリア王国王都アポロンにある王城にて会議が行われていた。会議には国王サジタリア18世を中心に宰相、軍務卿、内務卿など政治、軍事に関係する者たち総勢二十名が集められていた。

 そして、会議の議題はベアード砦から救援要請である。既にベアード砦からは五回にわたり救援要請が届いていたが今まで援軍を送る事はしなかった。その理由は軍務卿にあった。


「ベアード砦からはこのように届いているが真なのか?」

「いいえ、陛下。ベアード砦はサジタリア王国東部の中でも一二を争う堅牢な砦です。例え一万、二万の軍勢が取り付こうともびくともしません」

「ですがこのように何度も救援要請が送られてくることを考えると相当危険なのでは?レオル帝国には初代勇者の中でも最強のシャイン・ダークネスの子孫ナタリー・ダークネスがおります。如何に堅牢な砦とて勇者の前には張り子の虎に過ぎないのでは?」


 軍務卿の自信満々な答えに宰相が不安要素を質問する。東部に影響力を保有する宰相としては救援要請が届く現状に不安があるのだろう。

 しかし、軍務卿は自身をもって返答する。


「問題ありません。調べたところナタリー・ダークネスは大のめんどくさがりに加えて皇帝の命令だろうと断る姿勢を示しています。今回もナタリー・ダークネスの動きは見せておらずよって勇者がやって来ることはまずないでしょう」

「……そうだと、良いのですが」

「それよりも今はスコルピオン帝国に備えるべきです。彼の国のピスケス共和国への侵攻は無視できるものではありません。私としては軍を率いて懲罰行動を行うべきと進言します」

「ふむ、だがそうなればスコルピオン帝国と戦争になってしまうぞ?いくら脅威ではないとは言えレオル帝国の存在もある。今は静観しているとは言え魔王もいる」

「しかし!今動かなければピスケス共和国はスコルピオン帝国の手に落ちその次の矛先として我が国を選ぶ可能性があります!そうなれば国力の増大したかの国に蹂躙されるでしょう!最悪の場合、サジタリア王国800年の歴史に幕を閉じることになるかもしれません」


 軍務卿の言葉に何人かが息を呑む。サジタリア王国の滅亡という分かりやすい脅威を確認したためである。

 国王は彼らの様子を一目見た後口を開く。


「……分かった。軍務卿、軍を率いてスコルピオン帝国に対する懲罰行動を許可する。見事役目を果たして見せろ」

「はっ!この命に変えて必ずや!」

「レオル帝国については警戒しつつ様子を見る」


 こうしてベアード砦への援軍はなく和人たちは更なる苦境に立たされるのであった。


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