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対神聖ゼルビア帝国戦争Ⅻ~ライオネス街道野戦Ⅹ~

 真っ先に異変に気付いたのはミュレイだった。自身に飛んできた赤黒い霧の塊。それがぶつかり周囲に拡散するも体に何の異常もなかったためそのまま突進を継続した。しかし、気づけば後方の騎士たちが同士討ちを始めたのである。


「え!? なんでみんなが……!」

「ミュレイ! 原因は霧だ! 急いでここから出ないと全滅するぞ!」


 驚きで固まるミュレイにパルパロイがそう声をかけた。彼は正気を保っている様で数名の騎士と共に近くに寄って来る。しかし、それ以外の兵士たちは同士討ちを始めておりその後ろからオーガ達によって殺されている。あくまで敵の中に入れた者のみがこうなっており後方の部隊は無事だったがその兵士たちとの連絡は取れない状況にある上に両翼の吸血鬼部隊に攻撃を受けていた。


「……このまま突撃するよ」

「ミュレイ、本気か?」

「どちらにしろ後ろには下がれない。横に行くんだったら前に進んだ方が良いよ」


 後方は同士討ちをする味方、前方は待ち構える敵。どちらに転んでも危険な事は変わりないだろう。故にミュレイは敵を道連れに出来る方を選んだ。それが分かったパルパロイもため息をつきつつ覚悟を決めた。


「分かった。これを行っている兵も本陣にいる可能性が高いからな。敵の本陣を襲い指揮系統を混乱させよう」

「よし! なら僕が突破口を作るからついてきて!」

「はっ!」


 こうして再び攻撃が開始された。ミュレイは大剣を振り回し正面の敵を叩き潰していく。パルパロイ達も横からやって来る敵をちかづけないように槍で牽制していく。そうこうしている内にイグラシアの本陣へとたどり着いた。ミュレイがイグラシアの姿をみて驚く。


「子供!?」

「少なくとも私の目の前で大剣を振り回しているあなたも子供に見えるけどね」

「実力に年齢なんて関係ないよ!」


 そう言ってミュレイは大きく大剣を振り上げ突進を開始する。しかし、それをイグラシアはニヤニヤとした笑みを浮かべながらただ見つめている。そして、ミュレイがイグラシアの近くまで近づいた時だった。急に赤い魔法陣が間に出現しミュレイが乗っていた馬の頭が魔法陣に激突する。よほど堅かったのか馬の頭部は潰れミュレイは投げ出されそうになるがとっさに後方に飛び降りる事で回避した。


「くっ! 魔法!?」

「そうよ。人間が使うものよりも強力な私の魔法を喰らいなさい」


 イグラシアはそう言うと炎の球体をいくつも生み出すとそれらを軌道を変えながらミュレイへと放つ。まっすぐなものもあれば横から、下から後ろからのものもありほぼ全方向から向かってくる。一般の兵なら成すすべなくくらい全身を火だるまにされるだろう。しかし、


「うおりゃぁぁぁぁぁっ!!!」


 それをミュレイは大剣を振り回す事でかき消す事に成功した。大剣を振り回しているとは思えない剣速にイグラシアは目を見開いて驚く。それもここまで王国騎士団の先頭にたって大剣を振り回してきた後にだ。

 驚くイグラシアの顔を見たミュレイはにやりと笑みを浮かべると自信満々に言い放った。


「僕だって剣の腕なら誰にも負けない自信があるよ! 魔族だってなんだって僕たちの敵なら切り倒すよ!」


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