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対神聖ゼルビア帝国戦争Ⅷ~ライオネス街道野戦Ⅵ~

 ガルガが先頭に立って魔王軍は突撃を開始した。合計三万の軍勢はそれぞれ一万ずつ国王とウィスター、王国騎士団に襲いかかった。ウィスター及び国王は全く対応できておらずウィスターの軍勢に至っては既に横っ腹を食いちぎられるように襲撃を受けていた。一方の国王は全く動かず(・・・・・)兵たちの不安に拍車をかけていた。

 一方でミュレイ率いる王国騎士団はこの状態に対してすぐさま対処を行った。騎士団内の混乱を収めると自分たちに向かってくる一万の魔王軍を迎え撃った。ミュレイが先頭に立ち自ら敵兵を切り崩していくことで彼らの士気は各段に上がった。

 王国騎士団と対峙した魔王軍左翼は基本的にゴブリンのみで構成されていた。オーガやオークと言った魔物は主に指揮官として所属していた。その事は実際に戦っているミュレイにも分かり優先的に狩っていく。


「僕たち王国騎士団を舐めないでよね!」


 ミュレイは父である団長が病に倒れている為代理で団長の地位に立っているが団員内では団長として相応しい実力を持っていると思われていた。マスコット兼団長のような立ち位置のミュレイばかりに戦わせるわけにはいかない!という思いが団員達の士気を上げていた。

 更に、王国騎士団の流れは止まらない。神聖ゼルビア帝国を半包囲していた軍のうち、後方支援を行っていた軍勢が王国騎士団の支援にやってきたのである。イスチャード将軍という男が率いる軍勢は主に農民たちで構成されているがそれでも王国騎士団にとっては有難かった。魔王軍は王国騎士団と正面から対峙するように戦っている。自軍の左翼に覆いかぶさるようにやって来るイスチャード軍五千の動きに全く対処できなかった。

 このような追い風もありミュレイたちは魔王軍の陣地内を縦横無尽に駆け回り遂に本陣にまで到着する事に成功した。


「魔王軍! これ以上は好き勝手させない!」

「グッ! 人間風情ガァッ!!!」


 総大将であるオーガは何処か焦ったような感情を怒号に含ませながら巨大な斧で薙ぎ払う。ミュレイの体を寸断しても勢いが全く衰えなさそうな斧の一撃を、ミュレイは軽く跳躍する事で避けた。しかし、それだけで終わる事は無くミュレイは跳躍の際に前方向に縦回転するように飛んだためオーガの頭上に到達する。

 それを見越したようにミュレイは両手で大剣を持つと大上段からの振り下ろしの構えを見せた。オーガもミュレイが何がしたいのか気付き防御を行おうとするが斧の勢いは未だや先ず両手は斧を制しきれていない。防御が間に合わないとッ分かったオーガの顔に明らかに焦りが見えた。


「馬鹿ナッ! 人間ニ負ケルハズガ……!!!」

「僕たちを! 人間を舐めた結果だよ!」


 ミュレイは逃げようと動き出したオーガの頭から大剣を振り下ろした。切り裂くというよりも引きちぎるという言葉が正しいような斬撃を受けオーガの体は縦に真っ二つになった。ミュレイはその振りおろしの勢いを使い更に前回転を行うとオーガの血が飛び散っていない地面に華麗に着地する。そして大剣を天高く掲げると叫ぶ。


「敵の大将を討ち取った!」

「「「お、おおぉぉぉぉぉっ!!!!」」」


 その言葉の意味を理解した王国騎士団は雄たけびを上げ自らの勝利を喜ぶのだった。

 こうしてミュレイ率いる王国騎士団と魔王軍左翼一万の戦いはミュレイの活躍とイスチャード軍の支援により僅か短時間で敵を返り討ちにするという確かな功績を上げるのだった。


挿絵(By みてみん)

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