滅亡5
「敵船団、全滅を確認。生き残りはおりますが抵抗する力も既にないと思われます」
タウラス公国の指揮官クラスが乗船する軍船”エーテル号”の見張り台に上り双眼鏡を眺めていたオーパは自らの隊長に報告する。隊長が発明した伝声管を通じて下にいる隊長にその場から報告が出来ていた。
少しの間を置き男の声がオーパの耳に届く。
「確認した。俺は敵地上戦力への攻撃を開始する。観測を行え」
「了解!」
オーパとの通信を終えた隊長はタウラス公国海軍提督ジェックスに向き直る。
「俺はこれから地上に攻撃を仕掛けます。海軍は生き残った敵兵の殲滅をお願いします」
「うむ。分かった。全船に伝えよう」
提督は隊長の言葉に頷き部下に指示を出していく。一方の隊長は船の甲板の右端によるとそこから地上の様子を見る。敵であるレオル帝国の兵は二倍の戦力を持っているタウラス公国の陸軍を圧倒していた。今は問題ないが近いうちに瓦解するのは目に見えていた。
そうはさせないと隊長は右手に持つ大きな杖を掲げる。それと同時に近くの伝声管の蓋を開けオーパに話しかける。
「準備はいいか?」
「勿論です。先ずは……」
そう言ってオーパは詳しい座標を押していく。そして最後に「雷」と言うと一旦伝声管を閉じたらしく声は聞こえなくなった。しかし、十分に情報を受け取った隊長は杖に魔力を込める。
杖に取り付けられた増幅装置により込めた魔力は4倍に膨れ上がり杖の先端に黄色い光を生み出す。十分に光ると杖から黄色い光が物凄い速さで射出されレオル帝国軍の本陣の上空で止る。すると黒い雲が発生し雷が鳴る音が響く。快晴にも関わらず発生した雷雲にレオル帝国の兵士は困惑するがタウラス公国軍は”それが何かを知っている”為歓声を上げ反撃を開始した。
「”雷神の一撃”」
隊長がそう言うと同時に雷雲より複数の雷が意志を持ったように荒れ狂いながら本陣の兵に落下する。高圧の電流を普通の雷より長く受けその兵は焼き焦げて絶命する。それが五人同時に起こり本陣はパニックに陥る。それを治めようとした兵士が雷に当たり焼死体となっていく。
「敵の指揮官と思わしき人物に命中を確認。だが総大将ではないと思われる」
「引き続き観測を行え」
「はっ!」
オーパからの報告に簡潔に答えると隊長、ジュン・スギタニは更なる攻撃を加えようと再び魔力を込めるのだった。
今更ですがノベルバでも同じように投稿しています。あちらはいくつかの話をくっつけて投稿したりしているのでこちらよりも話は速めに投稿されてます




