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天使の降臨 後編

 その姿を見た観客たちは誰もが口を開けて呆然と眺めていた。

 今年の優勝者が参加者の中で一番美人であった事から楽しみにしていたのだが結果は観客たちの予想をはるかに上回る結果となった。

 黄金の輝きに見える6枚の羽はナタリーの美しさを更に引き立てており金の粒を零しながら進む姿はまさに天使と呼ぶにふさわしかった。もし、今が夜であれば美しさは更に上がり誰もが見惚れていただろう。

 時計塔より出てスタート地点のステージに戻るまでの5分程度の間、その場の誰もがその光景に目を奪われ静寂が漂っていた。


「……」


 ナタリーが優美にステージに降り立つと観客たちの方を振り向く。着地と同時に消えていった羽だがその消える演出さえもナタリーを引き立たせる結果となっていた。


【……はっ!み、皆さま!今年の天使の降臨は例年には素晴らしい結果となりました!では今年の天使の降臨、メインイベントはこれにて終了となります!改めて、優勝者と惜しくも優勝を逃してしまった他の参加者に盛大な拍手を!】


「「「「「お、おおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」


 真っ先に立ち直った司会の言葉に従い観客たちは再び歓声を上げた。ナタリーはもう関心はないとばかりにステージから裏方に戻っていく。既にナタリーは愛する和人に褒めてもらう事しか頭にはなかった。



 しかし、彼女はステージを出てすぐに気づいた。血の匂いが漂う裏方の様子に。ステージに上がる前にはなかった真新しい戦闘痕が。そして、そんな裏方と直接接する建物の壁に背中を預けて座る和人の姿があった。


「っ!和人!」


 ナタリーは急いで駆け寄る。和人はあちこちから出血しており荒く呼吸をしていた。ナタリーに触れられて漸く気づいたのか焦点があっていない瞳でナタリーを見た。


「……ああ、ナタリーか。ごめんな。お前の雄姿を、見る事は……できな、か……た……」

「和人!」


 ナタリーの必死の呼びかけもむなしく和人はそのまま意識を失うのだった。


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