天使の降臨祭5
就活を優先する為これ以降の更新は大分不安定になると思います
酔っ払いの輪から抜け出すことに成功した俺はナタリーとメイアちゃんを連れて店を後にした。職人の男には伝えたがあの調子なら聞こえていたかどうかは微妙だな。
取り敢えずメイアちゃんの家に戻る事にした俺達はすっかり暗くなったケラースの街を歩いていく。少し肌寒く感じる街の風を受けながら俺たちは無言で歩く。そして、メイアちゃんの家に戻る頃には俺の酔いも覚めていたが少し頭が痛かった。
「大丈夫?」
「ああ、少し頭が痛いだけだから」
心配するナタリーに俺はそう答える。実際無視できない程ではないし初めての経験だから体が過剰に反応しているのだろう。次、同じ量を飲んでもここまでにはならないだろう。俺は部屋のベッドに腰かけながら頭を抑えていると扉がコンコンとノックされた。
「カズトさん、起きてますか?」
「メイアちゃん?ああ、起きてるよ。どうしたんだ?」
「お風呂の準備が出来ましたよ。先に入りますか?」
メイアちゃんの言葉に俺は待ってました!と上機嫌になる。そう、このメイアちゃんの家にはお風呂がついているのだ。とは言っても薪で沸かすタイプの五右衛門風呂だけどな。それでも日本人としては体をお湯につけるというのはとても恋しくなるものだ。だからメイアちゃんに風呂の存在を言われた時は思わず笑顔になったからな。
「ナタリーはどうする?」
「一緒に入る」
「いや、それは大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。大人三人がギリギリ入れるくらいにはスペースがあるので」
「そうか……。ならお言葉に甘えようかな」
俺は着替えを持つとナタリーと一緒に扉を開けた。直前まで薪を燃やしていたのだろう。メイアちゃんの体には所々に炭が付着していた。メイアちゃんの案内のもと、奥の部屋に行く。どうやら奥の部屋は脱衣所になっているようだ。その奥に扉があるがそこがメイアちゃんの寝室なのだろう。不思議な作りだな。
と、俺がそう思ったせいか?メイアちゃんが説明した。
「元々この家にはお風呂がなかったんですが両親が家を購入した際に後付けで付けたそうなんです。その奥に夫婦の寝室もつけて」
「な、成程」
どうやらこうなったのはメイアちゃんの両親によるものだったらしい。それほどお風呂が好きなのか?日本人以外にも風呂の文化はあるし不思議ではないけど……。
大体、身を清める方法は濡らしたタオルで体をふく程度だ。ベアード砦ではそうしていたし王都の宿でもそれ専用の部屋がある程度だった。西方には風呂に入る文化があるのだろうか……?




