表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
PR

"捕食連鎖"

掲載日:2026/07/15

太陽の位置から判断するに、まだ朝10時くらいだろう

今日は尋常でなく『多かった』


社会が荒れる兆しなのだろうか

僕にとっては、良い兆候だった




日中でも光の無いこの森には、自死の為に訪れる者が後を絶たない

僕は親に捨てられてから長い事、『そういう人々を対象とした仕事』をして、ここで生活して居る


例えば

いま眼の前には3つの縊死躰が樹からぶら下がって居るが、このうち2つは『僕の仕事』だ


其処まで悪い事をして居る訳では無い

『死のうとして居る人間を、死なせて居る』のだ



「大した収穫は無いな………」


持参した折り畳み式の脚立に上がって、死躰の衣服や荷物を探り終えると、僕は落胆した



社会が貧し過ぎる

近頃の自殺者は、幾らなんでもみすぼらしいにも程がある


「そろそろ廃業なのかなぁ………」


草木を拾い集めながら、誰にともなく呟いた

手指の間で視る間に枝や(つた)が絡まって、罠が出来上がる


原始的過ぎる構造ではあるが、『立ち入った人間を自動で絞首するうえに、作動後は自壊する』という優れものだ



「また、死躰でも食べて生活しないと駄目なのかなぁ……」


考えたくも無い

あんなまずいもの、他に僕は知らない


其れでも、飢えるとあんなものでも食べたくなるのが人間なのだ

僕は、自分が人間な事に嫌悪感が在った




ひゅ………、と、何処かで音がした


首に冷たい感覚が一瞬走ったあと

視界が真上に跳ね上がり

数m上で、がくん、と斜めになった後、止まる


窒息の苦しみと首筋の腫れぼったい痛みが、遅れながら続いて訪れた



脚立を、かん、かん、と上がってくる音がする

少しして、手が僕の躰じゅうを弄る感覚


がくがくと震えの止まらない躰で、僕は「そ…の……脚…立……」「ぼ…く…の……だ……ぞ…」と、両手を暴れさせて、自分の全身を探っている指の主を捕まえようとした


返事の代わりに、全身を滅茶苦茶に殴られる

僕の視界が、意識が少しずつ消えていく



最後に聞こえたのは、「こいつも碌に持ってねえな」という幼い少年の声だった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ