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 検査結果と共に、主治医と先輩看護師の早苗先輩がご両親への説明のためカンファレンス室に向かった。私も勉強のため、同室させてもらうことになった。


 主治医が声をかけた。


「真衣ちゃんの検査の結果ですが、急性骨髄性白血病でした」


 驚きすぎて声も出ないご両親に主治医は説明を続ける。


「白血病細胞は血液の中を流れていますので、手術で治療するのではなく、薬を使った治療をします。真衣ちゃんに合った抗がん剤を複数組み合わせた治療を行います。治療の効果を判定するために、定期的に骨髄検査を行います。だいたい約5週間の治療後の骨髄検査では白血病細胞がみえなくなり、正常な血液を作る力が回復します。この状態を『寛解かんかい』と言います。まずはこの状態を目指して治療を行います」


「根治と理解して良いのでしょうか」


「『寛解』になることはとても大事ですが、そこで治療を終了すると、骨髄検査では見えないだけでまだたくさん残っている白血病細胞がまた増えてきてしまい、高い確率で白血病が再発します。ですので、寛解後にも定期的に診察に通って検査する事が必要です」


「一生治らないのですか?」


「治療が終了した段階でも白血病の細胞が残っていた場合には、白血病細胞が増殖し検査で検出されたりすることになり『再発』という状態になります。再発の多くは治療が終了してから2年以内にみられます。なので治療が終了して2年たっても特に症状がなく、血液検査にも異常がなければ、治った可能性は高いと考えます。4~5年たっても特に問題がなければ治ったと考えてもいいと皆様にお伝えしています」


 難しい話が続く中、しっかりドクターの話を聞いて理解しようとしていらっしゃるご両親。


「真衣に病名って伝えるんですか?」


 お母様の質問が、切実なものだと感じた。


「ご両親の意見を尊重いたします」


「真衣は四年生です。使ってる薬や検査などで調べればきっとわかると思うんです。変に隠して嘘ついて、本当の事を知った時に、何で嘘ついたのかと言われると思います。だから本当の事を伝え自分の病気と向き合って闘って欲しいと思います」


「わかりました。ご両親から伝えますか?」


「はい」


 この様子をメモしながらしっかり学ぶ。早苗先輩が、ご両親に声かけをして寄り添っている。ご両親が真衣ちゃんに告知をした後から治療を開始することになった。


「ひまちゃん、私が補助に入るから真衣ちゃんの担当してみない」


 指導看護師の早苗先輩が私に声をかけてくれた。


「わかりました。しっかり看護できる様に頑張ります」


 告知を受けて真衣ちゃんの精神状態を心配していたが、落ち着いて自分の病気を受け止めて理解をし頑張って治療を受けると言ってくれた。心の方もしっかりとみていかないといけないと心に留めておく。


 午後から抗がん剤治療が始まる。そのため部屋の移動から進めなくてはいけない。無菌室への準備が進められる。準備が整うと部屋移動をしてもらい治療開始となる。


 抗がん剤を点滴投与して3週間の休養期間。これを1クールと呼び、真衣ちゃんの場合は6クールを予定している。


「真衣ちゃん、こんにちは。お部屋の移動をしても良いかな」


「うん。良いよ」


「真衣ちゃんの荷物などは一度消毒をしてから無菌室に入れるから、少し待っててね」


「急いでないから良いよ。お部屋移動したらすぐに治療が始まるんでしょ」


「真衣ちゃん、ちゃんと理解して向き合ってくれてるから私もちゃんと説明しながら行うようにするね」


「ひまちゃん、ありがとう!」


 無菌室に移動が終わり、主治医が真衣ちゃんに声をかけた。


「それじゃあ、真衣ちゃん治療を始めるよ」


「はーい」


 1クール目の抗がん剤の点滴が始まった。真衣ちゃんにこの抗がん剤が効きますようにと願いながら処置を見守る。点滴が繋がった。ボトルから管を通り真衣ちゃんの身体へ抗がん剤が入っていく。副作用がどれくらいから始まるのかは個人差があるので経過観察をこまめに行い体調管理をしっかり行う。


 しばらくして副反応が現れた。嘔吐が続き辛そうだけど弱音を言わない真衣ちゃん。付き添っているお母さんも頑張っている。


 しばらくして嘔吐が落ち着くと、今度は髪の毛が抜けてきた。


「うわっ、ひまちゃんが言ってたやつだ」


「真衣、帽子を買っておいたんだ。ほら、どうかな」


 お母さんが棚から帽子を取り出して真衣ちゃんに手渡した。


「その前にさぁ、櫛でといてよ。それから被る」


 お母さんが真衣ちゃんの髪に櫛を通す。纏まって抜けていく髪の毛。


「ありがとう。それじゃあ被ってみよう」


 そう言って真衣ちゃんは、帽子を被って


「どう? 似合ってる?」


「真衣によく似合ってるよ」


 母娘の時間を邪魔しないように、無菌室の手前のカーテン側から、モニターのチェックをしていると真衣ちゃんが私に気づき手を振っている。


「真衣ちゃん、帽子とっても似合っていて可愛いよ」


 そう声をかけて無菌室に入る。


「ひまちゃん、ついに抜けてきちゃったんだぁ。でもね、ひまちゃんがはじめから教えてくれておいたから、びっくりしたけどさぁ、ひまちゃんの言ってたやつだ!ってすぐにわかったよ」


「真衣ちゃん、よく覚えてて理解して受け入れてくれたんだね。凄いよ!」


「真衣四年生だよ。それくらい理解できるよ」


「そうかそうか。助かるよ」


 一通りチェックする事をして、熱はなさそうだし、落ち着いてそうなので母娘おやこの時間を過ごしてもらおう。


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