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異世界カレー屋はスパイスで癒します。〜聖女として召喚された俺のカレーの効果がヤバ過ぎる。  作者: 間宮芽衣(旧ブー横丁)


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【24】金爺・銀爺再来! 〜『灯』大改装とスパイスパフェ爆誕〜


「オサダさん!今日も美味しい鶏肉、ありがとうございました!!」


ラグナ様が旅立って、一週間が経った。

 

 ルナリアさんはレガルド王国に残って元気に修行している。


 ちなみにクラリッサ様の指示でルナリアさん用にタンドリーチキンを最近多めに漬け込むようにしている。


「仕込みのついでだし、王宮からお金は貰ってるから全然気にしなくていいよ。」


そう言って俺はニッコリと笑う。


(しかし、まだ一週間なのに、ルナリアさん、なんだか水泳選手みたいに筋肉ついて来たな…。


 まあ、元々か弱そうだったから健康的になっていいのか。)


ちなみに彼女はなんと一日に大きなタンドリーチキンを7つも食べている。


 さらにクラリッサ様の指示でダールのカレーに温泉卵を三つトッピングして食べ、さらに疲れたらチャイとドライレモンで気分転換しているようだ。


「オサダ!色々ありがとなっ!」


ルナリアさんの隣でクラリッサ様がニカッと笑いながらお礼を言って来た。


「いえいえ。どうですか?修行の調子は。」


俺の言葉に嬉しそうに頷く。


「ああっ!なかなかいい調子だぞっ!


 もう少し身体が出来たらライルに魔法の訓練もやらせる予定だ。


 そんで、ダンジョンに潜らせて経験値を上げさせるつもり!!」


「そうなんですね。ところでクラリッサ様の公務とかってその…大丈夫なんですか?」


するとクラリッサ様はニヤリと笑った。


「ああ!フィリップが政務官雇うから大丈夫って言ってくれてよ!流石に外交とかは出なきゃなんねぇけど。


 ま、外交だけは猫かぶって頑張るわぁー!!一応王女だったからそんくらいは出来るしなっ!ストレス溜まるけどよ!」


そう言ってガハガハ笑った。


(うーん、婚約したばっかりの時は大丈夫かなって思ったけどクラリッサ様何気にチートだな。)


「ライルさんもよく引き受けてくれましたね…。」


「ああ!あいつも私と一緒で面白ぇもん好きだからな。強くなりすぎて退屈してたみたいだし。


 弟子取っとくのも悪くねぇかなって思ったみたい。」


――なるほど。


 まあそれならそれで、俺は友人がずっとレガルド王国に滞在してくれるので嬉しい限りである。


「ま、何かあったらまたオサダに色々頼むかもしれねぇけどよろしくな!」


――そんな感じで、とりあえずラグナさま、ルナリアさん事件は一旦落ち着く事になったのだった。


◇◇


「今日はメニューについて話し合いたいと思う。」


カフェタイムは週に4日だけなので、今日は会議である。


 俺の言葉にパーシー、タロッサ、ゴードンの三人が頷いた。


「皆、新しくメニューに入れたいものってある?」


ちなみに、今のところランチメニューは、キーマカレー、バターチキン、エビカレーがメインだ。


 その他は焼きチーズカレー、季節メニューフィッシュカレーを出している。あとはトッピングで変化をつけてもらっている感じである。


 カフェタイムのフードはパウンドケーキ、クッキー、アイスクリーム、ドライレモンのチョコレートがけで、主にパーシーがメインになって動いてくれている。


 夜はタンドリーチキンやツマミも出して酒を頼んでくれる高単価のお客さんを増やしているところだ。


「そうだな。カフェタイムは女性が多いんだけど、子連れの場合、子供が注文出来るのがジュースくらいしかないんだよね。


 だから、ココアや牛乳も増やしてあげたいな。


 子供は摂取できるスパイスは限られているし、お子様用のカレーや他のメニューも必要だと思う。


 あと、メニューに関係ないけれど、トイレにオムツがえ出来るスペースや、店内に遊ばせるスペースも作ってあげたいし。」


その言葉に俺は目を見開く。


「…確かに!!うちの店、あんまりファミリーには優しくないかもしれないな。」


そこでみんなで必要なものなどを話し合った。


「どうせファミリー向けに広い席を作るなら、夜はそこで大きめの宴会も出来るようにしたいよね。」


パーシーの言葉にタロッサが頷く。


「少人数のお客さんと別フロアにするのがいいかもしれないですね。客層も違うでしょうし。


 テーブルをくっつけられるような仕様にするのがいいかもしれないですね。小上がり席なんてどうでしょう?」


「俺っ!こう見えて日曜大工得意なんで!

 何か作ります。」


ゴードンもそう言ってくれたので、四人でワイワイ設計図を書いていると後ろで声がした。


「――ほっほっほ。面白そうな事を話しておるな。」


(…この声は!!)


振り向くと金爺と銀爺がいた。


「金爺っ!銀爺っ!お久しぶりです!」


俺が頭を下げると銀爺が設計図を覗き込む。


「おお、これは素晴らしいのう。

 子供達が気軽に来れる店というのは確かに良いコンセプトじゃのう。


 ――どれ。


 それじゃ、作ってやろうかの。」


そう言って金爺と頷き合うと、ゴゴゴゴゴッと音がして壁が動いていく。


「っな!!!」


気がつくと、今までの通常のテーブル席の奥に、靴箱とすのこ、それに衝立が出来て、その奥には木製の小上がり先が出来ていた。


 さらに小上がりには可愛らしい丸テーブルと、キッズスペースまである。キッズスペースには積み木のおもちゃとキッズテント、絵本棚がある。


「…すっげぇ…。」


思わず俺と聖騎士の三人が呆然としていると、さらに銀爺がニヤリと笑った。


「ほっほっ。ちなみにトイレも倍の広さにして、ベビーベッドとゴミ箱も置いておいたぞい。」


そう言われて慌ててトイレに行くと、なんとそれだけではなく内装までオシャレに変えてくれていた。


 シンプルなトイレが、木を基調としたカントリー調にになり、可愛らしいドライフラワーまで飾ってある。


「…あ、ありがとうございます。」


内心動揺しながらも俺達はお礼を言った。


「あとはルナリアの部屋も新たに作っておいたわい。今あやつが寝泊まりしているのは本来客室じゃろ?


 お客様が来た時に困ると思ってな。」


そう言われてスタッフルームに入ると、なんと一階にもう一部屋出来ていた。


 中を開けると、聖騎士の3人とほぼ同じ作りで、内装だけ木とドライフラワーを基調とした可愛らしいものに変わっている。カーテンはベージュのチェック柄だ。


「これは可愛い部屋ですね。きっとルナリアさんも喜ぶかと思います。


 すみません、お礼に何かご馳走したいのですが。


 …何か食べたいものってありますか?」


俺の言葉に二人はニヤリと笑う。


「ふぉっふぉ。それじゃあモヒートとアイスクリームをもらおうかの。」

 

金爺と銀爺の言葉で、俺はスパイスを使ってパフェを作る事にした。


 まず、オープン当初お土産にしていたパン・デ・エピスを角切りにして、グラスに詰める。


 次に生クリームをのせて、その上にスパイスの効いたミルクティームースをスプーンで載せる。


 その上に生クリーム、ラムレーズンアイスとレモンピールの入ったバニラアイスをのせて、ミントと飴細工、それにスパイスクッキーで飾り付けをして完成だ。


「お待たせしました。『灯』特製スパイスパフェです。」


その言葉に二人は顔を綻ばせる。

 

「…これは凄く豪華なデザートじゃの!!


 どれ。頂くとするか。」


そう言ってスプーンでアイスクリームを人匙食べる。


「っ、うまい!!これは最高じゃのう。


 ムースやクッキーやケーキ。それにアイスクリームに飴細工。色んな食感があって楽しいのう。」


そう言って嬉しそうに食べている。


「モヒートもずっと気になっておったんじゃ。

 ミントの爽やかな香りがレモンのアイスクリームと合うな。」


二人は無心で食べ続けやがてグラスは空になった。


「これは良いのう。

 メニューで出したら人気が出るんじゃないかの?」


(…確かに!前まで俺一人だったから厳しかったけど四人いるから出来るかもしれないな。)


「…やってみます!」


俺は新メニューの誕生と共に胸を躍らせる。


 きっと新しい可能性が拓けるに違いない。


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