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33話 ~とある思い付き~

 



「犯人は、美佳の部屋で僕の名前を聞いたんだ」


「ちょっと! また私を犯人にしようとしてるんでしょ!?」


 美佳が声を荒げた。


「いやいや、そんなことないよ」


 僕は手を振って否定する。


「美佳さんと日向さん、それに僕は犯人じゃない」


「だってあの時、私達以外家には誰もいなかったじゃない!」


「そうなんだ」


「そうなんだ、じゃなくて、だったら無理でしょ?」


「だけど僕の勘がそうだと言っているんだ」


「勘って………」


 美佳が呆れるのも分かる。普通に考えれば僕の名前を知ることは「無理」なんだ。


 それじゃあこの手紙はなんだ、どうしてここにあるんだ。それは「無理」という考えが間違っているという証拠だ。動かぬ証拠が目の前にある。


「不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」


 僕はつぶやいていた。


「「緑柱石の宝冠」でホームズが言ってたセリフ………」


 僕達が敬愛するシャーロックホームズ、彼ならばきっとこの難問にも答えを見つけるはずだ。


「僕達が考えもしない奇妙な方法があるんだよ。その方法が分かればきっと犯人も分かる」


「でも鯰の名前だけじゃないのよ?豆大福と剣道の事もある。私たち以外の人間がそれを知ることは不可能よ」


「不可能じゃないよ、実際ここに証拠があるんだから」


 僕は手紙を指さす。


「それはそうだけど………」


 奇妙な手紙。


 普通に考えれば存在するはずのない奇妙な手紙。異常なほど知っていて、少し知らないこの手紙。


 顔をあげると目が合った。


 誰もが羨むような美貌を持つ少女。誰かが言っていた「美しさとは呪いである」と。


 犯人は美佳の美しさに呪われている。この金色の髪を持つ少女を手に入れるためなら、どんな手段でも躊躇なく使うだろう。


 どんな異常な手段でも………。


「そうか………」


「なによ?」


 僕の頭の中にひとつの答えらしきものが浮かんだ。あまりにも自分の想像の範囲外にあって気が付かなかった。けれど小説の世界でそれは当たり前に存在する。


「今ひとつ思いついたことがある。証拠も何も無いただの思い付きだけど」


 美佳は自分を抱きしめた。


「なんか怖い………」


「この方法を使えば離れた場所にいながら、僕達に関する情報を得ることが出来る。それは、こんな手紙を送りつけてくる人物ならやりかねない事」


 薄い青色を帯びた大きな瞳が揺れている。


「まさか………」


「盗聴器」


 美佳の顔が一瞬で青ざめた。




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